覆面バンド「633」の初ツアーがハッピーとサプライズに満ちていた
謎めいた覆面バンドの降臨
ある日、Twitterに見知らぬバンドのツイートが流れて来ました。視聴してみたら、なんと!馴染み深い(深すぎる)歌声ではないか。「一体全体これはどういった状況なのだろうか?」と混乱&爆笑。このアカウント自体、けっこう前から始動していたようなのですが、全く気がつかなかったです。
バンドの公式サイトをチェック。
どうやらソーセージの化身らしい。なるほど。いや、全然なるほどじゃないのですが、面白そうなプロジェクトに乗っからない手はありません。こういうワクワクって最高じゃないですか?
1stアルバム「SIX HUNDRED THIRTY THREE」を聞きました。なんとも懐かしい感覚が蘇ります。エモ・ポップって、皆あの頃好きだったよね!いや今も好きだけどね!適切な表現かわからないのですが、"ストレイテナーがELLEGARDENをやってみた"といったフレーズが頭をよぎりました。
近年だと、テナーの「Last Stargezer」を聞いた時も「うわっ懐かしいなぁこういう曲調」と感じたことを思い出す。初期衝動みたいなフレッシュさもあり、どの曲も聞いても楽しい気持ちになるので、休日のウォーキングのお共にヘビーローテーションのアルバムとなりました。
「ギターマガジン」のインタビュー
謎多き覆面バンドなので、貴重な情報源として面白く読みました。
“どんなところでも聴いたらハッピーになれる、日々の憂さを晴らすような音楽を作る”っていうコンセプトに納得。疫病流行の世の中を、ひたすらハッピーな音楽で楽しくしたい、と言う気持ちもあったのだろうか。
私はTHE KEBABSが大好きなのですが、このバンドの音楽もひたすら楽しい、そしてメンバーがベテランなのでクオリティーが高い。何も考えずにハッピーな気持ちになれるので、自粛期間中はTHE KEBABSを聞きながらウォーキングすることが多かったけれど、もし当時633がデビューしていたら、633のアルバムもよく聞いたんだろうなと思います。
ジミー・イートにウィーザー、ASPARAGUS、LOW IQなど納得のラインナップです。アスパラは最初に聞いてすぐそう思ったもの。
ウィーザーは来日公演に何度も行ったことがあるぐらい好きなのですが、このアルバムの中でウィーザーっぽいいのってどれだろう?「Drink Up」も「Radio Song」も「Aurora」もなんとなくエッセンスがあるかな?
3マンツアー開催のお知らせ
ほどなく3マンのツアーが発表されました。なんと新人バンドのツアーに全箇所にストレイテナーが帯同。おもろ(笑) テナーファンとしても大喜びです。おじちゃん達、頑張ってね!興味津々で横浜と豊洲のチケットを取りました。
ツアーの発表後にイベントでストレイテナーのライブを見たのですが、MCでホリエくんが「今度633のツアーに参加する」「ルーツが似てるみたいで」と、とぼけて話していました。あくまでそういうスタンスなのね。
興味本位で633のTwitterアカウントは誰をフォローしているのかなって見てみたら、たくさんのかっこいいバンドに混ざって「町中華で飲ろうぜ」のアカウントがあったので爆笑です。このTV番組はテナーのホリエくんもお気に入り。音楽ルーツの他に、町中華好きという趣味も一緒なんだね。
※以下、ネタバレしています。
11/21「Bier Fest Tour」@KT Zepp Yokohama
◇ストレイテナー
必然的にベテランのテナーがトップバッターに。新鮮。
近年のテナー、昔よりもセットリストのバリエーションに幅があると感じられて楽しい。1曲目の「The Wolrd Record」にぶち上がり、続けて「VANDALISM」でさらに加速。この並びはやばい、嬉しい、懐かしい、全身の血が喜びと快感で沸騰しているのを感じます。
メロディアスなテナーも良いのだけれど、わりとエキセントリックなことやってるテナーも大好物なので。リズムが不規則だったり展開が風変わりな曲に快感を覚えます。
「Lightning」や「The Novemberist」みたいな静かなる爆発力も秘めた曲も大好きなので、何このセットリスト最高…って思って喜びと興奮が収まらず。「PLAY THE STAR GUITAR」も私は久しぶりに聞けて嬉しかったです。割と昔の曲もやってくれたのは、633が対バンにいたからなのかな。初期衝動的なね。
テナーと633は楽屋が一緒だそうですが、一度も楽屋から出て来たところを見なかったそう。「冷蔵庫に入っていたのかな」という疑惑。
シンペイは「メンチ切られた」と言っていたけれど。笑。
◇Age Factory
初見です。重ためのリズムが心地よくてクセになる感じ。ドラムがとても気持ちが良い。ボーカルもいいなぁと思いました。ACIDMAN大木のようなまっすぐな力強さと、afoc佐々木みたいな色っぽさを感じました。勝手なたとえで申し訳ないけど。
「ストレイテナーに呼ばれました」と言った後に、633と訂正する場面が。お付き合いいただきありがとうございます(笑)
◇633
覆面バンドはどのようなライブスタイルなのだろうか。
転換中に紗幕が張られたので察しました。紗幕は最後まで張られたままで、ソーセージ達の姿はうっすらとしか見えないスタイル。
元気いっぱいに登場したロクサンサン、どうやら衣装はアー写のイラストと同じようです。ちなみにこの衣装はサトヤスのブランドなんですって。おしゃん!
