私たちの日常に彩りを添えるフォロワーシップの可能性
寄稿スタートにあたり
私たちは、人と人、人と組織、人と社会という多様な関係性を調整しながら生きています。フォロワーシップに関する本寄稿が、多様な関係性マネジメントの鍵になり、私たちの日常に彩りを添えられるのか、探求の旅をスタートします。
日々の生活で、リーダーとフォロワーを意識して人と向き合う局面はごく限られています。
あるとすれば、会社で部下の立場で理不尽な指示を受けたときに、受動的に従うフォロワーを演じたり、納得のいかない上位層からの指示をリーダーとしてフォロワーに伝えたり、意識するときは往々にしてネガティブな場面が多いのかも知れません。
しかし、客観的に自身の生活を覗いてみると、案外、支える立場、貢献する立場は身近にありフォロワーとしてのポジションにあることに気づけます。
私のフォロワーシップとの出会いは、2008年、ロバートケリー著「指導力革命 リーダーシップからフォロワーシップへ」という一冊のビジネス書です。それ以来、フォロワーシップの虜となり、2012年には「リーダーシップは部下で育つ『最新フォロワーシップ入門』」を出版することになり、研修などの仕事でフォロワーシップについてごく自然に探求する癖を身に着けることになりました。
フォロワーシップは、企業組織内での上司・部下の関係性において、特に部下のフォロワーシップのあり方として語られるケースが多くあります。しかし、上司はリーダーである
一方で、その上司に対してはフォロワーです。このコインの裏表であることは、人生を生きる上で大事とされる両面思考そのものです。
また、上司と部下以外の企業内の関係では、「経営者と従業員」「評価者と被評価者」「他セクションの先輩と後輩」と言う関係もあります。学校における「先生と生徒」「校長と事務長」「クラス委員と生徒」など、オーケストラでは「指揮者と奏者」「奏者と裏方」、交通機関では「乗務員と乗客」病院では「医者と患者」「医者と看護師」など、その関係性は多岐に亘ります。もっとも身近な関係性では家族の「親と子供」「夫婦」「兄弟」「です。
公式的に誰がリーダーで誰がフォロワーかはあまり大事なことではありません。実際にその関係性において創造しようとする価値に対して、どのような影響を与え合っているかが重要です。
私には、27歳になる長男がいます。親の背中をみて育て!とリーダーとしてフォロワーをリーディングするかのごとく育成した時期もあります。一方で子を支える親として最大限に本人の関心事を支援する立場を取ったこともあります。親子に限らず、リーダーとフォロワーは局面によって入れ替わることもあり、もっと関係性というのは柔軟で創造的なものであるというのが、私の一つの結論です。
これからの本寄稿では、あらゆる関係性のシーンで起こっていることや、その対処法とその背景にある理論などを発信していきます。
フォロワーシップの研究者がどのような思いをもって理論を確立してきたのか、理論をベースにそれを普及させるべくレクチャーする人の話、以外と身近にある映画に一コマにあるフォロワーシップの話、フォロワーシップによる関係性づくりの突破方法の話、などを連載していく予定です。
皆様にとって、フォロワーシップが身近に実感できるテーマとなり、やがて大切な軸となって育ち、人生に彩りを添えることに繋がれば幸いです。お付き合い頂ければ幸いです。