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変わり果てた姿

2002年の春。
私が小学校に入学する2日前。

事件は起きた。

記憶にあるのは、口論の末、父の首筋にあてられた包丁。そして、見るも無惨な、枠組みだけの姿になった我が家だった。

母が家を燃やしたのだ。

あとから聞いた話だが、母は焼身自殺を図ったらしい。
死にきれず家から脱出し、自分で通報したわけだが。

母は現行犯で逮捕され、私と妹は通っていた幼稚園に併設された教会に預けられることになった。

通う予定だった小学校には1度も行くことも無く転校。

使う予定だったランドセルはもうなかったから、教会で譲ってもらった皮がペリペリ剥がれるボロボロのランドセルで、誰も友達がいない小学校に1週間遅れで通うことになった。

入学式からわずか1週間後に来た転校生。
それも、ボロボロのランドセルに、時代遅れのお下がりの服。

悪目立ちしないわけが無い。

私自身がだいぶズレた性格をしていたのもあり、しっかりクラスから浮いた存在になった。

父と妹との3人生活はそれなりに楽しかった。

起きるのはいつも昼頃。
学校にはほぼ行かず、妹と遊び呆ける毎日。
土日は父のパチンコに一緒に連れていかれるか、罪滅ぼし(?)のゲームを買ってもらって留守番しているか。

栄養が心配だから、給食だけでも食べにおいでと先生に言われながら、

時計も読めず定規も使えず、もちろん九九なんて言えるわけもなく小学3年生を終えた。

小4に上がる春休み。
模範囚として少し刑期が短くなった母が、ついに釈放されることになった。

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