マニアックな選曲の「テナマニ」で感じたバンドの成熟
テナモバ presents “STRAIGHTENER MANIA” vol.2
8月12日(月祝) 東京 Zepp DiverCity
🔹全体の雑感
ストレイテナーの「テナマニ」東京公演の感想です。ホリエくんによれば、意図せずおよそ6年半ぶりの開催となってしまったそう。コロナとかありましたしね。
元ネタはTHE BACK HORNの「マニアックヘブン」で、いつぞやはっきりと「パクったw」と言っていたような気がしますが、"いにしえの埃をかぶってほぼ見えなくなってた曲"を掘り起こして、マニアックなセットリストを披露する特別な企画です。
2人時代から緩くテナーのファンですが、正直「これ何てタイトルでしたっけ?」と思った曲がいくつかあったのは確か。すみません。でも逆にそのせいで、新鮮に聞こえて新たな発見があったりしたのも確か。
ストレイテナーは人数が増えるという特殊な形態のバンドなので、OJ加入前のレア曲を、OJが入ったバージョンで聞いて新鮮さを味わえるという面白みがあります。
加えてストレイテナー自体が進化している。だから、「もう2度と聞けないと思っていたあの曲が聞けた!」という喜びの他に、「久しぶりに聞いたあの曲が、こんなに大人の顔になっていた」「この曲に、こんな一面があったなんて今さら気づいた」と言う感動もあり、どちらかと言うと後者の方が自分にとっては面白い音楽体験でした。
ここ最近、ホリエくんがステージ衣装でネクタイをつけています。
ひなっちが「ニュー・ウェイヴ系でしょ?」と突っ込めば、「ブリティッシュ系だ」とホリエくんが答えていましたが、そのせいもあるのかライブを見ている最中に、UKロックバンドというか海外のバンドを見ているような感覚になったりしました。途中、「センキューフォーユアダンシン!」って外タレみたいに叫んでいたせいもあるかなぁ(笑)でもこれは昨年の武道館の時にも感じたことでした。
テナーは国内外問わず色んな音楽に影響を受けている。様々な音楽を吸収し、蓄積されたものが音やプレイに反映され、洗練され研ぎ澄まされている。良いものを取り入れた上で、さらに日本のバンドらしいオリジナル力が磨かれている。
そんな成熟したテナーがかっこいいなぁ、このかっこ良さは日々更新されているぞ、と実感するステージでした。
整理番号が真ん中らへんぐらいで、1番段の高いところからステージ全体を見渡していましたが、4人の姿が強烈に輝いていて眩しかったです。
ホリエくんのボーカルも進化していると感じます。性格的にボイトレなどはしていなさそうですが、明らかに若い頃よりも声が太くなっているように思うし、オラついて歌う時なども以前より迫力を感じます。
セットリストは2018年の「テナマニ」の方が好みでした。恐らく初期の曲が多いからです(自分が今よりも熱心にテナーのライブへ通っていた時代の曲が多い)。
それもあって、選曲以外の要素がインパクトに残ったライブでしたし、最新のテナーが詰まった新しいアルバムがますます楽しみになりました。
参考:前回のセトリ
🔹ライブの感想
・1曲目「プロローグ」から、「知ってるけどタイトル何でしたっけ?」と思ってしまった。いや好きなんですよ、好きなのに全然ライブで出番ないからやっぱり忘れちゃうんだよな。
「DON'T FOLLOW THE LIGHT」はタイトルは覚えていますが、こちらも久しぶり過ぎて、嬉しいというよりも呆気に取られたまま終わってしまった。当時はよく聞いていたのに。
・「STILLNESS IN TIME」が静かに始まって静かに喜ぶ。イントロの音色に、当時はニルヴァーナの影響が濃いよねと思いながら、久しぶりに聞いて嬉しく思うと同時に、OJのギターがべらぼうに良い仕事をしていて痺れる。
2020年のコロナ禍で「TITLE」の配信ライブをやった時に、OJの際立ったアレンジに度肝を抜かれたことを思い出しました。
この曲を聞くと、勝手にジム・ジャームッシュの「デッドマン」が浮かぶ。モノクロ映画で、なんとなく歌詞の世界観に近いからかもしれない。なんだかOJがジョニー・デップに見えてきて仕方ないという。OJのかっこいいアレンジが生きたバージョンをついにライブで聞くことができた感激。また絶対にやって欲しい。
サビ前で威勢よくインパクトを残した照明も、音とぴったりで痺れたなー。
・「Diamond Phillips」がめちゃくちゃ良かったのです。「こんな良い曲だったっけ?ごめんなさい気づいていませんでした」という気持ち。もしかすると今のストレイテナーだから、よりかっこよく聞こえたのかもしれません。
英語詞で、メロディーも恐らくホリエくんが好きな海外アーティストの影響を受けているような、日本人離れしたようなかっこ良さ。(Phoenixっぽさある?)
