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「精油」の調合
私が通っているフレグランス講座で調合の実習が行われた。
1日目は精油を調合して自分だけのフレグランスを作り、2日目は香気成分を調合して「梅」の香りを作り出す内容だった。
今回は一日目の精油の調合についてご紹介したい。
【香料とは?】
まずは香りを作りだす香料について簡単に触れてみよう。
香料には、天然香料・合成香料・調合香料の3種類がある。
1、天然香料・・・約300種類
①植物から採取される香料
花、果皮、葉、樹皮、根、樹脂、種子
※バラ1滴の精油を採るには約50本必要
②動物の生殖腺分泌物から採取される香料 4種類のみ
シベット、ムスク、カストリウム、アンバーグリス
※精油調合ではビーワックスを含める場合あり
2,合成香料・・・約3,000種類 市場で取引されているのは約500種類
地球上に存在する有機化合物(炭素原子を含むもの)は200万種類以上存在し、そのうち香りを有する物質“香り物質”は約40万種類存在
①石油系の原料を用いた有機化学合成によるもの
②天然物のある成分を出発原料として合成された半合成香料
③天然香料から単離された単離香料
3,調合香料
天然香料を再現したもの、採取が不可能なもの、イマジネーションで作られたもの・・・スズランなど
【精油とは?】
よくアロマテラピーなどで精油という言葉を耳にするが、
精油とは天然物から蒸留・圧搾・抽出などの物理化学的手段によって取り出した香り物質の事をいう。
植物性香料・・・植物から採取 ⇒精油(エッセンシャルオイル)
例
花 … ローズ、ジャスミン
果皮 … レモン、オレンジ
葉・茎 … ミント、ユーカリ
木 … サンダルウッド、シナモン
根 … ベチバー、ジンジャー
天然の植物から抽出した100%天然の植物性香料
※生育環境や天候、産地によって香りに違いが出る
以上を踏まえ、実習で調合した内容を振り返ってみたいと思う。
【精油の調合】
調合実習では、作りたいイメージ・テーマを決め、それに合う香りの精油を選んで、自分好みのフレグランスに仕上げるといった内容。
メインの香りとなるミドルノートは「バラ」と決められていたので、そこから考えた私の香りのテーマは【地中海の春】
爽やかなフローラルの香りを目指すことにした。
テーマが決まった後は、トップノート、ミドルノート、ラストノートでどの香りを使うか決めていくのだが、その精油選びがなかなか難しくもあり、とても興味深い!
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イメージを膨らましていく
まずは、何種類もの精油を嗅いで自分が好きか嫌いかの評価をつけ、そこに香りを嗅いだ瞬間のイメージや印象をメモする。
ベルガモットやビターオレンジは想像通りの、よく知っている香りだが、
パルマローザやローズゼラニウム、ムスクローズ、チュベローズなど、単に「バラ」の香りと言っても、様々な種類のバラや、バラの代用として使われる香りもあり、それぞれに自分の好き嫌いもハッキリと分かれるが面白い。
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ダマスクローズも、水蒸気蒸留法と溶媒抽出法(アブソリュート)のどちらで抽出されたかで香りのイメージも好みも全く違ってくる。
ラストノートで使われるローズウッド、アンブレッドシード、オークモスなどは、なかなかそれ単体で香りを嗅ぐ機会はなかったが、今回じっくり嗅いでみて、実はこっち系の香りも好みだったことも意外な発見だった!
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そして「自分の好み」と「決めたテーマ」に合う香りを選んだら、その精油を何パーセントの割合で調合していくかを、自分がイメージした世界に添わせていく。
私が選んだのは以下の通り。
・トップノート:ベルガモット・ビターオレンジ・ローズマリー
・ミドルノート:ダマスクローズAbs.(アブソリュート)、ムスクローズ、チュベローズ
・ベースノート:ローズウッド、アンブレッドシード
【地中海の春】がイメージなので、
“煌めく太陽の下、爽やかな海風が浮く中にフワッとフローラルの香りが優しく香る”
ような情景を表現できるよう精油を調合していく。
香りをチェックしては、微調整してバランスを見る、そしてまた微調整して…
だんだん割合が分からなくなってきそうだが、、、
トップ:ミドル:ベースの割合は
5:2.5:2.5となった。(たぶん)
精油の中には、ほんの一滴入れるだけで、香りの印象がガラリと変わるものもあり、本当に驚きの連続。
これまでも調香のお仕事をされている方に対しては、香りの微妙な違いを嗅ぎ分ける能力やセンスが凄いなという想いでいたが、
実際に自分がそれを体験してみて、初歩的な簡単な調合でさえもこんなに頭を悩ますのだから、もっともっと何十種類もの調合をしている方はどれだけ繊細で敏感な臭覚を持てるよう経験を積んでおられるかを考えると…
もう心の底から尊敬の思いでいっぱいになった。
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何度も微調整して苦戦しながらも楽しんで取り組めた調合実習。
その出来栄えは、最初の爽やかさはイメージ通りだが、時間が経ったときのフローラル感が少し強すぎたかなと感じるものの、それもまた学びの一つ。
このような調合を何度も何度も繰り返すことで、段々と香りの割合とバランスが分かってくるのだと、更に知識を深める意欲が湧いてきた。
これまでは、完全に仕上がった状態の香水ばかりを嗅いでいたが、精油の調合を体験したことで、今後香水を嗅ぐときの感じ方や捉え方も変わってくるように思える。
なかなかこれだけの量の精油を一度に嗅ぎ、調合できる機会は早々ないので、貴重な時間に感謝しながら、この経験を今後に活かしていけたらと強く感じる実習となった。
次回は、「精油」の調合とはまた全然違う、「香気成分」の調合実習について触れたいと思うのでお楽しみに。