Case2. 私を突き動かす「何者かになりたい」という思い

今回は救急専門医というキャリアを経て、現在医療機器を扱う会社に勤務されている愛さんにお話をうかがいました。
今回も前回同様、今までの人生のいろいろなエピソードを語っていただく中で見えてきた 愛さんの”Own Style” をピックアップしました。
いつも元気に歩みを止めずに成長を続けている愛さんの姿勢は、私たちにとって”かっこいい女性”そのものですが、いつも自分自身や周囲にまっすぐ向き合い続けてきた愛さんの”新たなかっこいい一面”を垣間見て、改めて勇気とパワーをいただいたインタビューでした。


Own style 1 何者かになりたい

愛さんは学生時代に明確な将来像を描けず、休学して海外留学をしたそうだ。
留学中の授業では、ディベートがとても多かった。バンバン発言をする周囲の学生に対して、自分の言いたいことをうまく言えず、やきもきすることがたくさんあった。言いたいことをすぐに言えずに止まってしまっていると「あなたは意見を持っていないのね」と手厳しいことを言ってくる人もいた。
自分自身の語学力に対する悔しさもあったが、それ以上に彼女が痛感したのは「何者でもない自分」だった。
ただの「学生」でしかない自分を突きつけられ、「何者かにならなければ…!」という強烈な思いを抱いた。それは今でも彼女を突き動かす強力な原動力となっている。

Own style 2 見たことのない景色をみたい。だから私は一番大変そうなものを選ぶ

「常に成長していたい。私の中では”幸福度=成長度”」という愛さん。
これまでの様々な選択において、常に「一番大変そうなこと」を選んできたそうだ。
もちろん一番大変そうなことを選ぶことが、一番成長につながるから、という思いもある。
しかしそれ以上に大変な選択をする同期になっているのは「見たことのない景色を見たい」という思いだった。それは彼女の人生のベースとなっている価値観だそうだ。
その例え話として彼女はこんな話をしてくれた。

例えばオバマ大統領に会えるとして(そんな状況はそうそうないけれど笑)、
会ってサインをもらって「キャー!」と言っている自分と、同じテーブルに座って何か議題を持って話す自分と、どっちが良いかっていうと、私は後者の自分の方が好きなのね。
そんな人と実際にしゃべったら、たぶん私が考えてもないようなことを考えていると思う。会社でもどこでもそうだけど、自分がいるところより一段上にいる人は、同じものを見ていても違うことを考えている。さらに一段上の人は、また違うことを考えている。
その人たちは、私がまだ見たことのない景色を見ている。

だから少しハードであっても今いるところより少し上に登って、まだ見たことのない景色を見てみたい。それに、同じテーブルについたはいいがその日の天気しか話すことがない、という状況にはなりたくない。
だからこそ普段から「一番大変そうなものを選ぶ」という選択をしてきたそうだ。

Own style 3 自分の体験量をいかに増やすか

目は二つしかついていないし、身体は一つだし、自分が一回の人生で見れるものは限られている。仕事でも、自分より立場が上の人がいれば、自分が任せてもらえる仕事も限られている。その分だけ、自分ができる体験量は減るし、学べることも少なくなってしまう。
だからこそ、「自分以外の人の仕事(体験)についても、他人事ではなく自分のことのように考えて、自分の体験の一つにする。読んだ本も、自分自身の体験の一つとして覚えていたい。」と彼女は語った。

Own style 4 やりたいと思っていることでも、その殆どは「苦しい」「辛い」

私たちは愛さんに、とても勇気づけられる言葉をもらった。
これから先、いろんなことが起こると思う。でも、自分がやっている間は「楽しい楽しい」と思いながらできることなんてあんまりなくて、ずーっと「辛い」「苦しい」って思っていることがほとんど。実験とかもそうだと思うけど。笑
やっている間、しんどいな辛いな苦しいなって思うことがずっと続くんだけど、でも最後
の最後に誰かに”ありがとう”って言ってもらえることとか、「こういう考え方もあるんだ」っていう成長があったりとか、その一瞬のためにやっているようなもの。
あとはずっと頑張っているような状態だな、と自分自身を省みて思う。
でもやってる最中はやっぱり辛くなってきて、「しんどい!なんでこんなことやってるんや」→「そうだ、ありがとうが嬉しくて…」の繰り返し(笑)

と語ってくださった。
「楽しいことをしていきていたい」と思う人もいる。けれど「辛い」「苦しい」を乗り越えた先にしかない達成感や充実感を追い求める人生もすごく良い。
若いときの苦労は買ってでもやれ、という言葉もあるけれど、私たちは愛さんの言葉を受けて「辛い・苦しいことをしていても良いんだ」という安心感と覚悟をもらったような気がする。

Own style 5 悩めるときはチャンス

いつも明るくパワフルに突き進んでいるように見える愛さんだが、そんな愛さんでも行き詰まって、足が止まってしまうこともあったそうだ。
人生で何回も何回も自分に起こることは”乗り越えなかればいけないこと”だから」と愛さんは考える。人から見たら「え~」というような内容でも、今の自分の悩みが、今の自分のレベルなのだ。
それを乗り越えられると自分のレベルも上がる。失敗したと思ってそこでやめるから失敗なのであって、止めなければそれは自分自身の糧になる。
「それを乗り越えたあとはもう同じこと起こらないし、起こってても気が付かないんじゃない? ピンチはチャンスというけれど、悩めるときはチャンス!」と明るく笑って話していた。

その上で「何かを決断する前に、自分の悩みと向き合うことをやめないこと」の大切さを教えてくださった。
例えば辛くて何かをやめるか迷っているとき。結果的にやめるという判断をするにしても、やめる前に一度立ち止まって”やめたくなる理由”を考えたほうがいい。
今の問題ってなんだろう?その前に苦しみやしんどさはなんだ?なんで自分はここまでやっているのか?幸せじゃないからそう思っているのか?
自分は本当は何を求めてて、自分はなにのために生きているのか、なんでこんなふうに思っているのか
いろんな角度から今の問題を考えてみる。答えを探す中で、自然に次の道が見えてくる。
それによって次に活きるものを得ることができるのだ。
やめてしまったら、そういうことを考えることから開放されてしまう。

そしてもう一つのコツとして「人の話を受け入れる柔らかさを持つ」ということを教えてくれた。愛さん自身が行き詰まって「このままじゃだめだ」と思ったとき、たくさん人に会って、自分の想いを言葉にして、他の人はどう考えるのかを知った。それを通じて初めて自分が何をどう考えているのかが見えてきたそうだ。
それを受けて「じゃあどうしたらいいのか」と考えると、思っても見なかったような選択肢が見えてきたという。


あの人の一冊|シートン動物記
愛さんは、赤毛のアン・風と共に去りぬなど、子どもの頃に読んだ本が印象に残っている、と話してくれた。その中でもシートン動物記の「森のロルフ」が一番好きなだという。
インディアンと一緒に生活する物語がとてもおもしろい。
「何もかも知らないことだし、何もない森の中で自分で一から作って生きている生活に憧れる」と語ってくださった。








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