アイディアが湧かずに困ったら<小説の書き方> ミステリ編
かの乱歩先生は、古今東西のトリックをまとめて、体系的に「類別トリック集成」としてまとめています。有名なので読んだ人も多いと思いますが、今日はこれについて書いてみます。
私はプロットを作っているときに、頭が固まってしまい、新しい発想が出なくなることがよくあります。それは自前で思いついたアイディアが良いものであればあるほど、それに囚われてしまって、その枠を出なくなってしまうのです。
ですが、より読者を驚かす面白い趣向にするためには、核になるアイディアにプラスアルファがどうしても必要です。
そのことは先日、記事にしました。
求めるのは、新しい視点、発想の転換。そのためには、自分のプロットから離れて、まったく違うことを考えるのが良いので、話題になっているミステリや、ミステリー執筆の指南本や、評論、書評などを読むのですが、この『探偵小説の「謎」 』もオススメです。
『江戸川乱歩全集 第27巻 続・幻影城』などに収められていますが、それをまとめて読みやすくしたものが『探偵小説の「謎」 』で、こちらは青空文庫でネットからダウンロードして無料で読むことができます。
こちらにリンクを張っておきます。
下にタイトルだけ列記しましたが、いかがですか?
面白そうだと思いませんか。
1 奇矯な着想
2 意外な犯人
3 兇器としての氷
4 異様な兇器
5 密室トリック
6 隠し方のトリック
7 プロバビリティーの犯罪
8 顔のない死体
9 変身願望
10 異様な犯罪動機
11 探偵小説に現われた犯罪心理
12 暗号記法の種類
13 魔術と探偵小説
有名なあのトリック、あのタイトル。ポー、クリスティ、クイーンといった大御所が先鞭をつけたトリックをあらためて俯瞰するのは、読み物としても楽しいです。
さすがに現代で、このまま使えるトリックはないでしょうが、考え方が大事なのです。
ここにあるトリックを土台にした日本の推理小説もたくさんあります。
最近のヒット作にも、アイディアが形を変えて使われています。
あえて有名なトリックに挑戦すると言って書かれた作品もあります。
オマージュ作品もたくさん思い浮かびます。
私などはネタかぶりをいつも心配するのですが、これだけ過去に掘り尽くされていると、まったくの新機軸はないのかもしれません。
過去にあったことを知らずに(意識せずに)、気がついたら自分流にカスタマイズしていたという作品もいくらでもあるでしょう。
とにかく、こうした過去のトリックを眺めていると、自分のプロットに、このトリックで使われている考え方を組み合わせたら、どうなるだろう?
と思いつくことがあります。
何か一つでもアイディアが湧くと、掘り出し物を見つけたようで嬉しくなります。
アイディアが湧かずに困ったら、読んでみてはいかがでしょう。
本日は以上です。
こういう記事を書いている間に、自分のプロットを進めれば、と言われそうですが、焦っても良いものは生まれてこないのです……。
もうしばらくは、プロットの周辺をグルグルしようと思います。