この先、どうなるの? <小説の書き方>
読者に先を読んでもらうためには、いくつかのテクニックがあると思います。魅力的なキャラクター、主人公の苦難、感情を揺さぶる事件……。
私の場合は意外な展開があると(ありそうな気配がすると)読む手が止まらなくなります。
ファンタジーは初めてなので、私が連載している『紫に還る』の場合、どの程度、意外な展開が読者に求められているのだろう、と思いながら改稿を繰り返してきました。
書き始めると長くなるので、結論めいた気づきだけにしておきます。
ミステリー小説のような込み入った展開を書こうと無理をしてはいけない。
➡︎「この先、どうなるの?」という軽やかな読書の楽しみ、物語の先を知りたいという純粋な興味、それを感じてもらえることを心掛けよう。
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今日はnote創作大賞の応募作から、この作品を紹介します。
『執事はバッドエンドを導かない』 みなとせ はる さん
第一話からとても吸引力があるストーリーだと思いました。
魅力的な人物、謎めいた会話に惹きつけられます。
特に第三話から急に展開が気になり始めました。
「……そうだな。まずは、カインがあの子の側で生きていられるかどうか、だ」
この文章が一瞬、違和感を伴って不穏です。あらすじを読んだので、ある程度予想できるのですが、この小説が出版されたとしたら、あらすじはありませんから、この一行の価値はもっと高まると思います。
このような違和感、謎、ほのめかしが至るところに顔を出します。
だから次へ次へと読む手が止まらないのです。【スキ】を押すのを忘れるくらいでした。
これ以上の内容には触れません。どうぞ読んでみてください。
たくさんの応募作を読んできましたが、連載小説の場合、読者に先を読んでもらうための演出が本当に大事だなあ、とあらためて思います。