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DAY 71:「なんでもない日、特別な一日」"bud!" blue note 1571



いいことがあると、
その日いちにち、いい気分でいられる。

noteからお知らせがあったときは、
とても驚いた。

まさか、自分の拙い文章が、審査される方の
琴線に触れるとは、
思いもよらないことだったから。

ただ、その文章が、音楽が。
選んでくれた方の、
また、お読み下さった方々の、
こころに届いたかもしれないことが、
とても嬉しい。

ありがとうございます。
noteのお題企画、
 #ファッションが好き
"Rakuten Fashion Week TOKYO"で
このnoteが、受賞しました。

息子にも、うれしいことがあった。
スポーツのある種目で、
約100人のなかから、1位になり、
賞状をもらってきたのだ。

こっちも、自分のことのように…
いや、自分のこと以上に嬉しい。

子どもの成長はいつだって、
親に、最上の喜びをもたらしてくれる。



昔のことを思い出す。
私が自分以外のことで嬉し泣きをしたのは、
息子のことが、はじめてだった。

保育園での、2度目の運動会。
前にも少し書いたけど、
1年目のかけっこのときは、
たくさんの周りの目があって怖がってしまい、
保育園の先生に、抱きつきながらゴールした。

2年目、息子は見るからに逞しくなっていた。
「用意」のコールで構えをとり、
"パーン"と号砲が鳴らされるや否や、
勢いよく飛び出し、周りの強豪たちを抑えて、
1番でゴールテープを切ったのだ。

あの時初めて、自分以外のひとのことで
純粋に喜べた、という記憶がある。
ビデオカメラを構える手が震えて、
声にならない、
こちらも震える声が撮られていたことを
昨日のことのように、おぼえている。

子どもはいつまでたっても、
親にとっては、子どもなのかもしれない、
なんて、ちょっと思った。

どうしても、小さな頃のことを、
よく憶えてしまっているものだから。

そんなわけで、こないだは
"私の受賞記念と、息子のスポーツ1位記念"
を祝して、夕食の時に、
家族でささやかな、お祝いをした。

普通の夕食にビールと、ケーキが加わった、
だけのもの、だけれど。

「だけのもの」だけれど、
私たちにとって、それは特別だった。

息子の音頭に合わせて、乾杯。
家族全員、笑顔でグラスを合わせる。
もちろん娘もいっしょだ。
そしてクラッカーを鳴らす。
お互いに、おめでとう、と言いながら。

妻から、
私に受賞の気持ちについてインタビュー。

私は答える。
「ええ、
まさか受賞するとは思っていませんでした。
選んでいただけて、とても嬉しいです。
ありがとうございます!!」

続いて、息子。
「ええ、今回、
1位をとったということなんですけど、
ふだんのがんばりが良かったと思います。
とても嬉しいです。
ありがとうございます!!」

オヤジそっくりで、
オヤジより立派な受け答え。
マネするもんなんだなあ。

しっかり、背中を見せていかないとな。

そうやって過ぎていく、夕食の時間。

ああ、いいなあ。
こんな時間が、
もっと、ずっと続けばいいのにな。

ケーキはとても美味しく、
そしてビールはちょうどよく、ほろ苦かった。

楽しい時間は、いつも、あっという間に過ぎる。

パーティーが終われば、
もう眠たくなった子どもたちといっしょに
お風呂に入り、
歯磨きをして、
寝かしつけをする。

はしゃいだせいか、子どもたちはすぐに眠り、
リビングでは、
後ろでなめらかなピアノの音が流れるなか、
私と妻、ふたりだけ、一息つける時間となる。
私から、妻に話しかける。

「今日は楽しかったね」
「そうだね」
「また、少しずつ、書いていこうと思うよ」
「いいと思う。わたし、あなたの書く文章、
 好きだもの」
「ありがとう」

仕事は、お世辞にもあまりうまくいっているとは
言えないけど。

こんなふうに、
誰かから認められたり、
ほめられたりすることは、
私の地の底に落ちた自信を、
少しだけ、引き上げてくれる。
地獄の中に垂らされた、
一筋の蜘蛛の糸のように。

でもそれは、賞のない、
なんでもない、日々のおかげだなあ。
みんな、いつもありがとう。

「このピアノの曲、素敵ね」

めったにジャズを褒めない、妻がそう言った。

レコードが、いつものように回っていて、

"BUD ON BACH" が、流れていた。

ここまでお読みくださり、
ありがとうございます。

今後も、
あなたのちょっとした読み物に、
私のnoteが加われば、
とても嬉しいです。


賞をいただいたことは、とても嬉しい。
ほんとうにありがたいことです。

一方で、賞のない、なんでもない毎日も。
いや、なんでもない毎日が、
たくさんのきらめきに満ちてます。


きょうが、あなたにとって
かけがえのない、いちにちでありますように。

アイ

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