[読書感想文]くもをさがす/西加奈子
なぜこんなに癌について書かれている本を読んでいるのかわからないが、勉強内容と相まって癌治療についてとても詳しくなった。
西加奈子さんの書く小説が好きで、たまたま見つけたので読んでみた。
これはエッセイ?自伝?
どちらにせよ、どうしてエッセイを読むのかと聞かれたことを思い出した。
それはもちろん、人の人生を覗き見して、疑似体験して、こんな考え方も、こんな世界もあるのかと、気付くためだ。とか言うのはきれいごとで、ただただ面白いから。興味深いのほうがあっているかな。
海外で生活したい!!!と思った。バンクーバー、いいね、と思ったけれど、医療制度が、ちょっと面倒かもしれない。
福祉が充実している、医療が充実している、というのは魅力的だが、受診に予約が必要で、すぐにアクセスできないのは不便だろう。
日本には日本の問題があるだろうが、バンクーバーにはバンクーバーの問題があった。
いっそのこと北欧でも行こうか。税金が高くてもいい、と思えるほどの福祉サービスの充実度だとしたら、そっちのほうがいいかもしれない。
こういう、海外生活についての描写が顕著に書かれている本を読むと、毎回思うのが、日本の良い点と悪い点。
私は、一つ所に定住するということに向いていないのかもしれない。でもそれは帰る場所があるから思うんだろうな。
癌という疾患について、というか、最近は人間として生きることについて考える。どうして生を受けて日本で生活しているのか、とか。そうするとどんどん自分が生活している意味について、出来事に対しても意味を見出そうとしてきて、時々疲れる。
よく、行動力があるよね、と言われる。彼らは、彼女らは、私がすぐに人に連絡するところとか、海外旅行に行くと言ったらすぐに実行するところとか、まあ主にその辺から私に対する評価をしている。そうだね、明日も生きているという保証はないからね。
そう。明日も生きているという保証はない。
癌サバイバーは、癌に侵されていると告知されたときの恐怖と、つらい抗がん剤治療と手術に耐えてもなお、再発するかもしれないという恐怖を抱えながら生きているらしい。
癌ですと告知されるまで、癌かもしれないと言われるまで、私たちは健康で、明日が必ず来ると、来年はあたりまえにやってくると思って過ごしている。
今、私たちの中で、癌細胞が増殖していたとしても、きっと健診を受けない限り自覚しない。癌に侵されていますと宣告されることで絶望が訪れ、初めて自分の生活を省みる。
本を読んでいるとその絶望や後悔を否応なしに体感させられる。
私の読んでいるジャンルもあるかもしれないし、私の受け取り方もあるのかもしれないけれど。
でもでも、きっと何かを言い訳にやりたいことをあきらめるくらいなら、素直に本に影響されて、やりたいことを今のうちにやっておくのがいいじゃないのと思う。
うむむむむ。なんかいつも以上に読書感想文じゃなくなってきた。
そろそろやめよう。