【女性起業家対談】ワークシェアの未来と女性起業家の本音について(グローバル・カルテット/城みのり様)
前回に引き続き、
グローバル・カルテット代表城みのりさんと、A-Co-Labo代表原田の女性起業家対談の様子をお届けします!!
城さんと原田は、女性起業家としてや事業内容も共通点があり、APT Womenでの出逢いがきっかけで意気投合し、今回の対談に至りました☺️
今回は後編になります!
前編はこちらからご覧ください↓
4.ワークシェアについて
原田 日本でのワークシェアの動向について思うことや、城さんが感じていることを教えてください。
城 ワークシェアという言葉が一人歩きしているように感じています。
ワークシェアすること自体が目的になってしまっていますが、そうではなくあくまでも手段にすぎず、その先にある大きなものを達成することが目的です。
原田 ワークシェアの概念は人それぞれですよね。その理由の一つは、ワークシェアという概念がすごく広義だからだと思います。
しかし私達が考えるワークシェアと、社会が求めるワークシェアが近いのか遠いのか区別がついていないと感じています。
城 私達の事業は、フリーランスや副業人材を企業とシェアリングすることで事業スピードが上がり成長できるといった共通点があります。
ですがそうではない概念でやられている企業もあります。
原田 そうですね。モノやコト、スキルなのかで違いがあります。
スキルシェアに関しては、まだあまり伸びていないと感じています。
理由は、CtoCで個人間でのシェアが多いからです。BtoBに関しては、スキルシェアはあまり多くなく、どちらかというと情報サービスという枠に寄っているかなと思います。
私達はちょうどその間くらいにいます。
城 本当にそうですね。
広義の意味でのスキルシェアがビック市場になると言われていますが、私達のいる所はまた少し別の場所です。
原田 コンサルと同じ様な立ち位置ですよね。ただやっていることはスキルシェアの枠に入ります。
城 個人的には、シェアリングサービスと言われることにモヤモヤする時があります。
原田 片手間にやっている間が出てしまっているような印象ですよね。
城 はい。まだ根付いていない様に感じます。
原田 先程言ったように、企業がライトに外部に知見を求めるところまで、まだ到達していないのだと思います。
二極化していて、お金があるところはどんどん外部に発注し成長していきますが、お金がないところは自社で頑張らなきゃいけないためあまり上手く進められていないという構図になっていると感じています。
一人雇うよりもコストはかからないので気軽に利用してくれれば良いのに..と思いますが笑
城 私達のサービスは成果にたどり着くまでに時間がかかるので、世の中に認められるにはまだ時間がかかりそうですよね。
原田 だからこそ一緒に広めていきたいと考えています。城さんとAPT Womenで出会った時に、同じことをやっている人がいる!と思いました笑
城 私も思いました! 土俵が違うだけで同じことをやっていると思ったのを覚えています。
一般的なスポットコンサルは、60分1本勝負なので、広範すぎると聞けないことがあったり、聞き忘れたことがあったらまた追加料金を払わなければいけない仕組みになっています。
その次に利用を検討するとなると、コンサル会社が考えられますが全然フィーのレベルが違います。
今まではフリーランスの方がやられている1対1のコンサルを探すことがありましたが、その人も知っていることは限られているので、また別の人に話を聞きにいく..といったようにどんどん手間がかかってしまいます。
既存のコンサルサービスよりももっと前のフェーズで、それを解消していく存在が私達です。
5.女性起業家の壁
原田 女性起業家として感じた壁や、逆にこれは自分にとって良い経験になったという事があれば教えてください。
私は、周りが思っているより女性起業家に対して温かい感じはないと思っています。
城 確かに。特に私は資金調達の面で同じことを感じました。
二年くらい前に聞かれた内容と今聞かれる内容が全く変わらないのも驚きです。
十年後まで事業を続けられるのかや、お子さんはまだ小さいですか?と聞かれ、資金調達の話しをしているのになぜ子どもの話し..?と思ったことがありました。