声の伸びもとても良くて爽快でした。できれば今後ライブでもたまに聞けたらいいなと願ってしまった1曲。
・「The Nowarist」について、ホリエくんが「一番のマニアック曲かな」と言えば、ひなっちが「みんな知ってるんだ!30人ぐらい?」と茶化す。
ホリエくんが「捨て曲」とか「向こう10年はやらない」と言ったので、会場からは不満の声が。
私は「Dear Deadman」厨なのでね、「The Nowarist」の悪口は許しませんよ(笑)
確かに今のテナーからすると幼さがあるし、思い入れはないのかもしれませんが、どんな曲にも熱心なファンは絶対にいるので、全てのバンドマンは「捨て曲」って言わないで欲しいなぁ。
そもそも「捨て曲」という言葉が嫌いです。曲に失礼だなと思って。
・「Wonderfornia」は嬉し過ぎてイントロで声が出ました。ベストアルバムのファン投票でもかなり順位が低くてがっかりしたので、もう2度と聞けないと思っていた。桃源郷みたいなホリエワールド。どこかファンタジックな雰囲気があって、ワクワクが掻き立てられる、隠れた名曲だと思っています。
昨年の武道館で配布された「テナモバ新聞」に"「俺たちストレイテナー」が考える楽曲ベスト5"というコーナーがあり、シンペイが5位に選んでいるのを見て喜んだんだよな。大阪公演で、メンバーの意向をセトリに反映したと話していたそうです。シンペイのお陰だ、ありがとう!
・「ここからはダークサイド」と宣言されて、「Rest」「Sad Code」「Dark Blue Day」が披露されました。
「LINEAR」の頃って、ちょっとだけテナーから離れていた時期なので「Rest」にあまり思い入れがないのですが、恐らく今のテナーが演奏するからこそ、アレンジや音がかっこ良く、最新の「Rest」はすごく自分に馴染むと新たな発見。
「Sad Code」は、1番ライブへ頻繁に行っていた頃によく聞いていたので、懐かしく聞き入りました。ぼんやりとした照明の中、サビで青のスポットが空に点々と瞬く演出も良かったです。星座かな。
・「Curtain Falls」を聞くと、いつの間にか脳内が「Farewell Dear Deadman」になってしまうんだよな。今日もやっぱりそうなってしまいました。すみません。
・大好きな「Alternative Dancer」が入って嬉しいと同時に、マニア枠に入る曲だろうか?とも思ってしまった。割と最近の曲だと思っていたけれど、2016年リリースか。時の流れ早い。
ひなっちが、「自分が好きなジャンルを、全て楽曲に投影できた完結曲。この曲のおかげで、この後のストレイテナーのビジョンが見えたのを思い出します」と「テナモバ新聞」でコメントしていた推し曲ですが、なるほどと思います。
好きな音楽のジャンルがとてつもなく幅広いひなっちをして完結曲と言わしめる曲。他のどの曲とも似ておらず、ジャジーでうねるようなグルーヴにたゆたうのが気持ち良く、なおかつ終盤に向かって突き進む様子がロックだなと思います。
リリース当時は夏フェスでもやっていて、テナーをあまり見たことがないと思しき縦ノリキッズが棒立ちになっていたなーなんてことを思い出す。
・ひなっちの、もはや持ちネタと言える「KINGMAKERをやらない」と言うぼやき(笑)
今日はOJがギターを弾き始め、シンペイとひなっちが乗っかり、ホリエくんがギターレスで踊り出すという珍事が発生したので大盛り上がり。
「え?こういう曲じゃなかった?w」と全力でボケるホリエくん。
「KINGMAKER」は前回のテナマニでやりましたね。みんな大好きだからまたやってくれていいよ!
・「Dive」は前回ツアーのリクエスト枠で広島のみ演奏され、とても羨ましいと思った1曲。聞けて嬉しい!
と言うのも、ホリエくんは2021年の「HINA-MATSURI」(ひなっち主催のイベント)で、「テナーでやりゃーしない曲(笑)」と笑い飛ばしていたのですよ。その日は鍵盤を別所和洋さんが担当してくれて披露されました。以前はちゃんと自分で弾きながらやっていたではないか、と思ったのですが、やっぱり弾きながら歌うのが大変なのだろう。
とは言え、鍵盤弾きながら気合の入った最新アレンジを聞かせてもらえて感無量です。むっちゃかっこいい!
