見出し画像

サザエさんとウクライナ~ロシアは合法?


これは昭和のサザエさんの一本です。
こないだフジテレビのアニメ特番(2022/7/13)で紹介されていました。

 これは以前書いた、私がかつて予備校の政治経済の先生に言われたことに通じますね。
 ある日の授業終わりに、
「今どきはいい大人でもベトナム戦争がなんで起こったか説明できない人がいるから読んでおくように」
と、有斐閣から出ている「国際政治経済の基礎知識」という本を紹介されたのです。
      
 ヒコロヒーさんがこのサザエさんのネタの意図がわからないと言っていたのが少なからずショックでした。

 恐らくは昭和のあの時代は、ベトナム戦争などという社会問題の機序について説明できないのは社会人として恥ずかしいという意識があったのでしょう。ましてや子供にそこを突かれてしまうとは。実際、説明できない人が多かったということなのでしょう。

ここで緊急加筆
なんだかんだこの投稿も肥大化(8000字超)してしまったこともあり
ネタがネタということもあり
「要約まとめ」をここにのせておくことにします。
要約用の枠を使って

1990年米ベーカー国務長官、ソ連書記長ゴルバチョフに対し
「NATOを東方へは1インチたりとも拡大しないと保証する」
と発言。
にもかかわらず1999年、2008年と
二度、この約束は破られ
計10ヶ国がNATOに加盟
しかも将来的にはジョージアとウクライナが将来加入の候補だと宣言される
過去二度の裏切りは静観してきた、プーチンも、緊急記者会見
「強力な国際機構が国境を接するということはわか国の安全保障への直接的な脅威」
と主張。
歴史背景:露は過去100年間に3度も侵略をうけいずれも敵はウクライナを通ってきた。
ウクライナは近年は社会の貧困から生まれたポピュリスト政権が支配。
外交はシロウトでロシアに強気に出るなどの態度を通っておけば国内向けには受けがいいという安易な姿勢。
要するにポピュリスト政権は選挙対策としてプーチンを挑発し続けてきた
野党は「選挙対策でロシアを刺激するな」と苦言呈するも、ゼレンスキーは野党系のテレビ局3局の免許を剥奪。
独仏が仲裁役となって結ばれたミンスク合意も
ゼレンスキーは守る気はないと堂々と宣言。
ゼレンスキーは租税回避地に隠し財産があることも英メディアが報じる。
ネオナチとよばれる極右団体がロシア系住人に対して拷問、略奪、強姦などが行われているというのはプーチンの妄言などではなく国連人権高等弁務官事務所の報告にある事実である。
追記:NATOというのは加盟国への攻撃は自国への攻撃とみなし反撃できるというもの。実際、プーチンは今もこれにビビりながらことすすめているのです。

本文にもあるようにすべて超著名人の受け売りで、私個人の思い付きではありません。

↑ここまでが加筆部分

 さて、それではみなさんはウクライナ戦争がなぜ起こったか説明できるでしょうか?
 前々回投稿の遺言もどきの加筆過剰容量肥大記事では日本人のほとんどは近現代史に弱く、そしてそれは世間的には"三学期のせい"だとか"受験のせい"だとかいわれているなどと書きましたが、おそらく真実は単に日本人の社会的意識が低いからなのでしょう。
 だって日々の新聞に書いてあることを理解しようとしたら多少なりとも近現代史については自力で学ぶ必要がありますから。新聞を読まなくなった今はさらに状況に拍車がかかっているかもしれません。
前々回のやつ↓

その前々回、書き忘れたのですが、すべての映画の「原型」たる要素が揃っている「キング・コング」のリメイク版のプロデューサー、ディーノ・ディラウレンティス氏はカッコイイ語呂の名前でもとりあげたと紹介しましたが 氏は奇しくもロバート・レッドフォード主演の「コンドル」という作品のプロデューサーでもあります。奇しくもと書いたのは作品に登場するたただただ日々読書にいそしむCIAのオタク部署の存在に感銘を受けたからです。それは切った張ったの諜報活動ではなく公開された文書類を分析することで隠された真実を炙り出すというものです。それ感化されて投稿したのが…