小さいと何なの?とも思っていましたし、男性にも小さい子どもを持つ人はいるのに、同じ質問はされていないという点がすごく気になりました。
”子どもの話を聞かれた”と言っている男性起業家を見たことがありません笑
つい最近、金融関係の方とお話しした時も、事業計画を見せたら「これって本当に達成できる数字ですか?」と聞かれました
一桁間違っていませんかと言われびっくりしました笑
原田 女性が事業計画を立てて、表に出て話しをすることに、まだまだバイアスがかかっていると感じます。
女性が起業する=スモールビジネスと捉えられたり、家事も育児もしながら大丈夫ですか!?と言われ、変な心配をされることがあります笑
そういうのがどんどんなくなるといいなと思います。
城 そうですね。一方で、女性ならではのメリットもあると私は感じました。
私達が知り合ったAPT Womenは女性しか応募が出来ないので、世の中の男性にはないチャンスを得られたと思っています。
また他のプログラムで、逆に男性だけと限定しているところはあまり見ません。
それが正しいのか、個人的に疑問に思うところもありますが、ありがたいなと感じているのが正直なところです。
原田 一人ではバイアスを変えられないですし、明日急に変わる課題でもないので、逆に逆手にとってしまえ!と思っている部分もあります。
城 そうですね。今後は、男女関係ない土俵で更にチャレンジしていきたいです。
今まで女性起業家限定のプログラム等に参加したことで、昔は提出しても落ちていた書類が、今なら通ることがあります。
まずはきっかけづくりのためにも、女性起業家支援のプログラムなどに参加するのはすごく良いと思います。
原田 見られ方を気にしたり、ムキにならないほうが良いと思います。気になってもスルーする力も必要です。
城 そうですね。心無いことを言われても、言わせておこう..!くらいの気持ちで、気にしないほうが良いです。
それから私達に共通しているのが、"なぜ女性なのにこの事業を選んだのか"と思われている節があると思います。
ママ目線だったり、女性支援サービスなら理解されやすいですが、私達はそうではないので、女性からも男性からも理解されず、どちらかというと同じ業界の人が理解してくれますよね。
なので先ずは近いところから、確実な理解者を増やしていきたいなと考えています。
原田 女性研究者も割合は少ないですし、M字カーブの壁があります。
技術者や研究者として、結婚後や出産後も仕事を続けていくには、ビジネス職とはまた違った厳しい現状があります。
その時期を機に辞めてしまう人が多いという印象も、実際にはまだあります。
リケジョが少ないことも関係していると思います。
私が前にいた企業は、開発部門に100人ほどいましたが、その中で女性は10人だけでした。
城 ビジネス職のマーケターやリサーチャーは半分くらいが女性ですが、半分いた女性もM字カーブのところでガクンと減ってしまいます。
そういった人達がしばらく専業主婦をした後、浮上するとなるとフリーランスしかなかったりします。
原田 制度が整えば良いということではないですよね。働いている人達のマインド変化が一番重要です。
私が独身の時に、お母さん職員の方や結婚された技術者のことを考えられていたかと言うと、考えられていませんでした。
自分が同じ立場になってから初めてわかることもあります。
城 私は、育休後に復帰した際に、毎日「すいません」と言っていました。
悪いことは何もしていないのに、自然と「すみません」といっている自分が嫌になりました。
そういった状況に耐えられなくなり、精神的にも身体にも影響が出てきて、辞めなければ自分がダメになると思い会社を退職しました。
原田 母親になった後、そこから数年は「すいません」「ごめんなさい」「やめなさい!」といったネガティブな言葉が多くなります。
そうではない世の中にしていかないと、制度が出来ても上手くいかない気がしています。
城 本当にその通りだと思います。子どもが入園してから卒園するまで、何も出来ないという世の中ではあってはいけません。
そこで弊社では、細くても長くやり続けるといった観点で、プロジェクトを小さく分けて皆がアサインできる様にしています。
原田 すごく重要ですよね。キャリアが途切れてしまうと、次に何か踏み出そうとした時に評価が下がってしまうというか...