シンペイも、アフタートーク配信で「Diveは緊張感があるから嫌い」って言っていました(笑)ドラムも難しいよね。
リリース当時、ホリエくんがDJイベントで予告なしに流して「うわ、かっこいい!」と思ったのが最初だったので、そのファーストインパクトもあってずっと好きな1曲です。静と動のコントラストに滾ります。変化球ではあるけれど、一筋縄ではいかないテナーらしいと思う1曲。
・「AFTER THE CALM」と「Force」はタイトル覚えてるけど、なんとなく記憶に薄いなぁと思いながら聞く。もちろん聞けば良い曲なんですけどね。
・「テナマニは緊張する」と話した後に、「星の夢」の出だしのアルペジオをとちったホリエくん。わざわざ声に出したということは、特にハードルが高いのだろう。
ホリエくんのアルペジオに、OJが重なるのが美しい。すっかりタイトル忘れていたけどね。久しぶりにこの曲のかっこ良さを思い出しました。
心持ちかホリエくんのボーカルも攻撃性が強まっていて、ドラムとベースい勢いと相まってド迫力。
「金星と月と木星が一列に並んでいたよ」の浮遊感に静かに浸りたいのに、私の苦手とする夏フェス厨が手拍子を始めるので、音楽の邪魔なんだよ手拍子はフェスだけにしておけよと思うなど。あの手拍子、本当にいる???
・「ETARNAL」がなぜセトリに?と思ったわけですが、中止になったテナマニの投票1位だったから絶対にやる、とホリエくんが決めていたそうです。なるほど。シンペイがアフタートークで裏話してくれました。律儀やな。
・イントロでやっぱり悲鳴が出てしまう大好きな「SING」、よく「TRAIN」と「SING」を勘違いしてぬか喜びという事態が起こりますが、テナマニで「TRAIN」をやるわけがありませんのでね。
いつぞやのライブでホリエくんが「反応悪いからもうライブでやらないw」と言ったことを一生根に持っていまーす。
頭から終わりまで軽快で心弾む。キメのシンペイの雄叫びにシンクロして声出ちゃうよね!
・アンコールは、比較的新しいアルバムから、スタッフにも好評だと言う「After Season」を。やばい、ほぼほぼ存在を忘れていた。恐らく「Future Soundtrack」をそんなに聞き込んでいないのだと思う。そんな時期もあるよね。すみません。だからこそ、こうやってたまに掘り起こしてもらえると助かるw
やだ、良い曲じゃない!(イントロは記憶にありましたよ)
ちなみにシンペイもアフタートーク配信で、リハで「テナーにそんな曲が?エルレかアジカンちゃうん?と思った」と話していて笑いました。ごめんよ「After Season」、もう忘れないよw
・最後は10月発売のアルバム先行シングル「COME and GO」が披露されました。しかも、先行シングルはもう今週中に先行配信だなんて。新曲を作っているのはなんとなく把握していたけれど、リリースもっと後かと勝手に思っていたよ。
動画撮影OKとのことでしたが、新曲をライブで初聞きできる喜びに集中。(撮影してる人は1/4~1/3ぐらいな感じだったような。)
ちゃんと「後ろの人に気を使って撮影してね」と言ってくれて良かったです。海外バンドのライブとかフェス行くと、まじでスマホ掲げる腕が邪魔なんですよね。いつかのWeezerの来日で、頭からお尻までずっとスマホ掲げている客に辟易した経験あり。
アジカンはたいていアンコールだけ撮影OKにしているけど、制約があると良いよねぇ。
新しいアルバムについて、「テナーはスルメ曲が多いと言われるけど、今回は二郎系」(1曲1曲パンチがあってわかりやすい)とふざけていましたが、わかる気がしました。
ひと昔前の洋楽っぽさもありながら、日本のポップスの良さも合わさった、耳馴染みの良いロックサウンドだなぁと感じました。
近頃、ホリエくんが威勢よく英語を発すると、なんだかUKロックっぽく聞こえてしまう病気なのかもしれません。何故だ。あれ?クリスピアン・ミルズ降臨した?みたいなwww
恐るべしホリエマジックー!
🔹セットリスト
★=昨年武道館で配布の「テナモバ新聞」にて"「俺たちストレイテナー」が考える楽曲ベスト5"入りしていた曲。
盆時期のダイバーシティーが稀に見るカオスですごかった…
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?