リード曲の「Drink Up」からスタート。紗幕には、MVと同じようにカラフルな世界でソーセージ達が軽やかに動き回る映像が映し出されました。VJも見たいし、紗幕の向こうの実物も見たいし、困った。
「Sweet Rain」は、GREEN DAYっぽいパンクだなぁと感じる。先ほどの「ギタマガ」によれば、本人たちは「ブリンク182」「アッシュ」って言っていますけど、やはり懐かしサウンド。
「Girls Don’t Cry」も、oiパンク系で懐かしさと楽しさを感じます。マイナーコードの「Aurora」の時は、雪の景色のVJだったような記憶。633の曲の中ではハッピーよりも切なさ、エモさが際立つ。しんしんと冬の寒さが染みるような。
「One Summer Day」はアルバムの中でも特大のお気に入り。ストレイテナーの「GHOST OF CHRISTMAS PAST」や「Wonderfornia」と同じニオイがする。ドリーミンでハッピーなメロディーがたまりません。
初めて聞いた時、イントロの軽快なギターリフが「Phoenixっぽくて最高だな」と思いました。Phoenixはホリエくんが好きなバンドで、ソロプロジェクトのentでもオマージュ(と推測できる)曲があります。
先ほどの「ギタマガ」のインタビューで、SOFT CREAMがPhoenixについて言及していたので納得。
そしてCBMDと聞いて膝を打ちました。昔はライブも見に行ったし、ホリエくんがよくDJイベントかけていたことを覚えています。やはりSOFT CREAMとホリエくんはルーツが似ていますね。あと「Rooftop Party」にもCBMDっぽいキラキラを感じます。
サビの♪Oh~のリピートは、ジミー・イート・ワールドを意識しているのかなと勝手に思いました。テナーの「冬の太陽」の♪wow wowもそうだけど、ジミー・イートの名曲「Sweetness」のサビ♪wow wow~のようなアンセムみたいなの、ホリエくんも好きだなと思って。 SOFT CREAMも好きに違いない。
(久しぶりに聞いたけどいつ聞いてもむちゃくちゃテンション上がる―!)
「The Great Escape」、サビの裏で鳴っているギターがめちゃくちゃ気持ち良くて聞き惚れます。そして、ちょっぴりテナーの「DISCOGRAPHY」と「Sunny Suicide」を感じるパートがあります。
「Million」では、SOFT CREAMが「みんなそれぞれの願いが叶いますように!」という可愛らしいことを言っていました。VJは、MVと同じくメンバーが星座になって浮かび上がっていてロマンチック。可愛いとロマンチックの融合。ソーセージの化身が私たちのこと願ってくれるの、ファンタジー。生身の人間が言うと恥ずかしいかもしれない台詞も、すっと心に入ってくる気がします。
メンバー紹介がありました。ギター・ボーカルのSOFT CREAMは普通に元気よく喋っていたけれど、ベースのLANTERN SMILE(煌々と輝くランタンを持参)は、喋るとやまびこみたいな低音ボイス。ドラムのDRUNK MONKEYは、酒焼けしているとのことでハイトーンボイス。そしてギターのSMOKEは歌うように喋る、それも多重ハーモニー。その昔、ロボットものの実写ドラマに、歌うように喋る女性ロボットが登場していたと思うんだけど、それを思い出しました(昭和生まれの人通じる?)。
そして本編が終わり、そのまま引っ込まないで「アンコールの曲がないのでストレイテナーの昔の曲のカバーをやります!」「BOUNDER ADVENTURE!」
えーっ!!!!!!もはや2度とライブで聞くことはないだろうと思っていたインディーズ時代の名曲が飛び出して来て仰天です。大喜びです。CDでも近年全然聞いてなかったけど、Yeah!Yeah!に全力で反応しちゃう。633の音楽は、初期のストレイテナーに通じるものもあるなぁと実感。良かったら、これからもどんどんテナーの初期のレア曲をカバーしてくれないだろうか。「EAGLE SHARK PANTHER」とか「DRASTIC TRANSPOSITION」とかアッパーなの今やっても面白い気がするなぁ。
調べたところ、私が初めてテナーのライブを見た2003年1月29日のライブで「BOUNDER ADVENTURE」やってました。2人時代の時ね。エモ!(なお、対バンはエルレガーデンとPEAL OUTでした。エモ!)