です。
 これも「遺言」同様、肥大化していますね。

さて、社会問題に目を向けようと言うハナシでしたね。
あなたのおさめた税金が弾薬となってヒトサマの命を奪っているかもしれないんです。かのさんまさんは湾岸戦争の時に霞が関まで出向いて
「おれの税金を戦争に使うな」
と文句を言ったそうですよ(なにかの番組で本人が言ってました)。
あの90億ドル支出してアメリカに全く感謝されなかったやつです。

 仮にロシアを一方的に悪者にするのにしても、その立場なりの戦争の原因を説明してくれればいいのですが、自民党の小野寺五典氏のようになぜ今のような状況になったのか?と聞かれ「ロシアが侵略したから」と日本語として奇異な発言をするいい大人まで現れるありさまです。

「原因」と「結果」の混同というのは初めて聞きました。防衛大臣経験者だというのに!
 「原因」というのはなぜロシアが今回の軍事作戦に踏み切ったのか?ということなのに。
 ゲームではないのですから大国とてひとたび戦争となれば相当な労力を強いられるはずです。ロシアだって「そうだ京都に行こう」みたいなノリでは戦争なんてはじめたりはしないでしょう。

 とりあえずキホン中のキホンというか、地政学的なアプローチについては元米空軍軍人で、現在、シカゴ大学教授の国際政治学者ジョン・ミアシャイマー教授の論を以前、紹介しました。
 私がこの論を知るようになったのはいゆるウクライナ危機の2014年の9月2日のTBSラジオの「デイキャッチ」という番組の中で小西克也さんという国際ジャーナリストの方が紹介しているのを聞いてからです。

 その番組は今はもう放送されていませんが深夜とかではなく夕方のふつうのニュース番組ですし、小西さんという方も特にクセが強いとか攻めたかんじの人ではありません。
 エマニュエル・トッド氏や大前研一氏もほぼ同じことを言っています。エマニュエル・トッド氏の「第三次世界大戦はもう始まっている」はけっこう売れたようなのに、なぜそれが話題にならないのか不思議です。べつに「そんなの誤認だよ」という立場でも、反対でも賛成でもいいのですが、なぜ意見を言う人がいないのでしょうか?
 
 地政学的アプローチの論を要約すると、とりあえずロシアは実は歴史的には侵略されまくり国家であったと。
1812年にはナポレオンが
1918~1922年には日本を含む第一次世界大戦の連合国がロシア革命に干渉してシベリアに共同出兵
第二次世界大戦ではナチス・ドイツが

 そしてことごとく敵はウクライナの平原を渡ってきたと。ロシアにとってはウクライナはこれからも緩衝地帯として機能してほしかったのにNATOなんかにはいられた日にゃ安全保障が著しく脅かされる!というわけです。

 ミアシャイマー先生は言います。アメリカだってカナダやメキシコが敵対する陣営と同盟を結んだらダマっちゃいないだろうと。
 そしておそらく対カナダと対メキシコだと「お仕置き」の仕方がかわってくるのでしょう。それは人種構成がちがうからです。

 前にも書きましたがセイン・カミュという外国人タレントが
「朝起きたら①日本人になってる②イタリア人になってる。どっちがいい?」
というバラエティのバカけだ質問に、間髪入れずに
「そりゃイタリア人ですよ」
と答えました。
 そこは日本育ちのセインくんなら制作側の意図をくみ取ってリップサービスできそうなものですが、しみついた「美的感覚」がそれを許さなかったのでしょう。
 俳優の石黒賢さんが海外のスタッフと一緒に仕事をしたときに
「いつか日本人がハリウッドで主演できる日がくるかなぁ」
と言ったら
「くるわけないだろ。だれが大きなスクリーンでアジア人の顔なんて見たいと思うんだよ」
といわれたそうです。

 他国への友好の感覚とは外見がけっこう影響がするのだとエマニュエル・トッド氏は著書に書いています。
 原爆も日本には2つも落とされましたがドイツに落とされなかったのは人種的なものが作用したといわれています。
 白人優位主義者の国、ウクライナにとっては日本人など差別の対象のど真ん中です。ウクライナが各国に感謝を表明したときに日本が外されていたのはたまたまでしょうか?ふつー国がなにか文書を作るときは練りに練って作るものです。

