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人の中にあるモノ・コトにフォーカスして、自己表現したい人が自己表現しやすい世界へ

 「自分は、何かができる人だと思ってない。できない中で、できない人間なりにどれだけその何かに対する想いがあるか・向き合っていけるかを考えてる。」 

 現在聖学院高校3年の黒澤諒さんは、グローバルイノベーションクラス(以下:GIC)の哲学-メディア-藝術ゼミに所属し、メイクを使った表現活動に取り組んでいる。そんな彼と取材を行なっていくと、プロジェクトのこと以上に興味深い彼の人間性が見えてきた。

 初めに彼がこれまで行なってきたプロジェクトについて聞いてみた。

「やったこととしては、メイクのウェブサイト作成・動画作成、そして動画を撮影するついでにメイクをすること。けど、それはぶっちゃけ総合型で受験するためにどうにか形に残した方がいいと思い取り組んだ。軽薄だけど。それ自体がやりたいことではない、あくまでも導入として。」
 これを始めたきっかけは、「起業・ビジネスってかっこいいな」と思ったこと。ただ、「起業はあってないなって途中から思ったから、これからは表現に注目していきたい。自分なんかが誰かにメイクを教えることは、『俺メイクできるよ、すごいでしょ』っていう見せつけになる。だからそうではなく、たとえばその人がアイシャドウなどの『色』を選ぶ時の思考に着目し、人の中に内発するものをメイクで表現していけたらなと。大きく言えば、人の中にあるものに注目したものを外に表現していきたい。今はそれがメイクってだけ。要は、人の感性に着目したい。」

 今のプロジェクトのフェーズを聞くと、実行から振り出しに戻ったとおっしゃっていた。なぜかと聞いたところ、活動中にビジネスはクソだと思ったそう。彼が所属している起業家講座の人と面談した際、自分の想いを伝えると、「それはあなたのエゴでしかない」と評価され、そういう姿勢だったら自分はそこにいる必要はないと感じたそう。この経験から、ビジネスの視点ではなく、より一層、感性・表現といった視点に惹かれたという。

 彼のこれまでの人生の中での失敗談や諦めたことについて聞いたところ…

 「自分は人間として失敗作だと思ってる。生まれた時からもう、それ自体が失敗だと思っている。今自分が置かれている環境の中で、『どう考えていくか』が生ていく上でなくてはならないことだと思う。あと成功することはないと思う。『成功だな〜』なんて思うことは、思い込みも甚だしいし、傲慢というか。だから失敗があるというよりかは戦っている感じ。失敗の中で。人生を良くしたい訳ではないけど、抗ってる。そして、巡り会った『コト』や『人』と仲良くなろうとは思わない。自分はどこまでもネガティブだからそもそも、そっちの方向で考えない。いちいち、関係を作ろうとかも思わない。自分と肌が合うなら関わっていこうって感じ」

 そう語る彼に、「高校からGICに入っていろんな経験をしてきて、それをまた考えた時に、失敗だと思ったことはあるのか?。そもそも成功↔︎失敗で考えないのか、常に失敗だと考えているのか?」という問いかけをしてみた。それに対して彼はこう答える。

 「成功↔︎失敗で考えたことがない。自分が何か目にみえる成功がないからそうなのかもしれないが、はなから自分が何かができるっていう確信がない。できない中で、どれだけ何かに対する想いがあるかが大きい。その中で自然と自分が向き合えているのが自己表現、ないしは人の感性や在りたい姿について。」

 プロジェクト関係なく、自分の人生やその生き方を構成するきっかけとなった出来事=ターニングポイントについて聞いてみた。

「小4の夏かな。中学受験を始めた時期で。親に言われ、成り行きで。気づいたら始まってた。それまでは自分のやりたいことをとことんやって楽しんでた。けど自分も周りの友人も受験勉強を始めたことで、今までみんな同じ世界にいると思っていたけどそうでないことに気がついた。このタイミングから、自分に負の矢印を向けるようになった。」

 その後彼は、自身の性格・人間性について話だした。

 「自分はいい人だと思っていないし、もちろん自分が嫌い。生きるために「自分」に固執している。生きるために、自分が自分であるために精一杯なのかも。別に生きたい訳ではないけど。今のところ死ぬ理由はそこまでないし。それと、考えていない人は嫌い。動物みたいな、本能で生きてる人。考えていない人は、考えていないくせに得意している気がする。刹那的に生きてるから。だから考える人ほど損していると感じる。先を見据えたり、色んなことを考えるほど、労力もかかるし。でもやっぱり、考えている人は、その人っぽさがある、考えてきたからこそ、固まった自己がある人。それがおもしろいと感じたから、人の内面に注目していきたいと思った。だからこそ、考えもせず、その辺の情報に流されてる機械的な人は好きではない。」

 以前から彼とは付き合いがあり、この村人Aのメンバーとして一緒に活動を行なっているが、取材から彼の核となる人間性が見えた。改めて興味深いと感じ、全てではないが参考にしたい、自分もそう在りたいと思った部分があった。この記事を読んだあなたも、彼の生き方を参考にしてみてはいかがでしょうか?(本人いはく、「世界が黝くなるから、やめといた方がいい」とのこと。)

 

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