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読み切り短編小説

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読み切りの短編小説のページ。 思わぬ出会いが待っているかもしれません。
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#静寂

沈む

沈む

 ボコボコボコ。
 何もない何処か ──。
 僕が目指してすらいない、けれど、行かなくてはいけない何処か ──。

 年老いた両親は、はなから僕に関心などなかった。
 息苦しい田舎。
 退屈な毎日。
 変化などまるでない、同じ日々の連続。

 身体ごとぬかるみに沈んだ僕は、そこから出ようと、ただ必死に、下手くそに足掻き、人の関心を誘うために非行に走った。
 つまりは、滅茶苦茶に好き放題した、という

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