 それと、ウクライナの方々を優先して難民として受け入れるのはある意味、人種差別だと思います。なぜならもっと前から列に並んでいる方々は大勢いたからです。

 「ウクライナ侵攻について」(第Ⅱ章)でも取り上げましたが、『Little Birdsイラク戦火の家族たち』(ニ○○五年)という細井健陽監督のすぐれたドキュメンタリー映画を観ると、子どもたちがはんとうに次々に亡くなっていきます。細井さんは空襲がはじまるバクダッドにあえて残りました。そこで住民たちが空襲を生き抜く、あるいはあっけなく亡くなるという状況のなかで、アメリカや日本にどんな憎悪を抱くのかを映し、同時に、自衛隊を報道する日本の大手メディアの場違いなほどの陽気な様子を、淡カと我々に伝えました。

「中学生から知りたいウクライナのこと 」小山哲, 藤原辰史

 イラク戦争のとき、「アメリカの蛮行を認めぬ」と日本の首相やその周辺の政治家が言ったでしょうか。「イラクの難民を受け入れる」と言ったでしょうか。岸田文雄首相は今「ロシアの蛮行を認めぬ」とか「ウクライナからの難民を受け入れる」と世界に向けて表明しているのに。

「中学生から知りたいウクライナのこと 」小山哲, 藤原辰史

「YOUは何しに日本へ?」の密着に不当に白人が多いのはある意味日本の醜い「縮図」といえるかもしれません。
 生キャラメル工場を経営する芸能人の方が外国人従業員にスラップ訴訟をしかけたということがありましたが、さぞや炎上していることだろうと思ってXをのぞいたら逆に外国人への誹謗中傷であふれていました。

 ウ露戦争がはじまった時、「NATOは東方へは拡大しないって言ってたじゃーん」というプーチンのクレームが報道されていますが、マスコミはなぜこれについて軽くでもいいから解説しなかったのでしょうか?
 ドイツ統一が決まった1990年の時点で、アメリカのベーカー国務長官が当時のソ連書記長ゴルバチョフに対し

「NATOを東方へは1インチたりとも拡大しないと保証する」


と伝え、翌日にはコール西独首相が「NATOはその活動範囲を広げるべきでないと考える」と伝えていたのです。
 にもかかわらず1999年にはポーランド、ハンガリー、チェコが、2004年にはルーマニア、ブルガリア、スロバキア、スロベニア、エストニア、ラトビア、リトアニアがNATOに加盟したのです
 さらに2008年4月のブカレストでのNATO首脳会議で、「ジョージアとウクライナを将来的にNATOに組み込む」ことか宣言されたのです。
 直後、プーチンは、緊急記者会見を開き、「強力な国際機構が国境を接するということはわか国の安全保障への直接的な脅威とみなされる」と主張しました。

 西欧の主張というのはプーチンはソ連やロシア帝国の復活を目論んでいて、東欧全体を支配しようとしている。ウクライナで終わりではない。その後は、ポーランドやバルト三国に侵攻するなどというものですが、こうして現状だけ見るとむしろ西欧のほうがロシアを滅ぼそうとしているのではないか?とすら思えます。

 後で触れますが、東欧諸国の併合や編入は経済的にありえないということがかります。プーチンがたとえ極悪人だったとしても霞を喰らって生きているけではないということです。
 

 実は、地政学的なアプローチですべてを語った気になるというのは、まだまだ浅はかだと指摘するセンセーもいらっしゃいます(日本の現状はそれ以前ですが)。「ウクライナ動乱」(松里公孝 著)という本があるのですが、


