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私が、サウナ好きビジネスエリートたちに茶道をすすめる理由

最近、サウナが流行っていますね。
特に、経営者やビジネスエリートがよく行くというのを耳にしますが、どうやら、「ととのう」というのが重要なキーワードのようです。
ととのいたいそこのあなた、サウナ以外にも方法があるのを知っていますか?

それは、茶道です。

ITエンジニアとして日々デジタルにまみれている私は、約800年も前に始まった茶道という超アナログな世界に、すっかり魅了されてしまいました。
それとともに、これはビジネスで何かを成し遂げたいと考える仕事欲旺盛な人たち(=ビジネスエリート)にこそ必要な道だと感じています。
今日は、なぜ私が皆さんに茶道をおススメするのかを書きます。

1.茶道の概要

茶道ってどんなイメージがありますか?
シャカシャカと点てた抹茶、飲む前になんでか分からないけどお茶碗を回す、正座で足がしびれる…
茶道を始めるまで、私はそう思っていました。

ですがお茶を点てる・いただくというのはごく一部であると、今は分かります。茶道とは本来、もてなす側ともてなされる側が茶室という小さな空間の中で起きること・モノに向き合い、そのこと・モノを媒介にしてコミュニケーションを愉しむ遊び なのです。

ここでいう、
モノとは:茶室に設えた掛け軸、お花、お道具、季節のお菓子などのすべて
起きることとは:亭主のお点前、窯のお湯がシュンシュンと沸く音、焚かれたお香の香り、そこでの会話など
を指します。これらをひっくるめた空間を愉しむのが茶道です。

2.茶道と戦国時代

茶道の始まりは鎌倉時代で、元来「茶の湯」と呼ばれていました。
1214年、中国に留学した禅僧の栄西という人物が茶を源実朝に献上し、武士階級に広まったと言われており、約800年の歴史があります。


その後、戦国時代になると織田信長、豊臣秀吉をはじめ、名だたる武将たちはみな茶の湯に夢中になりました。
「名物」と呼ばれる名高い茶道具をコレクションし、戦場にも持ち込んで、戦闘の合間に茶の湯をたしなんでいたそうです。
茶室の中で起きることに向き合った者同士は、より親密な関係になれたのでしょう、茶室は、社交の場、密談の場としても機能していたのです。

漫画「へうげもの」では、武将たちの茶の湯への欲望と悶絶する様がありありと描かれています。

へうげもの

戦国時代、織田信長、豊臣秀吉に仕えた戦国武将・古田織部を主人公として描いた歴史漫画作品。
 (中略)
 この時代を舞台にした作品には合戦などの「武」を主題にしたものが多いが、本作は茶道や茶器、美術や建築など、戦国時代に花いた「美」や「数奇」からスポットライトをあてて同時代を切り取った作品である。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

各武将には、「茶頭(さどう)」という筆頭茶人が付いていました。
今でいうと、社長にお茶専門のコンサルが付いている感じです。
かの有名な千利休は、織田信長、豊臣秀吉に仕えた茶頭でした。

そうまでして茶の湯を大事にしていたのは、生きるか死ぬかの毎日を生きていた戦国武将にとって、美しいものを眺め文化に触れるという時間が、心のバランスを取るためにも必要なものだったからではないでしょうか。

現在、茶道人口の8割(※)が女性と圧倒的に多いのは、明治に入って武将がいなくなったことが原因です。
顧客を失った茶道の家元たちは、マーケティング戦略としてターゲットを女性にチェンジしていったのです。

※総務省統計局『平成 28 年社会生活基本調査』より

3.茶道が現代のビジネスエリートにフィットする理由

私は予てから、ビジネスで何かを成し遂げたいと考える仕事欲旺盛な人(=ビジネスエリート)にこそ、茶道をやってほしいと考えていました。
理由は3つです。

理由① 内省を促すことができるから

ビジネスエリートたちは、日々考えを巡らせて頭の中がいっぱいになっている状態が続いていると思います。
茶室で起きること・モノだけに向き合うことは、自分自身の心と向き合うこと=つまり内省を意味します。それをすることで、普段の様々な思考を一旦避けて、リセットすることができるのです。


理由② 学びと刺激が得られるから
茶席には、禅語の掛け軸がかけられます。つまり、いつも先人の教えがそこにあるということです。先人の教えからは、人生に大事なこと/かなえたいこと/深い欲求/豊かな人生って何だろう…という思いを巡らせることができます。

最近私が出会った禅語で印象的だったのは、「積善余慶(せきぜんのよけい)」です。意味は、善い行いを何度も行った家は、子孫にもその恩恵=「余慶」があるということ。
私がこうやって学びを得て幸せでいられるのは、ご先祖様たちの積善によるものなのだと急に時間の奥行を感じ、その中に今生きている自分の有難さに感銘を受けました。
それとともに、今サスティナブルとか言ってるけど、紀元前8世紀にはこうしてシンプルに持続可能な未来を考えていたんだ、禅語すげー、と思ったものです。(私の師匠は、解釈は自由でいいのだと教えてくれます。)

