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イヤフォンと暗闇と音楽と


中学生の頃の私は、夜寝る前にお布団で音楽を聴くのが好きだった。

買ってもらった水色のウォークマンにお気に入りの曲を詰め込んでお布団に入る。
イヤフォンをつけて、少し大きめの音量で音楽を流すとそこは小さなライブ会場だった。

真っ暗な部屋の中で、歌詞に心を傾けたり音の重なりの一つ一つに集中したりライブを想像したり

当時の私にとって、最高なひとときだった。


でも

私はいつしか、このお楽しみをしなくなっていた。この楽しみ方を忘れてしまっていた。


“いつの間にか忘れたのか大人へと歩む道の中で”

オレンジレンジの「ミチシルベ」の歌詞が思い出される。


ライブにも行けるようになった
いろんな楽しみを知った
大人ならではの忙しさに紛れていった

こうして私は忘れていった。


自分の世界が広がったことが理由かもしれない。

新たに最高のひと時を見つけたのかもしれない。


だけど、思い出してしまったら、忘れていた事をもったいなく感じてしまう。

私は昨夜、数年ぶりにオレンジレンジを聴いた。
小・中学生の頃にどハマりしたアーティストだ。

懐かしさとノリの良さで気分が高揚するのを感じた。そして何故か、ちょっぴり泣きそうだった。


「あの頃はよかったなぁ」

とは思わない。
あの頃の私も何かに悩んでいたし、ストレスだって抱えていた。

私は早くひとりになりたかったんだよなぁ。

イヤフォンと暗闇と音楽
これで私はひとりになっていた。

心の中の自分と向き合う時間にしていたんだろう


あぁ、なんだかすごく大切な事を思い出した
みたいだ。

もっと、もっと思い出したくなった私は
今夜は大塚愛を聴くだろう。

イヤフォンをつけて、ね




( ¨̮ )