「NATOは東へはIインチも拡大させない」というベイカー米国務長官の口約束を信じた愚か者は、ソ連とロシアSFSRの指導者だけではなかった。

ウクライナ動乱」(松里公孝 著)p70

などといきなりの辛口な発言で手ごわそうですが、この著者はウ露戦争の原因をウクライナの貧困に見ていて、なるほどな説明を展開してくれます。

 さきほどもふれたように人は霞を食って生きているわけではないので、経済的な要素は無視できません。
 その点は大前先生もさすがで、ロシアは年金問題で四苦八苦しているのでウクライナはもちろん、ドンパス地方の2国も編入するつもりはないだろうとみています。国民を増やす余裕などないというわけですね。だからポーランド侵攻などありえないのです。

 ウクライナの2020年の実質GDPは、1990年のウクライナ・ソヴェト社会主義共和国(RSR)のそれの63.2%にしかすぎなかった。他方、金さえあれば何でも買え、行列などはなくなり、中流階層にとっては車や電化製品は手に入りやすくなったから、生活の質を社会主義時代と比べるのは難しい。しかし、住民の大多数が物質的不満で苛々している社会になったのは間違いない。
 そのため定期的に社会的爆発が起こり、ポピュリスト政権が生まれる。アルメニアとも似た事情だが、ポピュリスト政治家は外交や軍事の知識がないので、安全保障問題を国内党派政治の延長に置く。「国内の右翼が騒がないように、プーチン(またはアゼルバイジャン)に対して強硬なことを言っておけ」程度の発想で政策を決めてゆくのである。これは非常に危険である。

「ウクライナ動乱」(松里公孝 著)p20-21

 住民の経済的な困窮が生み出んたのはポピュリズムである。ポスト・ソ連の三大ポピュリストといえば、グルジア(ジョージア)のミヘイル・サアカシヴィリ大統領(二〇〇四-12年)、アルメニアのニコル・パシニャン首相(二〇一八年から在職)、ウクライナのゼレンスキー大統領であろう。
 彼らがグルジア、アルメニア、ウクライナというポスト・ソ連時代における生活水準の落ち込みが激しい国に出現したことは、私には偶然とは思えない。

「ウクライナ動乱」(松里公孝 著)p30

 つまりロシアとかと喧嘩しとけば国民にはうけるっしょ、という安易なのりなわけです。しかも国民に対してのゴキゲン伺いの中心にいるのは白人至上主義のウヨな方々です。このことからも日本に感謝表明しなかった理由が垣間見えます。

 ウクライナ戦争のニュースで一時期よく出てきたアゾフ大隊はそうした白人優位主義者の右翼組織です。米国の国際政治学者ミアシャイマーも指摘しているようにウクライナ政権にはファシストもいるのでプーチンのウクライナがナチ化しているという指摘はあながち間違いではないのです。公安調査庁はウクライナへの支援がはじまると「国際テロリズム要覧2021(いわばブラックリスト)」からそんな極右組織であるアゾフ大隊に関する記述を削除するというお人好しぶり

『JFSS(日本戦略研究フォーラム季報)』(2022年4月1日春号第92号)によると
ウクライナは「ネオナチ勢力が跋扈する腐敗国家」
ウクライナは北朝鮮の弾道ミサイルにエンジンを提供したり、中国人民解放軍の戦闘機や艦船に多くの先端技術を提供してきた事実がある。
アゾフ大隊はネオナチ民兵組織でありナチス親衛隊の紋章を正式な部隊ロゴに使用し、ロシア系住民への激しい虐待を行うことで知られる。
国連人権高等弁務官事務所の報告書でも「民間人の財産を略奪し、またドンバス地力では多くのロシア系住民を不法に拘束、拷間し、さらに、一般女性を強姦していること指摘されている

基本的にウクライナの人々は日本人なんて仲間だとは思ってないでしょう。

 ゼレンスキー大統領のブレーンはコメディアン時代かつてのテレビ界や芸能界の仲間たちだそうです。なるほど外交はシロウトでも人気取りにおいてはプロフェッショナルというわけですね。

さらに

2021年2月、ゼレンスキー政権はNewsOne、112など野党系テレピ局三局の放送免許を剥奪した。当時の日本のマスコミは、ロシアのナヴァリヌィの逮捕で大騒ぎしていたが、それを上回るこの言論弾圧は全く報道されなかった。
 ムラエフの「ナーシ(我々)」がウクライナに残された唯一の野党系テレビ局となったが、露ウ戦争の直前(2022年2月)、同局の放送免許も剥奪された。1

