【MIL】Survive&Advance ①【Yelichのマイナーチェンジ】
ブルワーズ担当のあなんです。
今年も気になった選手を特集するnoteを不定期で書いていきます。シーズン通して数人ピックアップしたのち、オフに「あの人はいま」と題してその後どのような経過を辿ったかをお伝えできたらいいなと考えています。
1回目はYelichです。
2017年オフにマーリンズからトレードで移籍したYelich。2018、2019年の華々しい活躍は皆さんもご存じかと思います。数字を並べるまでもありませんね。
しかし2019年終盤に自打球で骨折すると、翌年から成績が急激に低下。今では三冠王を狙っていた姿は見る影もありません。
そんなYelichですが、昨年から少しずつマイナーチェンジを果たしているのです。今回はその変化について3つお話しします。
○ 1. 打順
ブルワーズ移籍後は主に2番、3番に座っていたYelich。ポイントゲッターとしてCainの後ろを担っていました。
しかし、怪我を機に著しく長打力が落ちます。
22年の4, 5月も平均をやや上回る程度の得点創出(101wRC+)に留まり、長打率もわずか.386でした。
こうした状況でCounsell監督は配置転換に踏み切りました。怪我に苦しんでいた20年と21年も出塁能力は衰えておらず、走力もある程度維持していたため、理にかなっているといえます。また、当時1番を務めてたWongが離脱中だったことも影響しています。ちなみにマーリンズ在籍時はDee Gordonが加入する前の2014年に1番を務めていました。
そしてYelichは6/8のPHI戦で1番に座ります。
この日を境にYelichは復調します。リードオフマンとしてのデビュー戦を4打数1安打で終えると、その月は21試合で.326/.402/.442 140wRC+。飛躍的に成績を上げました。以降、Yelichは1番に固定されることとなります。
打順変更してからというもの、打率と出塁率が向上しています。かつての長打力は取り戻せてませんが、MIA時代を彷彿とさせるアベレージヒッターに生まれ変わりました。
○ 2. 打球角度
怪我の影響で見るからに成績を落としたYelichですが、実は打球速度はMLB上位クラスでした。ハードヒットも維持しており、この点で「いつかはバウンスバックする」という期待もあることにはありました。
しかし、最大の問題は打球が上がらなくなりゴロが急増したこと。GB割合は19年の42.8%から51.6→55.7→59.1%と右肩上がり。平均打球角度も11.4°から7.1°→2.8°→3.6°。どんなに打球速度が速くても、角度がなくては長打は出ません。
それが今年に入って徐々に打球が離陸しはじめています。4月終了時点の平均打球角度は3.4°(あれ、前見たときは4°を超えてたのに…)。ライナー性の当たりが増加しました。
顕著に表れているのはファストボールに対する打球角度。20年の水準にまで引き戻しています。
持ち前の打球速度に角度が伴った結果、対速球の成績は上昇。長打率は前年の.414から.491にまで伸びています(5/1時点)。変化球には依然として苦しんでいますが、ゴロマシーンだった昨年と比べれば大きな進歩です。
○ 3. 打球方向
Yelichはキャリア通してセンター方向から引っ張りの割合が多く、昨年も反対方向の割合が27.6%に対して、センターは38.9%、引っ張りは33.4%でした。
しかし今年は反対方向への打球が40%近くにまで急増しています。シフトが制限されているにも拘らず。
ホームランを除くヒットのうち、反対方向への打球が大部分を占めています。
昨年は二塁ベースとセカンド定位置の間に幾度となく鋭いゴロが飛んでおり、相手チームはショートがそこを塞ぐ形でシフトを敷いていました。自分の推測としては、今年はこうした打球がヒットになりやすくなり、打率は上がると思っていましたが、想定外な変化です。
statcastが導入された2015年以降、Yelichの逆方向打球割合が30%を超えた年はありません。この変化はYelichが広角に打てるようになったという進化なのか、はたまたライト方向に質の高い(速度と角度が伴った)打球を飛ばせなくなったという衰えなのか。シーズン1カ月をこなしたばかりでなんとも言えませんが前者であってほしいところ。
現在31歳のYelichは36歳(2028年)まで年$26Mの契約を結んでいます。このまま契約満了までリードオフマンを続けられるとは到底思えません。ですが、こうしたマイナーチェンジを繰り返して少しでも長生きしてくれたらいいなと願っています。
今回は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?