また、茶道は総合芸術であると言われるように、たくさんの芸術品に出会います。教養が身につくだけでなく、各地の文化(織物、塗り物、陶磁器、鋳物…)や技術についての見識が、ビジネスのヒントになることもあるかもしれません。

理由③ビジネスパーソンとしての洞察力が研ぎ澄まされるから
茶道では、お点前、お道具、掛け軸、お花、季節のお菓子などのすべてに亭主のお客様に対する「おもてなし」が現れます。

例えば冬は、水指(みずさし)の蓋を開けるお点前のタイミングが変わるのですが、それはできるだけお客様に水を見せる時間を短くして、寒々しい心地にしないようにという配慮の現れです。
お点前は単なる“型”ではなく心遣いの現れであり、すべて意味や目的があるんです。

では、もてなしって何でしょう?
それは亭主が、お客様に、楽しく気持ちよく過ごしてほしいと思う心遣いから発生する行動です。ですから、おもてなしはお客様が誰であるかによって変わるんですね。

石田三成の、茶の湯にまつわるこんなお話があります。
三成が子供の頃、修業をしていた寺に、鷹狩り中の秀吉が休憩にやってきます。三成は、1杯目にたっぷりのぬるい茶を、2杯目に少し熱めの茶を、3杯目に少量の熱い茶を点てて秀吉をもてなしました。
この心づかいに感じ入った秀吉が、三成を城に連れて帰り、自身の家来としたと言われています。

この、もてなしをする側、受ける側が分かりあう世界が高次元でビジネスを交わす人たちの間にあったら、いいと思いませんか。

茶道を続けていくと、自分が相手を気遣うだけでなく、相手が何を思って準備してくれているのかを汲み取る洞察力も育まれ、研ぎ澄まされたビジネスパーソンになれる気がします。

4.サウナと茶道の共通点

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サ道というドラマが流行り、サ活という言葉もよく聞くようになりました。最近の、イケてるビジネスエリートたちがサウナにはまる現象は、戦国武将たちが茶の湯にはまったのと似ているように思います。
それには、以下のような共通点があるからではないでしょうか。

■サウナでととのうのに必要な要素
①内省:
  サウナ内での内省(暑いこと、それを我慢する自分に集中)、交感神経の活性化
②交感神経の活性化:
  水風呂に入ることによる自律神経、心拍、血圧、血流量、脳内ホルモンなどの活性化
③副交感神経の活性化:
  外気浴による、副交感神経優位への自律神経のスイッチ(緊張からの解放)

■茶道の持つ要素
①内省:
  茶室で起きることに集中する
②交感神経の活性化:
  茶室の緊張感や禅の精神(強い精神、克己心)
③副交感神経の活性化:
  お茶菓子やお茶をいただくこと自体の癒しと精神の落ち着き

また、どちらも日常とは離れた密室であることも同じです。
この密室の中で、自分と向き合い、仲間と語り、癒しを得られるという点が、戦国武将の茶の湯のたしなみににそっくりだと思いまんか。

ちなみに、私がお茶のお点前をする際に一番気持ちいいと思っているのは、シュンシュンとお湯が沸く音(松風の音ともいう)を立てている窯の中にひしゃくで汲んだ水を差すときです。
一気に松風の音が止んで静寂がおとずれ、そのあとの湯返し(ひしゃくで窯の湯を汲み、窯へ戻す動作)でお湯を窯にこぼすときのちょろちょろちょろ・・・という音だけが茶室に響く瞬間がたまりません。
音によっても静と動を感じられる気持ちの良いひと時です。

これって、サウナのロウリュに似ていませんか?(もはやこじつけ?)

サウナと茶道の共通点

5.さいごに

いかがでしたか?
戦国時代の武将同様に、茶道が現代のビジネスエリートたちに必要と、思っていただけたでしょうか。

この記事を書くためにサウナについて調べたところ、とても魅力的で私も行きたくなりましたが、昨今のサウナブームによる混雑のため、なかなか入れないとも聞きます。
そんな時、ぜひ茶道を試してみてください。

高校生起業家として有名になった山内奏人氏も「茶の湯」を推奨しており、会社に専門職として茶頭を置くようになったそうです。

「戦略的にゆとりをもって、休みながら働くことこそが、これから何よりも求められるスキルじゃないかと」
「(決断をめぐり)常に不安や恐怖もあり、それとどう向き合っていくかが、本質的な問題として常にある。だからこそ『余白』を作ったり、文化に触れたりして、正しい意思決定をするための、ベストコンディションを作ることが必要なです」

出典: BUSINESS INSIDER『レシート買い取りアプリの18歳CEOが、元ぼくりりと茶道家を“採用”する理由』

いろいろ書きましたが、特に男性はシャキッと背を正して茶を点てるその姿だけでカッコいいです。多分モテます。

これで少しでも茶道に興味を持った方は、ぜひ私にお声がけください。
茶会体験にお連れしますよ。

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