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004【ダボスマン 世界経済をぶち壊した億万長者たち】を読んで
書籍情報
書籍名:ダボスマン 世界経済をぶち壊した億万長者たち
著:ピーター・S・グッドマン
訳:梅原季哉
発行日:2022年6月
内容判定
●読みにくさレベル……【2】一般向け
●参考文献……注付き、巻末に30Pほどの一覧
●内容の偏り……資本主義的なお金持ちへの批判
●内容ページ数……約440P
概要
タイトルの「ダボスマン」はダボスで開かれる世界経済フォーラム(=ダボス会議)に出席するような、つまりは世界の経済に影響を与えるような人々を意味している。本書は大企業のCEOやそれに協力的な政治家や学者が、今問題視されているような貧困や格差を生み出す原因の1つだということを批判的に書いている。つまりは、拡大する経済格差、強まる大衆の怒り、民主的なガバナンスの揺らぎ、にはダボスマンが起因している…のだというところから話が始まる。
全体的な内容はダボスマンがどういう行動をしているのか?それが経済的にどういう影響を与えているのか?という内容で、ステークホルダー資本主義への批判、タックスヘイブンの利用(や脱税)、中国の台頭(と利用)、ロビー活動といかさまな金融、弱い立場の人々から実際に搾取が行われていること……を具体的な事例から書いている。
もちろんこの超富裕層(ダボスマン)は一般的市民とはもはや価値観がずれているし、メディアを通じて綺麗事は口に出すが、それは得てして利益を生み出すこと、つまりは自分の懐にお金を集めることに繋がっており、それが今では名声や称賛を得ようと外観を取り繕うような理由を探し回っている。例えば、ステークホルダーのために、だとか、もっと対話(話し合い)をしっかりすべきだとか、「ささいな」慈善活動だとか……これらはただ利益を追求して、お金を稼ぐことしか考えている人間ではないですよ、というアピールである。よく耳にするようなトリクルダウン…つまりは「私たち」が凄く儲けると、最終的には皆さんも豊かになりますよ、という理論も使われている。
そして、より貪欲に儲けを生み出すために、規制の撤廃や技術開発のためのさらなる融資、自由市場の拡大、こうした活動が目に見えにくいところで行われており、結果的にそれがコロナという事例を通した時により明るみに出た。なぜ病床が少ないのか?なぜ医療現場は混乱したのか?大企業ではどのような対策がされていたのか?ダボスマンという超富裕層をメインに扱ってはいるが話の根底には経済学的な要因があり、その説明もダボスマンと関連付けられる形でなされている。
本書の後半部分はこうしたダボスマンに抗うためにどのような手法や考え方があるかもまとめられている。
どういう人が読むべきか
おそらく、こういった本に興味を持った人はダボス会議やここでいうダボスマンのような成功者を知っていると思う。それらの成功者による書籍もいくつか出ているし、経済や経営に興味があるならばそっちの方を読んだことがあるかもしれない。概要で示したようにこの本はそれらに批判的な本である。もちろん全てを否定的に書いているわけではないが……物事には良い面と悪い面があるということを知っておくためにもこういう本を1冊読んでおくことは意味があるように思える。経済学的な視点から格差等を扱うことが増えている中で、富を増やし続けている超富裕層に触れている本はいくらでもあるがここまでメインとして扱っている本は多くない。
キーワード
・マーク・ベニオフ
・スティーブ・シュワルツマン
・ラリー・フィンク
・ジェフ・ベゾス
・ステークホルダー資本主義
・ジョージ・オズボーン
・ブレグジット
・エマニュエル・マクロン
・黄色いベスト運動
・ドナルド・トランプ
・ブラックロック
・Amazon
・ベーシックインカム
以下、感想
まずは、この本が「途方もないお金持ち(とその仕組み)」への批判本だという認識は念頭に置いておきたい。この本を手にするほとんど多くの人はこういったお金持ちから見れば、一般的な人たちだと言える。おそらくそうした一握りのお金持ちがかなり
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