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【体験記】PCAGIP(ピカジップ)のグループ体験

りゅうです🍁
noteに訪問いただき、ありがとうございます。

先日参加した、日本キャリア・カウンセリング学会主催の研修(PCAGIP法のグループワーク)についての体験を記録します。

PCAGIP(ピカジップ)とは?

グループ体験の一種で、クライエントが主役であるロジャーズによるPCA(person-centered approach)をベースにした、心理臨床の訓練に用いる技法の1つです。
事例提供者が相談者として、その方を取り巻くように質問者を複数名設定し、順番に1回ずつ質問や応答をして相談者の状況を理解します。そのプロセスを通じて、事例提供者の心情や考えを理解し、事例提供者に答えまで行かないまでも、「こうかもしれない」とヒントを感じていただける効果があると理解しています。
グループには記録者やファシリテーター、質問はせずにやりとりを見届ける立場の人もいて、グランドルールが厳密に設定されています。
詳細な内容については、村山正治先生の書籍をぜひご確認ください。

11月には入門の内容をアップデートされた「PCAGIP法の実践」が刊行される予定です。私も手にとって学んでみたいと思います。

PCAGIPを体験して

実際に1つの事例を取り上げて、グループ体験に参加してきました。
通常のカウンセリングにおいては1対1のやりとりになりますが、
今回の体験では1対多数になります。
私は質問者の1人として参加しましたが、直前の方の質問と相談者の応答は全く予測ができません。「今ここ」の瞬間を味わいながら、相談者の世界に没頭していきます。
不思議な感覚ですが、他の質問者の言葉は自分が相談者になっているかのような内省を促し、相談者の応答を観察すると、自身も相談者の心になってその感情を味わうのです。その事例とは関係ないのに、自分自身のことを省みたり、他者の言葉が心に残って影響を受けることもあります。
参加者全員で相談者のことを理解しようとし、理解されていることを相談者もまた感じていたようです。
他者のロープレを見てその技法を学ぶことはありますが、PCAGIPでは、それを超えた体験を得ることができました。

また、大切なグランドルールの1つに、
「事例提供者を批判しない」という項目があります。
事例提供者を理解する過程で、絶対に批判や押し付けはしないという前提になります。この項目が場全体の安心感を作り、誰しもが発言しない空気感が生まれました。

ここで印象的だったのが、「自由であること」は「安心であること」と同じではないということです。
この場で大切なことは「安心」を創ること。
自由な発言や振る舞いは、時に無意識にでも相手を傷付ける可能性があるということを認識する必要があったのです。
私にはこの前提がなかったので、自由に発言できることが安心であるという認識でいましたが、今回の体験を通じてここを強く意識するようになりました。

そして、学びや気づきというものは安心できる場でこそ生まれると感じたのです。自己開示を進める時、人に自分を打ち明ける時、きっと心を許せる安心があります。自ら学んでいく時、そこに安心して打ち込める環境が必要であると考えます。PCAGIPの体験は、まさにこの安心を味わい、事例提供者をみんなで囲んで寄り添っていく場に立ち会うことができるものでした。

体験を経て

グループ体験はカウンセリングの研鑽に活用できるというのが1つ。
さらに、村山先生の書籍にも触れていますが、この体験は教育の現場や産業界などの実践的な場でも応用できると感じます。

例えば学校教育現場における教員間の意見交換の場。若手教員がなかなか意見を述べ辛い、もしくは必要な教えを乞うことができないという場で、グループ体験を通じて困難な事例を話すことで多くの教員にその困難さを共有し、理解され、批判を受けることなく、事例提供者である教員をみんなで救うことができるかもしれません。

ビジネスにおける会議の場でも、全員が安心できる場で発言できること、社員全員が自分ごととしてその議論に立ち会う体験を得るだけでも大きなメリットになるのではないかと思います。

もっと言えば、家族の話し合いの場、身近なサークルでの意思決定など、色々な場面で活きるように感じます。理解すること、理解されること、その喜びを味わえる機会は多いようで少ないのではないでしょうか。

そして、安心できる場を創ること自体が訓練です。
些細なことでも、無意識であっても、発言することは誰かを傷付けるリスクを有します。安心できる場を作るコミュニティをみんなで作り出せたら、きっと優しい世の中になっていくのだと感じています。

以上、私の主観に基づいた体験記でしたが、
今後もPCAGIPの動向に注目してみたいと思います。
みなさんが感じることもぜひ聞かせてください。
ここまでお読みいただきありがとうございました🙇


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