【応援文化】Twitterスペースの議論で感じた、バスケの応援の"異質"さ【スポーツあれこれ】
こんばんは。おはようございます。
先日、バスケ関係ない趣味のTwitterアカウントでいつものようにスペース(ツイッターアプリ上の通話機能)を開いていたら、通常はしょうもない身内ネタで盛り上がるようなところ、珍しく各種スポーツ界隈の有識者(?)が集まり、「 #応援文化 」だったり、「集客」だったり、大変興味深い議論になりました。
そこで話題になった内容を、簡単に覚えている限りで書き殴っていきます。ある意味 #Bリーグ の畑に慣れている人間には刺激が強いかもしれないので、そこはご承知おきください。
ちなみに、そのスペースに登場した人物は、
・去年からゆるーく地元にある #地域リーグ サッカーを見始めて気づいたらどっぷりハマってたSくん
・もともと東京にいた頃の日本ハムを応援していて、今は野球の #独立リーグ を追いかけているGさん
・たまたま連れて行かれたサッカー場の応援文化に触れ、複数の地域リーグのチームを追いかけているIさん
・詳細はプライバシー的に伏せますが、それぞれ野球とサッカーでプレーヤーの経験もある方2名
1 「ガッツリ応援する席」と「まったり見る席」の棲み分け
議論の発端は、Sくんと私が会話の流れで話していた些細なこと。「集客に力を入れると球団が設定した日に、友人を連れてきたはいいけど、自分の(サポーターとしての)"仕事"を優先して、サッカー初心者の友人にルールやら魅力やらを解説することをおざなりにしてしまった」ことへの反省に対して、Iさんの「サポーターとしてのミッションと初心者を巻き込むことの両立は小さいクラブだと人でも少なくて難しいよね」というところから、このスペースはスタートしました。
そこから「応援への義務感」の話(5章で詳述)にも飛んだりもするのですが、そもそもサッカーだと、「 #ゴール裏 」の「熾烈な応援を(ある種)強いられるような」異様な雰囲気の空間と、「バックスタンド」のようなまったりしながら見る席がかなり分かりやすく隔離されていることに話が及びます。
野球畑のGさんがその話題に食いつくやいなや、野球も「 #外野応援席 」と「内野席」や「ネット裏」でその辺りは隔離されているよね、という話に。
果たしてバスケはどうか。バスケのBリーグの会場に行くと、ふんわりと「声を出して応援する人が多めのエリア」「選手やチアの撮影に熱を入れる人の座るエリア」「なんとなくまったり見てる人とそこそこしっかり応援する人の混在するエリア」が分かれてるけど、会場によってその比率が違うし、全然コンタミしてるなという印象。
自分の贔屓の #島根スサノオマジック でいうと、会場のリピーター率も相まって、まったり見てる人ってあんまり可視化されないような気がします。
そんな「まったり見る人の居場所、あるの?」という指摘から、議論はさらにヒートアップしていきます。
2 バスケのアリーナの「応援」は、本当に「応援」なのか?
Gさんの指摘はさらに続いていきます。
「はっきり言って、バスケの" #応援 "は、野球の私設応援団の畑の人間から見ると、違和感しかない」と言い切りました。
というのも、野球の応援団は、「お金を払って見に来ているファン」が「そのチームの選手を応援することを目的に」「勝手に」やっていることの延長に過ぎず、あくまでファンが主体性を持ってやっていることであると。
これはサッカーもある種同じで、サッカーの会場でサポーターがチャントを歌い飛び跳ねているのも、やっぱり「お金を払って見に来ているファンが」「勝手に」やっていることという意味では共通しています。
ところがバスケはまるで違う。バスケの応援は、基本的に「MCがコールを煽り」「運営側が主体性を持って」「ファンが受動的についてきている」ものだと。
Gさんは、とある球団が「私設応援団を排除」して「公設応援団」を球団運営側が作り、囲い込みをした、というような経緯を例に上げていましたが、
ある意味野球の畑やサッカーの畑の人から見ると、「チーム」や「球団運営」と「応援」はあくまで独立した別物だと捉えていて、それが、「応援」を「演出の一部として内包している」バスケのスタイルは異質に見えるのかもしれません。
3 うちの畑の人間の当たり前は、他の畑の人間の非常識
そんな「畑違えば非常識」の事例は他にもあって。
この章は少し話は本題とそれます。サッカーの選手経験のある方が一瞬スピーカーに上がってきていただいたのですが、「設営で体育館の床の張替えを毎回やってるの、あれめっちゃすごいっすよね」って言ってたのがかなり強烈に印象に残っていて。
いわゆる会場の設営や床の張替え作業、もちろん球団スタッフやボランティアスタッフが毎回毎回努力してやっておられる作業で、それに関してはすごくリスペクトなんですけど、年30試合毎回、別にB1だけじゃなくてB3までどこのチームもやってることなので、改めてすごいことだとはいちいち感じられないことで。
