母とおかゆ
あぁ、やっぱりこの人のこと好きだ。
実家を離れて一人暮らししている私の元へ母が来た。
夏休みらしい。
幸い、観光地で見るところも結構あるので案内しつつ笑い合う。
久しぶりに会う母は、母というよりももっと近い存在のようで不思議な感覚だ。
母なのに、母ではない。
外食して「普段食べないから胃にくるね〜」と言ったり
汗だくになりながらも疲れを感じなかったり。
あぁ、終わってしまう。
2日間というのはあっという間だ。
明日、仕事行きたくない。
ぁあ、これが「寂しい」って感情か。
慣れないものを食べすぎたことと
つかの間の大きな優しさが去ってしまったことで
胃が「おかゆしか受け付けたくない」と豪語している。
仕方がないので
米を炊いて、土鍋でおかゆを作る。
少しずつ米がほどけて湯気になる。
それをなにも思わず時折かき混ぜる。
とろりとしてきたからおたまでやさしくすくい、
しろいどんぶりによそう。
十分にほぐれたはずの米を噛み締め丁寧に飲み込めば
涙が溢れた。
ホームシックにだってなったことないのに。
どうしてこんな気持ちになるのか。
どうしてこんなにも溢れ出てしまうのか。
しっかりしろ。大丈夫じゃんか。
こんなにも私この人のこと好きだったんだ。
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