東都入替戦事前情報(1部・2部)
いよいよ明日から行われる2023年度春季入替戦
今回も1部から4部まで同日のフォーマットで開催されます。
もちろん3部・4部、2部・3部の対決も見逃せませんが、そちらについては他の方のアウトプットもあるため、ここでは1部・2部に特化した事前情報をまとめます。
チーム成績
それぞれのリーグ内成績を振り返り、どのような特徴のチームか確認します。
駒澤について
まず前提として、4勝しながら勝ち点が0という結果でお察しの通り、他のチームより試合数は多く、國學院大と並んでトップタイの14試合を戦っています。ちなみに最少は青学と日大の11試合 (重要)。
そのため成績を見る際には、積み上げ成績は多くなりがちで、平均系はサンプルが増えた事で若干の信ぴょう性を帯びたと言えるでしょう。
ただし、その観点で見ても、投打ともに散々な結果になったと言わざるを得ません。
まず打撃
三振数は國學と10の差でワースト、安打数は三試合も少ない日大と8差で五位、ホームランは岩本の4本のみで四位と、他大より多いことが望ましい積み上げ成績でも下位を彷徨っている事実が、そのまま打率、出塁率、長打率の低下に反映されています。
確かに今年の東都は、上位候補が何人生まれるのか、という投手最盛期であり、駒澤もその影響を多分に受けたでしょう。ただし、相対する東洋は、それらの投手を抑え競合一位となる見込みの細野晴希が先発する予定。
その意味では駒澤に対し、一部の格を見せつけるような打棒爆発を期待するのは現実的ではないと考えます。少なくとも細野が投げている間は。
また、より問題なのは投手陣
わかりやすくするために、同じ試合数の國學と比べます。
被HRは4本差の11、与四球は46個の差で70、与死球は13の差で19、と、とんでもない数値。かと言って、100試合以上のサンプルがあるNPBやMLBだと、与四球や被HRが嵩んだ分奪三振も多いはずだ、なんてデータもありますが、奪三振は72の五位。これは三試合少ない日大と1差の五位で、同試合数の國學とは30も少ない結果に。
要するに四球は山のように出すけど奪三振は控えめで、おまけに被弾しやすいという散々な結果に。当然WHIPもリーグワーストの1.39。
かつ、自責点以外の失点も五位と、守備にも一考の余地があるよう。他にも理由はあるでしょうが、後述の東洋打線を考えると、現状は心許ないと言わざるを得ません。
次に東洋大学の成績を確認します。
東洋も13試合、投球回119と、1部と2部の差を除けば。サンプルは比較しやすい状況。
まずは打撃
特徴的なのは、HRも長打率もトップなものの、安打や打率は三位と平均的、また三振は多く四球も選べていないという状況にあり、その結果出塁率も四位にとどまっています。
要約すると、荒々しくハードにコンタクトしてくる打者が多いと言えるわけですが、それを補うようにリーグトップの犠打を決めて、要所で点を取るスタイル。弱点をバントで補う事でリーグトップの得点を記録したと言えそうです。
次に、投球成績
なんと言っても奪三振がリーグトップで、被弾はたったの1。二部は球場が不定のため元々ホームランが出にくいのですが、それを差し引いても極めて優秀な数字。
ただし、与四球と与死球はワーストな事もあり、暴投もそれなりに嵩んでいます。奪三振の対価として少々球が荒れると言えるでしょう。
それでも、被安打が四位ながら失点-自責点が0で示す通り、守備力は盤石で失点もリーグ最少を記録。後半不在だった遊撃レギュラーの石上がどうなるか不明ですが、彼以外も去年の神宮を経験している選手が多く、彼抜きでもチーム単位で安定した守備力を見せ、失点抑止に貢献すると思われます。
ちなみに、全体の成績から絶対的エース細野の成績を引くと以下のようになり、平均系のWHIPや防御率は上がります。
東洋側は、細野、誰か、細野という順番で先発するでしょうから、勝ち切るためには、細野がその力を魅せるのかどうかに掛かっていると言えるでしょう。例えば一戦目先勝した場合、二戦目のリリーフ起用も想定されます。
それぞれの勝ち筋
駒澤はまず、誰を一戦目にするか、もっと言えば誰に一番イニングを食わせるかが大きな分岐点と言えそうです。
イニングは食ったものの後半調子を落とした松村、反対に後半調子を上げた東田、この二人をフル活用し、場合によっては毎試合三イニングずつ、という起用もあり得るかもしれません。
投球成績から見ても誰を出したら勝てるか、というより、誰を出して試合を作るか、というレベルであり、松村東田の二人を柱にし、相手の主軸は一人一殺のレベルで継投し凌ぐ必要があるでしょう。
その上で、東洋を見習い、数少ない走者が出た場合は、盗塁、バント、ランエンドなど、次の塁に進める戦術を選択する、などの工夫が必要そうです。
また、攻守にバランスの取れたオーダーにしても、守備で失点を抑止できない事が明らかになった以上、どうせ打撃で結果が出ないのなら、守備重視のオーダーにする事も検討すべきでしょう。
幸いにして、東洋は与四球が多い投手陣で、ヒットツールを最重要にしなくても良い可能性があります。その観点で、大森と工藤は必須として、岩本を3BとCのどちらで使うのかも重要な判断と言えます。
対する東洋は非常にシンプルで、リーグと大きく変える部分はないと考えます。
投手陣は細野で二勝する「戦術・細野」前提の運用で、一戦目と三戦目、展開によっては二戦目のロングリリーフで勝ち切る展開に持ち込みたいはず。
細野自身もこの春、連投によるパワーダウンが減っているように思え、代表選考でも調子のいいところを見せており、準備は盤石と考えます。
懸念があるとすれば、細野以外の投手の誰が投げられるか。
一條や島田など、わかりやすいパワー型投手が投げイニングを食う、あるいは主軸を抑えるのが理想ですが、彼らは度々登録外になるのと、登板しても四球は嵩むタイプ。ここはリーグで安定した活躍を魅せた野澤、岩崎、柿本らで、第二戦を含む「戦術・細野」を盛り立てたいところです。
打撃に関しては与四球が多い駒澤と、四球が少ない東洋が相対すると、どうなるのか皆目見当がつきません。ただ、一般論として、チーム単位で四球が少ない場合、よほどのことがない限り短期的には解決しません。
そもそも駒澤の松村や東田の調子が良ければそう簡単には打てませんし、短期的に単打重視にしたり、選球重視にするのは現実的ではないでしょう。
と考えれば、リーグ同様ガンガンぶん回して、勝負所でバントを決めて点を取りにくる、普段着の野球で十分ではないかと考えます。
不在の可能性が高い石上なしなのはキツイですが、彼以外にも代表に選ばれた宮下を筆頭に、加藤響、橋本、花田、宮本と二割後半から三割の打者がズラリと並ぶ打線に、大きなテコ入れは不要と考えます。
まとめ
東洋は奇策を用いずリーグ通りの野球をすれば良いのに対し、駒澤は投打守に改善が必要で、普段着の野球では厳しいと結論付けられそうです。
もちろんリーグの差を加味すれば、一部側に欠点が多く、二部側に欠点が少ないことは、互角の白熱した戦いが期待できますし、普段とどのような違いを見せてくるのかも楽しみ、と言えそうです。
駒澤が再び一部残留力を魅せるのか、東洋が一部返り咲きを果たすのか、予測が難しい本カードを考察する一助となれば幸いです。
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