『サマスペ!』創作の舞台裏⑯ 倒れたのは私でした。
『サマスペ!』⑰で悠介は疲労のあまり、倒れてしまいましたが、あれは実際の旅であったことをモデルにして書きました。
そして倒れたのは、ほかならぬ私でした。
悠介は斉藤におぶわれて近くの医者まで行きましたが、私の場合は倒れた場所(花壇に前のめりに倒れたそうです)からタクシーで、その日の宿泊場所に運ばれ、気がついたときには救急車に乗っていました。
栄養不足、熱中症、過労が入り交じっていたようです。
数日前から疲労がピークを迎えて(その時は、まだいける、と思い込んでいました)倒れた日は「あー、倒れそう」と思いながら歩いていました。
いよいよ朦朧としてきた時、花壇の脇を歩いていました。柔らかそうな花を見て「あそこに倒れたら気持ちがいいだろうなー」と思ったのが最後の記憶です。
お医者さんに点滴を打ってもらって、叱られて……この辺りは悠介と一緒です。大事にならなかったから、よかったのですが、今から思うとやっぱり無茶なことをしていたと思います。
悠介は焼き肉を断って、みんなと同じ食事を食べましたが、私の時は、栄養をつけなければということで、救急車に乗ったメンバーと一緒にラーメン屋に入り、チャーシュー麺を食べて戻った記憶があります(他のメンバーには内緒です)。
先日、当時の仲間と飲んだときに知ったのですが、私がダウンしている間に、地元に住むOBが大宴会を開いてくれて、残りのメンバーは焼き肉食べ放題だったそうです。
(そっちの方が良かった……)
私は次の日から「体力に自信がなくなった」とぼやいていたそうです。
『サマスペ!』を読んだ人が、リアリティーを感じたとしたら、こんな風にストーリーがほぼ実話を基にしているからだと思います。
さて『サマスペ!』はあと二日を残すのみとなりました。
悠介の旅がどんな結末を迎えるのか、由里の抱えた問題は解決するのか……
どうぞお楽しみに。