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白雪選書〜12月のAoyama Book Colors〜

Aoyama Book Colors、それは青山ブックセンターコミュニティー支店による色々選書。本屋さんで出会って大切に読んできた本を、毎月メンバーのコメントと共に紹介します。

新年あけましておめでとうございます。今回のカラーズは、昨年末にABC店内でおこなった「白雪選書」をお届けします。



1、ダニエル・L・エヴェレット『言語の起源 人類の最も偉大な発明』(白揚社)

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無意識に使っている言葉。名詞、動詞、形容詞etc...ロジカルに構成された言語はどのようにして生まれたのか?

最も身近なツールである言葉を深く知る一冊。

選書:岸本晃輔


2、永井宏『愉快のしるし』(信陽堂)

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「白い本、白い本...」

Aoyama Book Colors の12月のお題は、白。
店内をぐるぐる歩き回って、偶然見つけました。気付いた中では2ヶ所に置いてありましたが、一ヶ所だけだったら、私は手に取らなかっただろうなと思います。場所によって魅力の感じ方って違うんですね。これは自分の中で大発見です。

文章を書きたいのなら、自分は作家だと名乗っていい。ミュージシャンだってアーティストだって、名乗っていいんだよ。文章でも音楽でもアートでも、だれでも表現することができる。暮らしそのものが表現となる。
(P.485 小さなカタログと永井さんをめぐるいくつかの話 及川佳寿美 )

この本は私の視野と興味と表現をひろげてくれそうです。

選書:まーちん


3、鯨庭『呟きの遠吠え』(青土社)

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漫画家の鯨庭さんの過去のTwitterの呟きと描きおろしイラストを収録した詩画集。

美しいイラストから感じる動物たちへの畏怖の念。そこに、学生時代のプール後の授業を回顧して「その風にはもう一生会えないのかとおもうととても悲しいです。」と呟くような作者の感受性が相まって、悟りが開けるような一冊です。

選書:須藤妙子


4、いしわたり淳治『言葉にできない想いは本当にあるのか』(筑摩書房)

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言葉にできないという台詞をよく聞くが、そうすると、その人はすべての感情を言葉にできていることになる。作詞家が言葉を語るとこんなに凄い一冊。

選書:ユースケさん


5、ダリアン・リーダー著、松本卓也・牧瀬英幹訳『ハンズ 手の精神史』(左右社)

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「呼吸をするようにTwitterをする、本を読む」などと言うことがある。そこには、スワイプしたりページを捲ったりする「手」が関わっている。(「スワイプ」を漢字で書くとしたら、手編に骨[滑る]と書いて「𢰸」だろうか。)

「手が届く」「手に掛ける」「手をこまぬく」など、手にまつわる言葉がたくさんあるように、手は一個人が体験したり思考したりする以上のことを内包しているのかもしれない。手の歴史を紐解くことで自分(人間)を見つめ直す機会になればと、手に取りました。

装幀:佐野裕哉
印刷:精文堂印刷
選書:松下大樹


6、谷川俊太郎『バウムクーヘン』(ナナロク社)

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白い装丁、ということで、この艶っとした真っ白の下地に「ミッフィ―」で世界的に有名なディック・ブルーナ氏のパキッとした黄色いお花が映える大好きな詩集を選びました。ブックデザインは名久井直子さんです。

「バウムクーヘン」という名前から、なんか美味しそうな内容を想像しますが、人が歳を重ねていく年輪をイメージされてこのタイトルがつけられています。深い。

最初から最後までひらがなで書かれた珍しい詩集。こどものことばを使ってかいた大人の心だそうで、幅広い年代の方に読んでいただきたい一冊です!ちなみに、わたしのおすすめは「すきになると」です。

選書:natty



2020年は、とにかく慌ただしい一年でした。そんななかでも、本はいつでもそこで待ってくれていて、ページをめくっているあいだは安らぎを得られることを再認識することができました。そして、そうした本たちと偶然に出会える本屋さんの楽しさを肌身で感じ、この場所をみんなで愛でていきたいと思うようになりました。

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2021年も素敵な出会いがありますように。

文:松下大樹


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