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Concerto♪コンサート本番を終え、

取りつかれたかのようにピアノ練習を続け、気づけばコンサート本番当日。

あまりにも緊張し過ぎて
その日コンサートが終わるまでのことは…ほぼ記憶なし。

日本で何度もピアノ発表会や演奏会を経験してきたが、
これまでのピアノ演奏で最も緊張したと言っても過言ではない程だった。

自分のペース、自分のタイミング、自分の呼吸で…
が、全く通用しない伴奏。

自分だけで思い描く曲の世界を、
自分だけの感覚で表現するソロのクラシックピアノ演奏しか経験してきていない私にとって、
歌い手が心地よく、気持ちよく、
より深い音楽表現ができるようサポートをしなければならない演奏など未知の世界で・・・

手探り状態にも程があり過ぎて、
今思えば本当に無謀な挑戦だったなと思う。

それでも、どうにかこうにか本番を迎え、
そして大きなトラブルもなく(小さなミスは何度もあったが…)無事にコンサートを終えることができた。

いやぁぁ、、、
もう終わった瞬間は言葉にならなかった。

恥ずかしながら涙が止まらなかった。

正直…本番まで本当に辛かった。

練習途中には
自分のピアノ技術のレベルが足りないのに
伴奏を引き受けてしまったことへの後悔や、
歌い手の皆さんへの申し訳ない思い、
そして、フィレンツェに居るたった一カ月ちょっとの短い期間のほとんどを
伴奏練習に費やさなければならない状況に……
複雑な気持ちになることも多々あった。

心が幾度となく折れかけた、
いや、完全に折れた瞬間もあった。

しかし、そんな私の姿に、
練習室を通常時間より長く使わせてくれたり、
プロのコレペティの先生が特別レッスンの時間を作ってくださったり、
歌い手の方から励ましの言葉をいただくなど
周りの皆さんの温かい支えにより
気持ちを持ち直し乗り越えることができた。

コンチェルトを終えた時は
辛かった日々以上に嬉しい気持ちの方が大きく、
あの短期間で経験し学んだものは
日本に居ては一生得ることのできないであろう素晴らしく偉大なもので、
出来の悪い私を伴奏者とし、貴重な経験をさせてくれた皆さんには
言葉では言い表せない程、感謝の気持ちで一杯だった。

コンサート後にいただいた
歌い手の方からのメッセージに
更に涙が溢れました


唯一悔しく心残りだったのが、
一人の歌い手の方が歌詞を忘れてしまった際、
咄嗟に私が歌って歌詞を思い出させてあげられなかったことだ。

ピアノを弾くのに必死になり過ぎて、歌を歌える余裕がなかった。

幸い区切りの良い小説部分で歌詞を思い出し、その後最後まで歌い上げることができたが、
歌が止まりピアノ伴奏だけが鳴り響いた何小節かの間、
歌い手の方は相当辛かったに違いない。

私が歌を歌えるまでの余裕ある演奏ができていたら、、、
と、思い返すと今でも悔しくなる。

しかし、これも経験の一つとし、次回またオペラ伴奏をする機会があれば
(そう無いだろうが)
この経験を踏まえて臨める、いい勉強となった。

この日のことは勿論だが、
この日を迎えるまでの経験こそ生涯忘れることのない
自分の人生に於いて大きな影響を受け
大切な思い出となる素晴らしい時間だった。


フィレンツェ短期留学で出会った全ての人、
経験し感じ得た全ての事に心から感謝を伝えたい。

穴が開くほど
見て向かい合った
大切な楽譜たち

Grazie mille!!

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