只の日本人、黒胡麻を食べる(いりごま)
――胡麻を食べよう。
草薙は思った。
なんせ胡麻は健康食。
食べると健康になる。
今まで何度も食べているが、胡麻はいいものだ。
通常、胡麻は胡麻単品で食べるというのはあまりない。
だが時には、胡麻を単品で食べるのが草薙である。
(健康にいいからな)
そういうわけで草薙は胡麻を食べる事にした。
(黒胡麻があったな……)
黒胡麻があったのを思い出した。
白胡麻も食べる草薙だが、今日は黒胡麻である。
理由は無論、なんとなく。
昔から胡麻は健康にいいとされてきた。
――良質のたんぱく質
――良質の油
――良質の栄養
(黒胡麻、食うか)
草薙は黒胡麻をとりだした。
いりごまである。
ザラっと、ツブっと、ポチっとした黒のいりごまの
触感が少し心地いい。
(うむ)
草薙は黒胡麻を食べる。
パリッ、コリッという食感があった。
いりゴマの食感である。
(すりゴマじゃないからな)
香ばしく、懐かしい、自然の食感である。
健康にいい胡麻。
(日本の……胡麻)
パリコリとした、いりゴマの食感を感じながら草薙は思う。
只の黒ゴマだ。だが少し健康になった気がする。無論なんとなく。
(……うむ)
草薙は黒ごま(いり胡麻)を食べた。
草薙は少し健康になった気がした。
――黒胡麻(いり胡麻)単品。
食事というには少し無理があるような食事。
だが――
(それもまた良し)