「ウクライナ動乱」(松里公孝 著)p165

独裁者ぶりはプーチンとかわらないように見えます。

ゼレンスキー氏についてはガーディアン2021年10月3日付web版でタックスヘイブン(租税回避地)を利用し、財産を国外に隠していると報じられました)。

 奇しくも2022年2月24日号の週刊文春の連載であの池上彰先生が「解決のカギはミンスク合意」などと解説していました。
 (2月24日はまさにウクライナ侵攻の日ですが、発売はそれより前の2月17日です)です。
 ミンスク合意というのは2014年にベラルーシの首都ミンスクで結ばれた和平合意です。なかなか履行されないので2015年にミンスク合意2が結ばれたということですがその後も履行されないまま2019年1月ににはロシア、ウクライナに仲裁国の独仏をくわえたパリ首脳会談が行われました。

 ここでゼレンスキーは、2015年に締結された内容のミンスク合意は実施する気がないことを明言した。生真面目に原稿を読み上げるプーチンの横で、ゼレンスキーがにやにや笑っている姿が全世界に放映された。

「ウクライナ動乱」(松里公孝 著)p432

 池上さんがずるいのは、知識ゼロの人が見たらだれがミンスク合意を反故にしているのかからないような書き方をしていることです。
 これだとやっばりプーチンはけしからん!と思ってしまう方が多いかもしれません。
 ポピュリスト政権であるゼレンスキーはハナからミンスク合意など履行する気はなかったのです。
 NATO加盟もEU加盟もポピュリスト政権の選挙対策の常套手段なのだとか。

 大統領選挙に勝ったゼレンスキーも、ポロシェンコと同様にNATO早期加盟を訴えるようになった。NATOの側はウクライナ加盟問題に対する慎重な姿勢を崩していなかったから、これも国内党派政治上のアピールであった。
 グルジアが第二次南オセチア戦争に敗れて領土を失った半年後の二〇〇九年三月、私との面談で、サアカシヴィリ時代の野党であった共和党指導者のイヴリアン・ハインドラヴァは言った。「NATOに入りたかったら入ったらいい。だが、入れる見込みもないのに明日にでも入れるかのように宣伝してロシアを刺激するのはやめろ」。同じことがポロシェンコやゼレンスキーにも言える。

「ウクライナ動乱」(松里公孝 著)p82-83

 ところでロシアは今回の軍事作戦についてウクライナ東部の武装勢力が2014年にウクライナから「独立」を宣言した「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」の要請に応じ、ウクライナの攻撃からこれらの政権を守るために武力を行使したと主張しているようですが、国連メンバーなどとして世界各地で民兵の武装解除などを進めてきた国際法と紛争解決のプロである東京外大教授の伊勢崎賢治さんによれば、これは国際法上は国連憲章51条に記された集団的自衛権の行使とみなされ侵略ではないという主張は通るというのです。
 一方でアメリカなどの西側連合がウクライナに武器や資金を提供するのは武力紛争法(戦時国際法)で中立国に課される「回避義務」と「防止義務」への明らかな違反だそうです。
 なぜプーチンがこれを粒だてて騒がないかというと NATOと交戦という事態は避けたいからなのだとか。
 たまにこういうプーチンを追い越してしまうような事態が生じます。たとえばナワリヌイ氏は日本の報道だとリベラルの闘士のように思っている方々も多いと思いますが、反プーチンというだけで、思想的には控えめにいってゴリゴリのクソ右翼です。プーチンが彼を恐れた理由のひとつに彼の反コーカサス人・反移民の思想がポピュリズムに訴え、多民族国家のロシアの基盤が揺らぐことを懸念があるのだと。

 さてドンバスの2国は国と言ってもロシアの傀儡政権ではないか、無理筋ぢゃねーかというつっこみがあるかもしれないが、これを屁理屈だというなら西側諸国がしてきた2001年のアフガン戦争やそれこそベトナム戦争も集団的自衛権という屁理屈により正当化されてきた戦争なのです。

