私のプロットを公開します。(『アッコの夏』サマスペ!2)
昨日、作家さん仲間が集まって、かねてから計画のあった【プロット勉強会】を実施しました。その報告をしたところ、思いのほか反響があり、プロットを見たいと言う声をいただきました。
※貼り付けた懇親会の写真を見た方から「おじさん同士が仲良く呑んでいる風にしか見えないのが(笑)😆」というコメントがあって思ったのですが、確かに仲が良いというか、気心が知れている人でないと自分のプロットを見せたり、意見をもらう気にはならないかもしれません。
プロットは、そのくらい「恥ずかしい」ものなのです。
(書き上げた小説を読んでもらうよりも、恥ずかしいかも)
そういう意味では、集まったのはデビューして4年が経つ同期の人たちなので、ずっと創作についての議論を重ねてきた間柄です。
だからこそ、恥ずかしいけれど自分のプロットを見てほしい、意見やアドバイスがほしい。⇒いっそ勉強会をやろうという話になったのでしょう。
私の発表したプロットです。
まだ他の作家さんの了解をもらっていませんので、取りあえず私の発表したプロットを公開しておきます。
プロットには大きく二種類あります。
1.出版社、編集さんにプレゼンする資料
2.小説を完成させるための事前資料
今回、私が用意したのは、現在、noteに連載中の『アッコの夏』を書くために作成したもの、つまり2の方です。なので、本編執筆前の準備という性格が強いです。
説明したのはA4で5枚。すべて写真に撮って、下に貼り付けました。
細かくてすいません。拡大してみてください。
①企画書
これは、この小説が何者なのか、何を書きたいのかが、一目でわかるようにしたものです。
タイトル・ジャンル・テーマ・主要キャラ・300字あらすじ、と続きます。
一番大事なのは「テーマ」だと思っています。
この小説のテーマは
『経験したことのない旅を通じて、未熟な若者が成長し絆(友情・恋愛)が生まれる』
かなりベタですが、正直なところ、これが書きたかったのです。
次に、「300字あらすじ」。
他のある作家さんは「一行説明」としていました。
趣旨は同じです。さっと説明できる。パッと読んで内容がわかる。そのように考えたものです。これが面白いと思ってもらえなければ、長い時間をかけて読んでもらう価値がないと思います。
②ストーリー
ストーリー①、②、ページの左側に縦で書いてあるのが、『テーマ』です。
『テーマ』をどのようにストーリーに落としたかが、一目瞭然になるように書きました。
『経験したことのない旅』
それがどんな旅なのかを8つの事件を通じて説明をしています。
「メンバーの問題行動」、「ゲリラ豪雨」、「クーデター」、「心臓手術」などをキーワードに紹介しました。
『未熟な若者が成長し絆(友情・恋愛)が生まれる』
絆の内容はなんなのか、生まれる過程は?
ここでは「好意」、「拒絶」、「成長」、「自分探し」、「信頼」、「恋愛」などをキーワードに紹介しました。
③シーン表
企画書、ストーリー①、②は説明用の資料にもなります。
それに対して、「シーン表」は本当に私だけのための、小説本編を書く準備、執筆の前工程です。
この「シーン表」は私がこれまでnoteに書いた小説の書き方についての記事の中で、もっともよく読まれているものです。
これはエクセルで管理しているもので、横一列分が小説のワンシーンです。
勉強会の場では、2枚を横並びにして見てもらいました
長編小説の場合は、縦に20~30くらいのシーンが並びます。
今回はまだこの小説が連載を始めたばかりなので、第一話~第二話分だけを用意しました。
「左側」が「シーンのポイント」「アッコ(主人公)の考え」「伏線と回収」、そして「最初の三行」。
もっとも大切な内容です。
「最初の三行」はそれぞれの最初を読んだだけで、このシーンには何が書かれているかが読者にわかるように設けました。
いつ、誰が、どこで、何をしているのか。迷わずに小説の世界に入ってもらえるように、それだけを書いたものです。5w1h的なものです。
「右側」は描写を豊かにし、小説の楽しさを担保するためのメモ、チェック覧のような性格があります。
「サマスペ」というイベントの紹介、主人公の見たもの、感じたものを「風景、天気」「見た目、服装」「五感(味・臭い・聞こえるもの)」、「ガジェット(例えばモンベルのリュック)」
この小説がロードムービーの要素があるので、「名産・名物」、ちょっとした「うんちく」、「クリスの言葉(キャラ分けするための変な科白)」。
※ところで外人の言葉の語尾「~デス」、あるいは中国人の「~アルカ」などは、最近は編集者にチェックされると指摘されました。貴重な情報です。
『サマスペ!九州縦断徒歩合宿』では次郎という関西弁のキャラを作りました。方言は良いそうです。
写真が三枚あるのは、小説に挿入している写真(リュックはモンベル広報、ほかは『写真AC』さんより)を、これを使おうと、貼り付けたものです。
勉強会に参加した他の作家さんも、この「シーン表」が一番、興味を持たれたようで、たくさん質問をもらいました。
「ここまでやるのは大変ですね」という意見もありましたが、最初からすべての欄が埋まっているわけではなく、書きながら育てていくものでもあります。
そしてこの「シーン表」を作るようになって、ストーリーを俯瞰で見ることができるようになったことが大きいと思っています。
今、自分は長編小説のどこを書いているのか、これから何が起こるのか、書き漏らしていることはないか……そんな視点を提供してくれるツールでもあります。
勉強会を終えて
作家が10人いれば、プロットも10通りある。そんな感想を持ちました。どれが正解ということはないように思いました。
それぞれに良いところ、学ぶべきところがあります。
もっとも大切なのは、「これは面白い」というネタをしっかり小説にするために、そのプロットが有効に機能しているか、だと思うのです。
プロットは所詮、道具であり支援ツールに過ぎません。
最後は作家の頭の中での作業になります。
だから、
練り込んだプロット+作家の頭脳プレー
それがあって、初めて面白い小説ができる。
それが私が勉強会で得た気づきでした。
最後に
他の作家さんのプロットも見たいという方は、「スキ」、コメントなどお寄せください。
「こんなに見たい人がいるから、公開しましょうよ」と押してみます。
(意外に見てほしい人が多いかも)
このプロットから作られた(作られつつある)小説はこちら。
以前書いた記事です。私の記事の中で、一番読まれています。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。