過去にやっていたことが何だったとしても、空白の期間があると同じ立ち位置には戻れないといった感覚があります。
城 フリーランスといった専門的な仕事も、一気通貫でコミットしなくてはならないのが特徴ですが、例えば子どもに何かあったからといって、納期を遅らせることは許されません。なので、すごく両極端だなと感じます。
仕事を辞めた時にも心が折れているのに、子どもが少し成長したタイミングでフリーランスに挑戦しようとしても上手く行かず心が折れるといった具合で、立ち上がるのが難しくなります。
すごく損失だと思います。自分がどれだけ他者のためになっているかを可視化する必要がありますよね。
その人自身のためにも、育休後などに社員として復帰する時のためにも、そういった指標は大事です。
自己PRは、世間的に認められてるような実績でもない限りは半信半疑なので、客観的な人からの評価・見られ方は重要です。
原田 不満を言って現代の制度にケチをつけたい訳ではなく、むしろ変えていかなければならないので、どんどん挑戦する女性が増えて欲しいと思っています。
これから起業したいと思う女性が世の中に出てきた時に、自分の経験から何かしらを伝えられたらと思います。
以前APT Womenの育成講座にスピーカーとして登壇した際に、子育てとの両立に悩まれている方が沢山いらっしゃいました。
加えて、女性だから軽く見られたり、舐められてしまうといった相談もありました。
城 何をやっているのかに関わらず、舐められなくなることはないし、大変じゃなくなることもないです。
起業するということはそういうことですが、それを理由に出来ないと思って欲しくないです。
一歩を踏み出すためには、行動を起こすしかないです。
種をまかずに、何かが生えてくるということは絶対ありません。
私の場合は、自分では大したことないと思っていたことが周りから評価されるという事があったので、まずは得意なことから行動に起こしていくのが良いと思います。
そのチリツモだということをすごく感じます。
原田 出来ないなら出来ないなりに何か別のことを探したり、これなら出来るかな?とまずは考えてみるだけでも、視野はすごく広がります。
城 一つ間違えて欲しくないのは、スタートアップなのかスモールビジネスなのかは関係ありません。
原田 そうですね。こうしなければいけないといった決まりはありません。
やりたいことを形にしている途中なだけです。そこでの変な線引が薄まるといいなと考えています。
それがあるから故に躊躇っている人達には、躊躇わなくて良いよ、と背中を押してあげたいですよね。
城 もう一つ私が強く思うのは、世の中の記事の見せ方にも問題があると感じています。
超有名大学を卒業していて、MBAや博士号を取得!といった人達が多いですが、取り上げられていないだけで、そうではない人達も沢山います。
原石は至るところにいます。女性起業家やリーダーを増やしたいなら、わかりやすいキラキラした経歴の女性だけを取り上げ続けても意味がないと思います。
私は今後雑草育ちポジションを狙っていこうと考えています笑
6.今後について
原田 最後に、城さんが今後挑戦していきたいことや5年後の理想の姿があれば教えてください。
城 正社員が優秀で有利といった概念がなくなり、皆が「それ、古くない?」と言っている世界になったら良いなと思います。
それから雇用形態関係なく、プロジェクト単位でガンガン回せる会社が増えると良いですね。
外注という概念さえもなくなっているのが理想です。
5年でどこまで実現するか分からないですけど、撒いた種が育っているといいな..笑
原田 私は、プライベートの面では元気でいたいです。
一方で働き方に関しては、城さんと同じ考えです。対象者が違うだけでA-Co-Laboもグローバル・カルテットさんと同じことをやっているので、正当に評価される社会になっていて欲しいなと思います。
それには、今までの経験が避けては通れないと思います。
ですが、途中でキャリアが一度ストップしたからこの人はダメとレッテルを貼るのではなく、やってきたことをきちんと評価してくれる会社があって、そこの会社にいる人であれば大丈夫といった様に、安心して仕事の相談をしていただけるような会社にA-Co-Laboはなりたいです。
なりたい、ではなくならなきゃいけないですね。
・・・
グローバル・カルテットについて
「ひとりのフリーランスより、複数名の専門性。」をミッションに掲げるフリーランスリサーチ集団、株式会社グローバル・カルテット。世界中のどこにいても働ける環境があります。
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