 大量破壊兵器という大ウソで米国によってなされた2003年のイラク侵攻に至っては国連決議もなく、こちらは屁理屈すら掲げられてなかったトンデモな戦争です。

 昨年、NHKの映像の世紀バタフライエフェクトで情報公開法により公開された機密文書に基づいたCIAについてのドキュメンタリーというのをやっていたのですが、アメリカは巧みな世論操作工作でイランの政権を転覆させ莫大な石油利権を手に入れたなどあくどい「実績」の数々。そしてそれらはアメリカの傲慢な介入よって他国に数々の悲劇をもたらした歴史でもあるというのです。
 わりとモノを知っちゃってるコメンテーターの方は西側に不利なネタを話す時に「もちろん悪いのはロシアですが」と前置きをしてからいうのがなんかモヤモヤします。
 「アメリカもいろいろやってきましたが、そのことでロシアの行為を正当化はできません」などという方もいらっしゃいましたが、この発言はフェアではありません。ロシアの軍事作戦を否定するのはいいとしても、だったらアメリカやNATOのしてきた蛮行についても遡って非難されなければならないでしょう。

 インドなど制裁に参加しなかった国は大国に対してどの口が人権とか言ってんだというところもあったのではないでしょうか。
 かつて名誉白人などと言われていい気になっていた黒歴史もある日本人は白人といっしょになってエリザベス女王のジュビリーを祝ったりしていますが旧植民地ではちがう動きがありました。

NHKで前にやってた「10代ウクライナ通信」という世界中のティーンがリモートで語り合う企画に出演してた台湾代表のステイシーちゃんという子は台湾有事に備えて非常用の荷造りをしているくらい危機感と高い意識をもっているのですが、彼女は侵攻については肯定こそしないまでも今回、プーチンがビビってたのは理解できるというようなことをいっていたのが印象的でした。彼女は多くの日本人が理解していない「地政学」というものをわかっているのです。

 それでふと、思ったのですが世界中の天才キッズを集めて、君はイラン役ね、あなたは北朝鮮役ね…といった具合に役をふって
「さあみなさん国益を守るために動いてみてみてください」
…というような超拡大版キッザニアスペシャルのようなゲームをやらせたら、意外とイラン役や北朝鮮役の子らはフツーに核武装とかするんじゃないかとか思ったりします。

さてここまでお読みいただきありがとうございます。

さいごに参考文献を記しておきます
いや、引用元というのが正しいのでしょう
つまりこの投稿は99パーセント受け売りです。
陰謀論の類と片付けられないための、あえての試みです。
前にミアシャイマー先生を引用したときには、あまり御威光が通用しなかったようで「逆張りの自閉症」などと罵られてしまったので、今回は日本の超メジャーどころのセンセイばかり選んでみました。
 佐藤優さんについてはクセ強めな論客と警戒されるかもしれませんが、いわゆる書評コラムなのでむしろ多様性という点ではいちばんバランスがよいかもしれません。

週刊ポスト2022/04/01号 大前研一 ビジネス新大陸の歩き方 第771回
週刊ポスト2022/04/08号 大前研一 ビジネス新大陸の歩き方 第772回
週刊文春2022/02/24号 池上彰のそこからですか!? 連載513 
週刊ポスト2022/08/05-12号 対談:佐藤優×片山杜秀

週刊現代 佐藤優 名著再び(以下は各回で紹介されていた書籍です)
#217 ナリヌワイ ラルーエ/ノーブル
#241 「正義の戦争は嘘だらけ」 渡辺惣樹 福井義高

#245 「ウクライナ戦争の200日」 小泉悠
#246 「プーチン戦争の論理」 下斗米伸夫 
#280 「ウクライナ動乱」 松里公孝
#282 「ウクライナ戦争即時停戦論」
#298 「我々の死者と未来の他者」 大澤真幸
#305 「改訂版 国際法」 柳原正治

「中学生から知りたいウクライナのこと 」小山哲, 藤原辰史

web記事


いいなと思ったら応援しよう!