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詩:『湾』

『湾』

朝 断崖の先端から背後の支湾を望むと
意外と手狭な展望に僅かな失望感がある

真下の絶壁に波が打ち寄せる光景は
複雑な気泡の折り重なる無秩序さで

その中に一定のアルゴリズムが
あるのではないかとじっと観察する

重力に吸い込まれて行くように
波に向かい堕ちていく感覚

我に返ってまだこの世界に
興味がある自分に苦笑する

よく見てみようと一歩を踏み出すと
全ての感覚がゲシュタルト崩壊を起こし

わたしは此処にきた目的を忘れて
逆に空に駆け上がって行ったのだった

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