女だけど女に見られたくはない
「やっぱり女性は料理するんだなあ」とは実際に言われた言葉だ。2022年に。正気を疑うがまだまだ社会ってこんなもんらしいよ。
一人の人間として見てくれ。
言いたいことはこれだけなんだけど、その背景にあるいろんなもやもやを言語化していく。
まずわたしはシスジェンダー女性である。自分の体に違和感を持ったことはなく、あえて男女どちらかを選べと言われたら女に丸をつける。
わたしはメンズに分類される服をよく着る。スカートも履くけれど、ほとんどタイトスカートだ。ふわっふわのやつとかは着れない。中性的とか、ユニセックスとか、そう言われる感じのスタイルが多い。フリルとかレースとかリボンとかビジューとか、そういうものが苦手。見ている分にはかわいいと思うが自分が着るのは絶対無理。
わたしは髪が短い。いわゆるツーブロック。長くしたこともあったが、かなり毛量が多くて髪が元気すぎるため、シャンプーが面倒なのと、単に短いほうがしっくりきたから、最近はずっと短くしている。
わたしは声が低い。これはもう生来のものなのでジェンダー表現もくそもないが、とにかく低い。声色はそんなに低く聞こえないが、音階は確実に低い。というか高音が出ない。カラオケで歌えるのは男性アーティストばかり。出せる最低音はラ♯(mid1A♯)。
こんな感じのわたしであるので、とにかく女性として扱われることに複雑な気持ちがある。ただそれは、男女二元論とか、ジェンダーロールの押し付けに対してのもやもやであって、自分が女であることへのもやもやではない、と思う。
ノンバイナリーやXジェンダーかとも思ったが、たぶん違う。まあジェンダー表現があんな感じなのでそういうふうに見られるかもしれないけど。そもそもジェンダー表現と性自認は別物だと思うというのはまた別の話で。
自分の女性らしいところはどこだろう。爪の形はきれいだと思う。体つきも典型的な女性。胸も別に潰してない。身長は女性の中では高い方だが十分に範囲内。あとなんとなく、歩き方とか姿勢とか、そういうものは体つきによるところが大きいだろうから、かなり女性的だな〜と思う。面倒でしないこともあるけど化粧もする。あと脱毛もしてる。二重に整形もしてる。
これらのことは完全に自分が持つ体、自分で決めた行動で、コンプレックスはあれど違和感とかはまったくない。女性に化粧を強制する社会規範はくそくらえだが、わたしはしたいときにしているだけ。脱毛も、女性は脱毛するべきという価値観には反対するが、わたしがしたかったからした。
違和感があるところを強いて言えば、名前だろうか。ほとんど女性にしか使わない名前で、響きもかわいらしいので、もっと中性的な名前がいいなあとは思う。
ノンバイナリーではないが、バイナリーな女性だとも思っていない。たとえば男女がグラデーションだとしたら、たぶん女性側の端っこにはいなくて、ちょっとばかり男性寄りだと思う。でも真ん中(中性)までも行かない感じ。わたしはわたしをそう思っている。
女だからといって、女として見るな。人間として、わたしとして見ろ。