伊藤守『ひとりでも部下のいる人のための世界一シンプルなマネジメント術 3分間コーチ』
私的要約
『もし、お前に言われたとおり部下が動くのなら、お前はいらない。』
上司には、そのアイデアやプランを翻訳して部下に伝え、部下の行動に結びつけ、行動を修正し、目標に向かわせる能力が求められる。
アイデアやプランとの実行の間には溝があり、上司の言うとおりに部下が動くのであれば、上司はいらない。
部下との良好な関係を築き、アイデアやプランを実現させるきわめてシンプルなマネジメント手法が、3分間コーチである。
3分間コーチとは、
①部下について考える時間をとる。
②部下と的を絞った短い会話をする時間をとる。
3分が難しいのであれば、1分でもいい。とにかく部下と関わる時間をつくることを最優先させたマネジメント手法である。
コーチがすることは、様々な問題について、部下にいろいろな視点をもたらすことである。
それによって、相手がその問題と向き合う、その解決方法を見出していく。あるいは、問題との付き合い方を知っていく。そうやって部下に教えるというより気づかせ、やらせるというよりは自発的にやり出すのを待つ、そういう信頼関係の場を作っていくのが基本となる。
人が成長し、パフォーマンスを上げる時には、このような信頼関係が築かれた場に、楽しさとおもしろさがともなう。
部下との間に、そしてその場に、楽しさ、面白さを作り出していける人、その中で、部下を育て、組織の成長に貢献する。
それが、『コーチ型マネージャー』であり、これからのリーダーの姿である。
教育×読書
教育という視点で見れば、上司部下の関係も、講師生徒も関係も同じである。この書籍内の部下と書かれてある部分をそのまま生徒と読み替えて読んでいけば、必然的に生徒に対するコーチングの姿勢が学んでいける。
生徒に対しては、知識を教え込むティーチングの部分と、勉強に対する姿勢や心構え取り組み方、学習計画のプランニングやそれに対する実行などのコーチングの部分がある。
この書籍に書かれてある通り、まずは講師と生徒の間に信頼関係が築かれているかどうか。これについては生徒の成績が伸びるかどうかの一番重要なポイントであると思う。
細かい手法は自由だ。信頼関係さえあれば、『この先生の言うことについていけば絶対安心』と思わせるも良し、『生徒に様々な気づきを与え、自ら考えさせながら成長させていく』のも良し。
ただし、学習塾の生徒の場合には、受験までの限られた期間の中でおこなう必要があるため、残りの期間や塾生本人の性格などからどうすることがベストなのかを考えながら、最大限成績が上がるコーチングをしていくことが講師としての腕の見せ所であろう。
生徒一人ひとりのことを考える時間をとり、一人ひとりと的を絞った短い会話をしていくことが、生徒の志望校合格、夢の実現へとつながっていくに違いない。
この書籍は、講師に必要なティーチングスキルとコーチングスキルの内、コーチングスキルの上達に一役買ってくれるはずだ。
私的感想
私は立場上、部下の育成もしていかないといけないのですが、この書籍に書かれていることはお恥ずかしながら、生徒にはできていても部下にはできていないことばかりでした。『もし、お前に言われたとおり部下が動くのなら、お前はいらない。』とは、本当に耳の痛い言葉です。部下に対しては大人だからこれくらいは、、、というのもあるのかもしれませんが、それにしてももう少し真剣に部下育成、コーチングについてしっかりと考えていきたいと思いました。
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