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【MIL】WBC米国代表Devin Williamsとは【WBC】
ブルワーズ担当のあなんです。
先日、各国のWBC出場選手が発表され、ブルワーズからは傘下・ロースター外含め14人が選出されました。
Good luck to our stars heading to the @WBCBaseball!
— Milwaukee Brewers (@Brewers) February 10, 2023
From our MLB Roster:
Devin Williams 🇺🇸
Willy Adames 🇩🇴
Joel Payamps 🇩🇴
Abraham Toro 🇨🇦
Rowdy Tellez🇲🇽
Luis Urías🇲🇽
Javy Guerra 🇵🇦 pic.twitter.com/X013TMia6r
Minors & Non-Roster:
— Milwaukee Brewers (@Brewers) February 10, 2023
Victor Castaneda 🇲🇽
Matt Hardy 🇵🇦
Sal Frelick 🇮🇹
Michele Vassalotti 🇮🇹
Alex Claudio 🇵🇷
Carlos Rodriguez 🇳🇮
Robert Stock 🇮🇱
Alex Hall 🇦🇺
その中から今回紹介する選手は、アメリカ代表として出場するDevin Williams(デビン = ウィリアムス)。Devinはブルワーズが誇る28歳のリリーフで、昨年はオールスターゲームに出場しています。
とはいえあまり馴染みない方も多いと思うので、今回はDevinのキャリアなどにはあまり触れず、WBCを観る前に押さえておくべきポイントに絞ってお話しします。
〇 実はサッカー好き
いきなり野球とは関係ない話を。
学生時代は野球よりもサッカーが好きで、サッカー選手になりたかったそう。野球の方が優れていたために野球選手としての道を歩んでいますが、1Aで不本意な結果に終わった2018年には、大学に編入してサッカー選手としての道を考えていました。インタビューでは「年中サッカーをやっていたかった。ずっとサッカーをできる友達が羨ましかった。セントルイス(地元)ではサッカーが人気だったからね」と語っています。今でもオフにはフットサルをしたり、ロンドンへサッカー観戦に行くなどサッカーへの熱は消えていません。
〇 成績
Devinは2019年に25歳でデビューすると、短縮シーズンの20年は22試合に登板して自責点はわずか1。27イニングで防御率0.33、53奪三振の圧倒的な成績でナ・リーグ新人王に輝きます。
4年目のシーズンだった昨年はセットアッパーとして自己最多の65試合に登板。60.2イニングを投げて96奪三振、防御率1.93。シーズン途中からはクローザーにまわり15セーブを挙げています。
〇 魔球チェンジアップ
Devinの持ち球は主にフォーシームとチェンジアップの2つですが、このチェンジアップはエアベンダーと評されている魔球です。
90 Seconds of Devin Williams getting Whiffs & Called Strikes on Changeups of over 3,000 RPMs. pic.twitter.com/yam1r96Ydu
— Rob Friedman (@PitchingNinja) February 7, 2023
エアベンダーの異質な点は回転量。
一般的にチェンジアップを投げるときはストレートよりも回転(バックスピン)を抑えます。そうすることでボールが沈むようになります。
Lucas Giolito changeup grip + release for @PitchingNinja pic.twitter.com/Q1Lq66FfQN
— Nick Pollack (@PitcherList) July 10, 2019
しかし、Devinのチェンジアップは強烈なサイドスピンがかかっているのです。私も最近知って驚いたのですが、Devinのチェンジアップの回転量はフォーシームの回転量を大きく上回っており、これが特異な変化を生んでいます。
Devin Williams, Airbender (release/spin) pic.twitter.com/6BzlSMOmOw
— Rob Friedman (@PitchingNinja) May 27, 2021
下の審判目線の映像をみると、ブレーキがかかったかのように三塁側へ沈んでいるのがわかります。この大きな変化から、空気をねじ曲げるという意味のAirbenderと名付けられています。
Devin Williams, Airbender (home plate view) 🛸😳 pic.twitter.com/3l61oeCiWu
— Rob Friedman (@PitchingNinja) February 7, 2023
投球割合は60%近くがこのチェンジアップですが、昨年のチェンジアップ被打率はわずか.185、空振り割合(空振り/スイング)は40%超え。打たれたホームランはたったの1本。くるとわかってても打たれないのがエアベンダーなのです。
〇 フォーシームも侮れない
魔球チェンジアップを警戒していると投げてくるのがフォーシーム。昨年のフォーシーム被打率は.090とこれまた圧倒的な数字です。
21年まではチェンジアップが決め球でしたが、昨年はフォーシームも決め球として使っています。フォーシームで奪った三振数は前年の倍以上で、特に対右打者への空振り三振が顕著に増えています。
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2ストライクに追い込んだ後、それまで右打者に対してはチェンジアップ一辺倒の配球でしたが、昨年はフォーシームの割合を大きく増やしたのです。
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左が2021年、右が2022年
しかし、Devinのフォーシームは特筆して素晴らしいボールではありません。球速は平均以下の94mph(150m/h強)、回転量も平均やや上程度で、抜群に伸びがいいわけでもありません。
それにも関わらず打たれない秘訣は、球持ちの良さ。昨年のエクステンションは7.60ft(およそ2.3m)でMLB2位の長さを誇っています(1位はアンダースローのCishek)。
エクステンションとは、マウンドとリリースポイントまでの距離を指し、長ければ長いほどボールを打者の近くでリリースする、つまり打者に対して実際の球速より速く感じさせることができます。
昨年のレギュラーシーズンでフォーシームを400球以上投げた投手は230人。そのうち、実際の球速と体感球速の速度差が最も大きい投手はDevinです。Devinはボールを数字以上に速く感じさせることに最も長けた投手なのです。
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本人も「球持ちの改善に取り組んだ」と語っており、速く投げなくても威力のあるボールにグレードアップしました。打者は魔球チェンジアップを警戒するあまり、球速以上の速さで向かってくるフォーシームに手が出ない、あるいは振り遅れて三振に倒れるのです。
FREE BASEBALL IN SAN DIEGO! 🚨
— Bally Sports Wisconsin (@BallySportWI) May 24, 2022
Devin Williams brings the 🔥 and the Brewers and Padres are tied 2-2 heading into the 10th inning. #ThisIsMyCrew pic.twitter.com/bxyWRoOKV8
〇 強いてあげる弱点
Devinをヨイショしすぎてもいけませんが、正直、侍ジャパンが初見で攻略できるとはこれっぽっちも思っていません。エアベンダーでバットが空を切る絵が目に浮かびます。
Devinの打たれるシナリオとして無理やり捻り出すならば、見せ球に投げる高めのフォーシームが甘くなる、あるいはチェンジアップが落ち切らず拾われる。
しかしいずれも疲労が溜まっている時しか訪れません。それほど打つのが難しい投手です。ただ裏を返せば、早くても準決勝まで対戦しない侍ジャパンにはまだ攻略する可能性が残されてるともいえます。
また、Devinはかなりの頻度で四球を出します。昨年は被安打31に対して、与四球は30です。ランナーを溜めて相手ベンチのメンタルを削りましょう。Devin自身ランナーを出すことはざらで、それくらいでは動じません。監督の我慢をピークに持っていって降板させるのが作戦です()。
あとは、これだけ圧倒的な成績を収めているDevinも開幕スタートの4月だけはひどく不調なので、調整不足でWBCはボロボロなんて可能性もギリあります。
〇 さいごに
ベストコンディションのDevinにはまず太刀打ちできません。彼が躍動する姿をいちブルワーズファンとして応援します。