ただ、サッカーの設営の話だと、芝の整備からもろもろをやらなくてはいけないのもあるんでしょうね。彼らにとって、「設営」というのが、僕らバスケのファンが思っている以上にすごいことをやっているという意識はすごく新鮮でした。と同時に、スタッフが当たり前にやってることに対してもう少し感謝せなな、とも思いましたけどね。
4 選手には、ファンの息吹が全部聞こえている
これはまた、別の競技で選手経験のある方が上がってきたときにおっしゃられていたのですが、
特にマイナーカテゴリだと、選手たちって応援しているファンの一挙一動が見えるし聞こえる、んだそうです。
もちろんヤジは聞こえてるし、叱咤激励も耳に入ってくると。
ただ、彼が言っていたのは、「だからこそ、本当に応援は"文字通り"力になる」んだそうです。
応援歌を歌ったりチャントを歌ったり、それこそ会場やSNSで「ここが良かった」みたいなことを言ってくれるのは全部わかる。だからこそ、「応援してくれる人がいるから、その人の応援に応えるために、自分はプロ意識を持ってやっていた」、と仰っていました。
じゃあ、結局、応援ってなんなんだ、って話に議論は展開していきます。
5 「応援」は結局「自己満足」だ
改めてGさんとIさん(Sくんは早々に寝落ちしてしまった)に、あなた達はなんで今のチームを応援してるんですか?モチベはなんですか?と聞いてみたんです。
マイナーカテゴリを追いかけている二人。それぞれ面白い答えが返ってきました。
Gさんは「自分はたまたま縁もゆかりもない地域のチームに通い詰めるようになったけど、そこで出会った人(ちょっとおかしいファン・一生懸命な選手・その他諸々)に魅力を感じ、そこからその地域への愛着も湧いた。」と。
Iさんは「自分は #地域活性化 の畑の人間でもあるけど、たまたま地元のチームにわざわざ来てくれて、もちろんJリーグを目指すことも諦めてないだろうに、今できることを地元のために、一生懸命やってるところを応援したい」と。
ただ、お二方とも、落とし所が #地方創生 みたいな話に落ち着くと思いきや、必ずしもそうじゃなくて、共通して仰っていたのは、「結局、応援って自己満足なんですよね」「自分が応援してる選手が活躍してくれれば嬉しい、っていうのは、ある種自分の応援に酔ってる、自惚れてるんだなってことなのかもしれない」ということでした。
これには衝撃を受けました。ある意味、それこそ「演出に応援が内包されてる」バスケの畑にいたら、出てこない言葉だと思います。”自発的に””誰かを””勝手に”応援してるからこそ出る言葉だな、と思いましたね。
まとめ 「応援」の定義とは?
こうして彼らの話を聞いていると、悪い意味ではなく、彼らにとっての「応援」の定義が狭いのかな、というように感じました。
応援とは、自発的なもの。誰かに力を与えるもの。会場の中でも一番熱くて特殊な空間で行われるもの。
そう定義してしまうと、確かにバスケの応援って「応援」なの?ってなっちゃう。
でも、バスケの畑の人間としては、必ずしもそこが定義外れだとは思っていなくて。
例えば、先日のB3のプレーオフでアウェーの埼玉までやってきた #ベルテックス静岡 のブースター、彼らはめっちゃ自発的にゾンビネーションをしていました。
基本的にはMCの煽りに統率の取れたクラップで応えるような応援スタイルの島根ですら、一部ブースターの自発的なSNS発信が拡散し、NBAでも見るような「MVPチャント」が巻き起こりました。これも球団公式じゃなくて、皆々が勝手にやったこと。
ちょうどこの投稿の数週間前に、サッカーの #ガンバ大阪 の一部サポーターが応援ボイコットなる行動を取り、物議を醸していました。
無論賛否それぞれあることですけど、「応援をされない」ということは選手にとってもそれなりに大きなことだと思うし、逆に「応援する側は自惚れてる」というところにも該当すると思います。
バスケの界隈では圧倒的に批判一辺倒だった「応援をしない」という行為、積極的に取るべき手段ではないし、褒められる行動ではないとは思いますけど、一方で狭義の「応援」の形ではあると思うのです。
https://twitter.com/oji_net/status/1658085818077179904
これもまた多くの批判を浴びたツイート。
もちろん、バスケ界隈の「演出に内包された"応援"」が好きな人はバスケ界隈には多いでしょう。僕だってその一人です。ですが・・・自己満足で、主体的で能動的で、独特の熱さがある、そんなサッカーや野球の「応援」に、勝てない部分はどうしてもあるよな。そんなことを思いました。そして、そこに肉薄するための手段として、島根のMVPチャントのようにファンの自発的な何かしらがあると、きっとバスケ界隈もそんな熱量が出てくる、とも感じました。
おわり。