2024年最後の300秒──続けるということ
プランクチャレンジをご存知だろうか?10年ほど前、アメリカでスクワットチャレンジと並び流行し、日本にも伝わった「30日で体が変わる」系のフィットネスチャレンジの一つだ。当時、ネットで「これで腹筋が割れた!」という成功談があふれていたが、正直、それを真に受けるほど純粋ではなかった。
そんな私が、2024年の12月にこのチャレンジを始めたのは、ある種の出来心だった。忙しい年末の合間に、「何かを続けてみたい」という小さな衝動が芽生えたのだ。
始まりはいつも軽い気持ちから
初日は20秒のプランク。短い時間ではあるが、初心者にとってはちょうどいい長さだ。思い返せば、11月にジムで初めてプランク30秒×3セットを試したときは、その簡単そうな見た目に騙され、翌日から4日間も腹筋の激痛に苦しむ羽目になった。それを思えば、20秒のスタートは随分と優しい。
しかし、日を追うごとに秒数は増えていく。60秒を超えると「これがプランクか」と体中の筋肉が抗議を始め、90秒では「これ以上やる必要なんてあるの?」と心がささやく。それでも、インターネットで「30秒×3セットでもOK」というアドバイスを見つけたことで、柔軟に目標を分割し、なんとか続けられた。
目に見えない変化
30日が過ぎ、最終日のプランクは合計300秒。とはいえ、一度に続けたのではなく、60秒×5回に分けた結果だ。達成感は確かにあるが、鏡に映る自分の姿はほとんど変わらない。ネットで見かける「ビフォーアフター」のような劇的な成果は訪れなかった。
それでも、気づけばお腹が少し硬くなった気がする。数字や写真に表れないこの変化は、ひょっとすると一番価値のあるものなのかもしれない。結果が曖昧でも、過程に込められた自分の意思は、確かにそこに存在しているのだから。
続けることの意味
振り返ってみると、この30日間の挑戦は「自分のどこか」に話しかけ続けるような感覚だった。友人を巻き込み、共に挑戦した日々。壁にぶつかり、迷い、工夫し、それでも続けた。大きな変化はなくとも、何かが少しずつ積み重なり、揺るぎない達成感となって残る。
人は日々さまざまな顔を持ちながら生活している。何かを成し遂げる自分もいれば、諦めかける自分もいる。この挑戦の中で現れたのは、「続ける自分」だった。どの自分が主導権を握るかは日々変わるが、この挑戦が2024年の私に「続ける自分」を残してくれたことは間違いない。
新しい年に向けて
プランクチャレンジの最終日、ふと頭に浮かんだ言葉がある。「どれだけ進むかより、どれだけ続けられるかが、次の一歩を作る」。2025年、私は何に挑戦するだろうか。それはまだわからない。だが、この30日間で得たわずかな硬さと達成感は、きっとその第一歩を支えてくれるだろう。