イケメン巨根おじさんについて13〜営業編〜心が叫びたがってるんだ。
実のところ、初回の地獄の飲み会でも殺気を痛いほどに感じていたのだが、
今回は営業で契約を取った私に、でくのぼうさんもハイテンションでよく話しかけた。
そもそも、私の契約ゲットのお祝いの会なのだからそれは致し方がない事である。
しかし、彼女は私がでくのぼうさんからの注目を浴びる事がどうしても許せないようだった。
今回感じた殺気は、1回目の地獄の飲み会で感じた殺気とは比べ物にならない物であった。
そもそも、態度が悪い。
誰が見ても不機嫌そうである。
それはきっとチンピラさんや夫も気付いていたのだが、でくのぼうさんは全く気にしていない様子であった。
いや!お前が!気にしろ!よ!
と、言いたい所であったが、そのまま不穏な空気で飲み会が続いたのだった。
プライベートでの関わりであったら、この強い殺気に押され、本人にも分かるほどにでくのぼうさんと距離を取る事だろう。
しかし私は、最終契約を任せるでくのぼうさんに媚びを売る必要性があったのだ。
そういう強かな考えがあり、私はメンヘラちゃんの鋭い視線に目も向けず、一切気付いていないような表情で、でくのぼうさんの話を一生懸命に聞くフリをするのであった。
ある程度時間も経ってきた時、メンヘラちゃんがでくのぼうさんに近付き始めた。
何故か私に見せつけるかのようであった。
あの、あのさー!!!!
私が、でくのぼうさんに色目使ってるとかなら分かるんだけどさー!!!!!
私、こいつ、そもそも、無理なんだけどー!!!!!
勘弁してくれよー!!!!!
こんなの好きなのお前くらいだからー!!!!!
などと心が叫びたがっていたのだが、
その様子にも気付かないフリをしていた。
内面が嫌いだと外見も悪く見えてくる時があるが、その結果であるかは分からないが、私の目からは結構ただのおじさんである。
メンヘラちゃんの目には、私が初対面で目にしていた、ルックスの良い好印象な青年のままに写っているのであろう。
メンヘラちゃん、目を覚ましてよく見てくれ。
君が必死で外野から守ろうとしているその男を狙う女性は、意外と少ないと思うぞ!!!
私の心はまた、叫びたがっていた。
そして、この飲み会にはもう一つ地獄要素があったのだ。
この居酒屋にはカラオケが付いていないのである。