あと改めて「BOUNDER ADVENTURE」の歌詞を読むと、すごく良い…ピュアで。だからこそ、初期衝動の強い633にも似合うのだろうな。
はー、生きてて良かった、生きていると面白い事件に遭遇するね。いはやはなんともハッピーとサプライズに満ちたライブでした。
12/7「Bier Fest Tour」@豊洲PIT
◇ストレイテナー
横浜と比べて予想以上にセットリストに変化がありました。やだ他の会場のセトリも気になる!「VANISH」久しぶりー!
「SAD AND BEAUTIFUL WORLD」も久しぶりで嬉しく思いました。2013年の武道館公演の際に人気投票で1位を獲得した曲で、トリビュートアルバムでセルフカバーもしたり、都度"育ってる"感の強い曲ですが、そのことを強烈に感じました。当時しょっちゅう聞いていた曲が、時を経て最新の4人で奏でられている。当時はその時の彼らの持つ爆発的なエネルギーが込められていましたが、今は熟練のアレンジと、あの頃とは違った熱量でさらに輝いていることをヒシヒシと感じてしまったので、「素晴らしいな、私生きてて得しちゃったんじゃない?」って言う感動を覚えました。
そして「12月だし聞きたいなー」とずっと思っていた「TENDER」のイントロが始まって、思っていた以上に嬉しかったらしく鼻水が止まらず。この曲、こんなに柔らかかったでしたっけ?メンバーの表情、とりわけホリエくんがニッコニコだったのがすごく印象的。ひなっちもいつもの満面の笑顔で微笑みかけてくれて、ますますエモがノンストップで心に残りました。
633について。「今日もまだ挨拶できていない」と話すメンバー。今ツアーは打ち上げでソーセージがよく出るらしく、「食べちゃったらどうする?いなくなっちゃうよ?」と言う、ひなっちお得意のおふざけトークが繰り広げられて、面白いのとかわいそうなのとで爆笑。
これが噂の共同楽屋。笑。
◇w.o.d.
「プレミアMelodiX!」で見たことがありました。ギター・ボーカルのサイトウさんはシャイらしく、お酒が入ると羽目を外す、というスタジオトークをしていたのですが、演奏になると顔つきがキリリと変わったのが印象的。
1曲目は「プレミアMelodiX!」でも披露していた「リビド」。番組を見た時にも思ったけど、ちょっとだけテナーの「KILLER TUNE」にも通じる重たさ。かっこいい。「Mayday」のイントロはニルヴァーナ意識かな。好き。激しい曲もかっこ良いのだけれど、オレンジ色の照明が印象的な「オレンジ」は、しっとりめの歌物で素敵でした。
そして後半の怒涛の攻めに圧倒されました。やっていることは「でっかい音で楽器の音を鳴らす」と言う至極シンプルなことなんだけど、3ピースでここまで最強になるんだ、と言うことを証明しているようで感動すら覚えました。ギターもベースもドラムも全部鳴り・響きがかっこいい。もっと小さいライブハウスで爆音で聞いたら、より私の好きな感じだろうなぁ。
ギターが2本だったり、同期を使ったり、ストリングス入れたり、ピアノ入れたり、それはそれで楽しくて好きなんだけど、真正面から3ピースバンドのかっこ良さを追求しているバンドを見ると、ああこういうかっこ良さってあったよなぁ、とすごく懐かしいような新鮮なような。最近、新しいバンドに触れる機会が少なくなったけど、シーンにはこういったバンドがまだいるんだなと思うと嬉しくなりますね。
サイトウさんはやはり人見知りを発動し、楽屋では言えなかったそうですが、MCで「ストレイテナーを高校の時にコピーしていました」と話し、袖に向かってペコッとしていたのが好感度アップ。先日のテナーとandropとのイベントでも思ったけど、若いバンドが、自分の好きなバンドに憧れてコピーをしてたという事実は、ファンとしても嬉しいですね。
