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そばにいたい、いてほしい(#ねかいごと #muiボード)

2023年11月11日、介護の日に表参道でクローズドイベントとして開催された「 #ねかいごと 」。今年は11月10日、11日の2日間、東京都千代田区紀尾井町にあるLINEヤフーのオープンコラボレーションスペース「LODGE」にて一般公開されます(入場無料)。イベントに先駆けて、今年新たに加わった展示プロダクトのひとつ、「muiボード」にまつわる#ねかいごとを紹介します。


「ママぁ、一緒に寝よう?」
早朝、家事や出張準備をしていると、娘が階段を下りてくる。その足音を聞くたびに、胸が締め付けられる。

いったん手を止めて、娘と寝室に戻る。私の太ももにしがみついていた娘の力が少しずつ弱まり、寝息が聞こえる。そろそろ大丈夫かなと思い、布団を抜け出そうとすると、目がパチっと開く。ごめんごめん、一緒にいるよ。
そんなやりとりを数回繰り返すうちに、時間が過ぎる。

そろそろ、本気で準備を始めないとまずい。仕方なく「一階に降りる?」と娘に声をかけると、「うん!」と寝ぼけ眼で即答する。ソファで寝ることになったとしても、私の気配を感じられる方が良いと言うのだ。

あわただしく朝食の準備をし、出張荷物を点検する私。娘は、リビングのソファでぐっすり寝入っている。娘の寝顔を横目に見ながら、忍び足で玄関に向かう。

今日の出張に連れて行けないかな……
でも訪問先で騒いじゃうもんね……
そもそも今からじゃ飛行機が取れないか……
「膝に抱っこ」でなんとか交渉できないかな……
無理だと分かりながら、抜け道を考えずにはいられない。

もっと娘と、家族と一緒にいたい。
「そばにいる」と、実感できる何かが欲しい。

muiボードを見た瞬間に、ああこれだったんだと思った。娘と一緒にいたい私、ママと一緒にいたい娘への贈り物をもらった気がした。

離れていても、相手の気配を感じられる。お互いがお互いを思いやる気持ちを確認できる。ともに暮らした時間を刻めるプロダクトだ。

せっかく家族と一緒にいるのに、ついスマホをいじり続けてしまう。私自身も思い当たる節がありすぎる。でも、muiボードの開発者である大木和典さんは、ふがいない私たちにも優しい。
「スマホ批判がしたいわけじゃない。家族の暮らしに対し、家具のように実装されたプロダクトがまだ無いだけである」

大木さんは常に、優しく明るく現代のテクノロジーのあり方を提案されている。その姿勢に焦がれて憧れてやまない。

最新テクノロジーの発展は誰にも止められない。AIもロボティクスも日進月歩以上のスピードで進化している。その変化に抗うのではなく、人間の求める温かさを大切にしていく、まさに「カームテクノロジー(生活に溶け込む情報技術)」を体現されている。

確かにそこに在るけれど、その気配を消すこともできる。でも、必要なときにはそっと手を差し伸べてくれる。mui lab.さんたちが生み出すプロダクトの在り方は、まさに私がケアテックに求めるものであり、あらゆるケアテッカーが目指すべき理想像なのではないかとも思う。

保育園向かう朝、娘はいつも名残惜しそうに私とじゃれ合う。
何度も繰り返し〈さよならの手遊び〉をする。これで最後ね、と始めても「もう一回!」と終わらない。やがて、タイムリミットが訪れ、後ろ髪を引かれる思いでその場を離れる。

できることならずっと一緒にいたい。そばにいたい。娘の温もりを1秒でも長く感じていたい。そんな毎日の葛藤も、muiボードならきっと「家族の時間」に変えてくれる。家族の記憶と記録を、テクノロジーがさりげなく支える。そんな幸せな未来の実現に向けて、ぜひ一緒に走っていきたい。

執筆・宇井吉美

▼mui Labの新製品「muiボード」のクラウドファンディングがMakuakeにて開催されています

「ねかいごと2024」は11月10日(日)、11日(月)の2日間、東京都千代田区紀尾井町にある オープンコラボレーションハブ LODGEにて、無料で一般公開されました。詳細は後日、ご報告します!