【読書レビュー】ファンタジー溢れるミステリー作品『ムゲンのi』/知念実希人
知念さんの本初めて読みました。
とても面白い作品でした📖
ミステリー作品にこんなにファンタジー要素があるなんて知りませんでした。
読み終わってまた最初から読みたくなる本です。
⇓⇓⇓上下巻あって読み応えありました。文庫版が出ています⇓⇓⇓
①主なあらすじ
女医である主人公「識名愛依」の勤める神研病院には、4人もの”眠りから覚めない病気”である「イレス」患者がいる。
世界でも珍しいこの病気の治療法など見つからず、イレス患者を助けたい一心の愛依は祖母から不思議な話を聞かされる。
それはユタの力をもつ愛依ならば、イレス患者を救う事ができるというものだった。
彼女自身も幼い頃、猟奇的な事件に遭い長期的なトラウマを抱えていた。
それは「少年X」が起こした猟奇的な無差別殺人事件。
そして、今また連続殺人事件が次々と起こり始める。
患者の精神世界に入り込み、ククルと出会い、”マブイグミ”をすることでその患者を救うことが出来る。
イレスの患者はマブイ(魂のようなもの)を吸い取られてしまった為、深く精神を閉ざし眠りから目覚めないのだという事だった。
それを知った愛依はククルを探し、マブイグミをするため患者の『夢幻の世界』に入り込み患者を救う旅に出た。
しかし、マブイを落としてしまった患者の精神世界は不安定で、
愛依の前に数々の困難が立ちはだかる。
そこで愛依は患者の過去の記憶を辿り、何故イレスになってしまったのかを知ることになる。
②4人のイレス患者
1.片桐飛鳥
パイロットになる夢を幼い頃から持っていたが、事故に遭い右目が失明してしまう。そのためパイロットの夢を諦めざるを得なくなり、空を見上げる事をやめてしまった。
2.佃三郎
冤罪事件を担当する弁護士。元恋人を殺した罪で逮捕されていた久米だったが、久米はやってないと信じ、佃の弁護によって無罪を勝ち取る。
しかし、久米が別の殺人事件の加害者になり、自分が犯人だと名乗り出た事によって佃三郎は自分のせいだと絶望する。
3.加納環
ピアノのために全てを懸けて生きてきたが、ある時からピアノが弾けなくなりトラウマを抱えてピアノに触れることさえできなくなった。
そんな時に救ってくれたのが久米だった。大切な友人であり恋人。
久米が殺人犯ではないと信じている。
4.もう一人のイレス患者
厳重に匿われているため、医師の愛依ですらその患者の正体を知る事ができない。
連続殺人事件の関係者だと警察は問い詰め始める。
③物語の展開・感想
もう一人のイレス患者。
3人がイレス患者になった原因がこのもうひとりのイレスの人物であると知るが、頑なに情報が閉ざされ愛依はその原因の人物に辿りつく事ができない。
愛依が夢幻の世界に入り込み、トラウマを抱えた患者たちの記憶を辿りマブイグミを行い何か手がかりはないかと探し出す。
3人のイレス患者をマブイグミを行うことによって、目覚めさせることが出来た愛依。
その過程ですべてが繋がってくる。
いなくなった父。久米の居場所。
4人目のイレス患者の正体。
そして愛依に23年前トラウマを植え付けた「少年X」の正体。
気になる展開すぎて寝る間を惜しんで読んでいました。
ファンタジー溢れる世界観はとても鮮やかで幻想的な一方、
ミステリー作品でもあるので残酷な描写もありました。
愛依と、そしてククルと一緒に夢幻の世界で旅しているような感覚でした。
愛依と一緒に色んなことを乗り越え成長していくように。
最後まで読むととても温かい気持ちになりました。
知念実希人さんの本は初めて読むのですが、世界観がとても好きで他の作品も読んでみたくなりました。
早速読み始めていて、今読んでいる本も面白くて一気に読んでいる感じなので、これから私の中で知念さんブームが来そうです。
上下巻あって長く感じますが、幻想的な世界観と、様々な謎が気になるミステリー作品で一気に読めます。
皆さんもぜひ読んでこの世界観を感じてみて下さい♪
文庫版⇓⇓⇓『ムゲンのi』上・下/知念 実希人