見出し画像

炭水化物摂取による体重増加とその後の運動による減少

ダイエット中に炭水化物を摂取した後、体重が1kg増加することは多くの人が経験することです。この現象は、グリコーゲンの再蓄積と水分の保持によるものですが、その後の運動によって体重を減少させることが可能です。本レポートでは、そのメカニズムについて詳しく説明します。

1. 炭水化物摂取による体重増加

1.1 グリコーゲンの蓄積
ダイエット中、炭水化物の摂取を制限していると、体内のグリコーゲンが枯渇します。炭水化物を摂取すると、体はグリコーゲンを再び蓄えます。この際、1gのグリコーゲンを蓄えるには、約3〜4gの水分が必要です。
👉例: 200gの炭水化物を摂取すると、その結果として200gのグリコーゲンが蓄積され、約600g〜800gの水分が体内に保持されることになります。このため、体重が合計で約1kg増加することがあります。

2. 有酸素運動による体重減少

2.1 グリコーゲンと体重減少
グリコーゲンが120g〜200g保存されている場合、そのグリコーゲンを燃焼するためには有酸素運動が効果的です。具体的には、以下のような運動があります。
👉運動の種類: ウォーキングやランニングなどの有酸素運動が有効です。
 【必要なエネルギー消費】
 グリコーゲン200gを燃焼するためには、約800kcal(200g × 4kcal/g)が必要です。このエネルギーを消費することで、体重1kgの減少が期待できます。
2.2 運動時間の推定
体重70kgの男性が5 km/hでウォーキングした場合、1時間あたり約240〜300kcalを消費します。体重を1kg減らすために必要なエネルギーを消費するために必要な運動時間を見てみましょう。
【240kcal/hでの場合】
 800kcal ÷ 240kcal/h ≈ 約3.33時間(約3時間20分)
【300kcal/hでの場合】
 800kcal ÷ 300kcal/h ≈ 約2.67時間(約2時間40分)
このように、グリコーゲンを消費するためにはかなりの運動時間が必要ですが、運動を続けることで体重を元に戻す(またはそれ以上の減少を目指す)ことが可能です。

3. 終わりに

炭水化物摂取による体重の一時的な増加は、主にグリコーゲンの再蓄積と水分の保持に起因しています。これは、体重がすぐに1kg増加する場合でも、多くの場合、実際の体脂肪の増加ではなく、一時的なウェイトであると言えます。その後、有酸素運動を行うことで、グリコーゲンを効率的に燃焼させ、体重を減少させることが可能です。通常、1kgの体脂肪を減少させるためには、約7700kcalの消費が必要とされ、これはかなりの努力を要します。しかし、炭水化物を一時的に摂取したことで体重が増加した場合、それを解消するための努力はそれほど執拗ではありません。このような知識を持っていることで、一時的な体重の変動に対する理解が深まり、ダイエットプランを実行する際の不安が軽減されます。知識があれば、未来は明るくなるのです

ちょっと待って‼️筋肉をつけたい人は、炭水化物は絶対必要ですから😡

カッコいい体づくりに関して、頓珍漢な理論を耳にすることがよくあります😒 知識を持つ人たちにとっては呆れ返る話ばかりです。そんなことにならないように、グリコーゲンと筋肥大に関する研究エビデンスを紹介します。筋肥大には炭水化物が絶対に必要です。その点をぜひご理解ください👍

1. Bergström et al. (1967)
この研究は、グリコーゲン濃度の変化が筋肉の生理学的応答にどのように影響を与えるかを調査しました。研究の概要は以下の通りです。
【目的】グリコーゲンストアの充実度が筋肉の応答、特に筋タンパク質の合成に与える影響を理解すること。
【方法】被験者は、異なるグリコーゲン濃度の状態で運動を行い、その後の筋タンパク質合成を測定しました。
【結果】グリコーゲン濃度が高い状態でトレーニングを行った被験者は、筋タンパク質の合成が顕著に増大したことが確認されました。
この研究は、グリコーゲンが筋力トレーニングの成果を最大化するために重要であることを示す基礎的な証拠となっています。

2. タイプIおよびタイプII筋繊維の影響
グリコーゲン濃度は、筋繊維のタイプによってもその影響が異なることが報告されています。
👉タイプI筋繊維(持久力タイプ)は、持続的なエネルギー供給を好み、通常は脂肪酸を利用することが多いですが、高強度の短時間の活動中はグリコーゲンを利用します。
👉タイプII筋繊維(速筋タイプ)は、瞬発的な力が求められる活動で活発に使われ、グリコーゲンを主要なエネルギー源とします。トレーニング中にタイプII筋繊維を多く動員するためには、十分なグリコーゲンを備えていることが必要であり、その結果から筋肥大が促進されます。

3.デュラントとマリンズの研究 (2004)
この研究(Durand & Marins, 2004)では、トレーニング中のグリコーゲンの減少と筋タンパク質合成の関係を分析しました。
【実験デザイン】被験者は、事前にグリコーゲンを適切に補充した状態と減少させた状態で、それぞれトレーニングを行いました。
【結果】グリコーゲンが十分な状態でトレーニングをした際、筋タンパク質合成の速度が有意に増加したことが示されました。
この結果は、グリコーゲンが筋肉に対してどのように影響を与え、また筋肉の成長が促進されるかを示唆しています。

4. その他の研究
他にも、多くの研究がグリコーゲン濃度と筋肥大の相関関係を示しています。
バルセロナ大学の研究(Cormie et al. 2010)では、トレーニングプログラムの前後で筋肉内のグリコーゲン濃度を測定した後、筋肉の成長と強度が向上したことが示されています。
また、Neufer et al.(1987)の研究では、運動後にグリコーゲン補充が筋肉の回復と成長に重要であることが証明されています。


これらの研究から、グリコーゲン濃度が筋肉の応答に与える影響、特に筋タンパク質合成の促進において重要な役割を果たすことが明確に示されています。筋肥大を目指す場合、トレーニング前後のグリコーゲンの状態を意識して、適切な栄養を摂取することが極めて重要です。このように、グリコーゲンと筋肥大の関係は多くの臨床や実験的エビデンスによって支持されており、トレーニングにおける栄養戦略の一環としては欠かせない要素となっています。

いいなと思ったら応援しよう!