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自由に歩いてほしい。でも骨折は避けたい(#ねかいごと #ころやわ)

2023年11月11日、介護の日に表参道でクローズドイベントとして開催された「 #ねかいごと 」。今年は11月10日、11日の2日間、東京都千代田区紀尾井町にあるLINEヤフーのオープンコラボレーションスペース「LODGE」にて一般公開されます(入場無料)。イベントに先駆けて、昨年の展示プロダクトのひとつ、「ころやわ」にまつわる#ねかいごとを紹介します。

歩行時は硬く、安定していて凹まない。でも、転んだときには凹んで衝撃を吸収する。「ころやわ」の存在を初めて耳にしたとき、その発想に心底驚きました。

利用者さんを転ばせたくない。その先に待つ「骨折」や「寝たきり」を回避すべく、介護現場がいかに「転倒」を恐れ、神経を張りつめてきたか。ベッドから起き上がったことを感知する「離床センサー」が鳴るたび、どれだけ多くの夜勤者が施設の廊下を駆け抜けたことか。

そんな介護現場の労力を根本からなくす、「ころやわ」。そんなプロダクトが実現していることがうれしく、同時に開発者として嫉妬や焦燥感さえ覚えました。
介護職をしていた時、そろりそろりと歩く利用者さんに、張り付くように見守っていたことが何度もありました。「どうか転ばないように」と祈るような気持ちで必死に見守る私を、利用者さんは時々横目に見ながら、申し訳なさそうな表情を見せていました。

こんな風に見守っていたら、他の業務がまったくできなくなってしまう。そのことを利用者さんも私もわかっていたけれど、どうすることもできませんでした。利用者さんは歩きたい。私は歩かせてあげたい。でも、転倒をきっかけとする骨折も怖い。でも起きる「かもしれない」リスクに怯えながら、行動を制限したり、落ち込ませたりすることが本当によい関わりなのだろうか。

そんな答えの出ない問に、新たな選択肢をくれたのが「ころやわ」でした。

“センサーもの”を作っている私が「転倒による骨折予防」を考えるとしたら、真っ先に思いつくのは立ち上がりの予測です。でも、いくら「歩き始め」が分かっても、転ばないようにするには見守りが必要だし、あの申し訳ない表情をさせてしまう事態も回避できません。

ところが、転ぶこと自体を未然に防ぐのではなく、「転んでも大丈夫」をつくり上げれば、世界は変わるのです。その柔軟な発想と、見事に実現する技術力に、開発者として白旗をあげ、下村さんを筆頭とする、脱・骨折の旗手たちの背中を追いかけたい。

執筆:宇井吉美(aba代表取締役CEO)
初出:2023年11月11日・ねかいごと2023

今年のねかいごとイベントは11月10日(日)、11日(月)の2日間、東京都千代田区紀尾井町にある オープンコラボレーションハブ LODGEにて、無料で一般公開させていただきます。日々の暮らしの中で大切にしたい、ちいさな願い、その願いから生まれたプロダクトに興味がある方ならどなたでも大歓迎です。

▼参加申込は、下記Peatixにて受付中です!


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