そして「633にまだ挨拶できてない」「似顔絵?は見たけど」「どこまで言って良いのか…(苦笑)」と困ってしまうサイトウさん。ゲストバンドの皆様、壮大なコント(コント言うな)に付き合ってくれて本当にありがとうございます(笑)
◇633
横浜はBブロックでしたが、この日はAブロックの2桁番台だったので、久しぶりに最前ゲット。横浜の時より紗幕の中身がよく見えて、ソーセージ達がわちゃわちゃしているのを目撃。ベースのLANTERN SMIL、腰を振り振り楽しそう。ちょっとひなっちと似ている(笑)ひなっちよりも、動きがブリブリしているなぁ。
そして、ぴょこぴょこ楽しそうなSOFT CREAMを見ていたら、なんだか昔のホリエくんこんな感じだったっけな、というデジャブが。今ではキーボードを弾くことも多くなりましたが、昔はギター1本でこんな風にやんちゃな佇まいだった気がするのです。
できることがたくさん増えて、熟練の技も増えたけれど、もっとシンプルにハッピーに音を鳴らしたいって言う別のベクトルの欲求も満たせたら、より楽しいのだろうなぁ。紗幕の向こうで嬉々としてはじけるソーセージの化身達を眺めながら、そんなことを思いました。
曲ごとにVJが流れるスタイルは覆面バンドならではかもしれません。でも正直言うと、私はVJよりもソーセージ達が演奏する姿が見たい。だってその方が絶対に楽しい。楽しそうな彼らを目撃したいのです。
MAN WITH A MISSIONやBEAT CRUSADERS、Slipknot(いきなり大物)など覆面バンドやアーティストは様々いますけど、いずれも顔だけ隠すスタンスですよね。ビークルはライブ中はお面外してたしな。GReeeeNはライブ中はシルエットなんだっけ、それも私がファンだったらなんだか寂しい気がする。ソロだとyamaとかWurtSくんも顔だけ隠していますね。Adoは先日のライブで最後に顔出しした、というニュースを見た気がする。(関係ないけど、今度CDJで初めてAdoを見れそうで楽しみ。)
ソーセージ達のイラストもVJも非常にアーティスティックで可愛くて素敵だし、アーティストコンセプトに関わってくることなので重要な演出だとわかるのだけれど、私はシンプルにバンドが演奏している姿が見たいなぁと思ってしまいます。今後、何かの拍子で普通に演奏してくれるスタイルにならないかなと密かに期待している自分がいます。顔はなんとなく隠れているし(メガネなどで)、良いのではないかな?
この前は気づかなかったけど、「Million」のサビのオートチューンはライブだと同期流してるのかな?そう言ったことも、姿が見えた方がわかりやすいですよね。楽器が好きな人には、メンバーの機材や手元が見えた方がよりワクワクしそうですしね。
今日もメンバーの自己紹介。恐らく初めて彼らの自己紹介を見る子達が、演出に爆笑していました。確かに初めて見たら爆笑ですよね。アイディア出し合って、色々考えたんだろうなぁ(笑)
MCでは、SMOKEが「一番有名なソーセージはシャウエッセン?打倒シャウエッセン!」と鼻息荒くしたら、SOFT CREAMが「アルトバイエルン派もいるかもよ」と返していて、ソーセージが食べたくて仕方なくなりました。
お願いだから、打ち上げで食べられないようにしてねwww
今後のさらなる焼き加減が楽しみですね!アウトドアイメージの強いパーティーバンドなので、気候の良い野外で見るのも楽しそうです。フェスに呼ばれるといいね。
過去にも素性を明かさなかったプロジェクトがありました。entは最初、身分を隠していました。山賊さんもそうでしたね(わかる人だけわかって)。633はこのままかな?(笑)
entのMVでホリエくんが変装していたの懐かしい。
「Silver Moment」大好き。今聞いても最高。
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