#宿命の泡沫紋章 第Ⅹ章第89節
さて、今回から遂に最終章に入って参りました。
約一年間投稿し続けてきた「宿命物語」も、いよいよ大詰めです。
最初の方に守護獣についての言及がありますが、ついでに書いておくとヴァナディースの守護獣的存在である霊猫は特に戦闘要員というわけではなく、さほど力が強かったりするわけではありません。
どちらかというと、まさに「使い魔」といった感じで、ヴァナディースの代わりにゼラフィーの前に現れて色々影響を及ぼすみたいな役割でした。
なので、戦闘に加わる描写はほぼありません。
ヴァナヘイム町はアイスランドのスナイフェルネス半島にある「ヘトルナル」という場所をモデルにしており、ヘトルナルは「ヘトルナル教会」という小さな教会が一つだけある風景が有名な海岸線と平原が続く地域です。
(実際のヘトルナルは島ではなく、首都レイキャビクの対岸(というのかどうか微妙ですが)にある陸続きの地です。)
ヴァナディースの両親であるアークさんとレイリさんは、アイスランドの第二の都市である「アークレイリ」という地名から取っています。
ヴァナディースの祖母であるヴォルヴァさんの名前は、北欧神話内によく出てくる巫女自体を示す名前をそのまま使っています。
名前といえば、まだ書いていなかったのですが、ウィンとティールの名前は古代ルーン文字から取っていますね。
(ついでに余談ですが、実はアイスランドの人々にとって姓は存在しないも同然のようなものだそうです。
姓をつけて呼ぶとしても、例えば「アークさんの娘」だとしたら、名の後に「アークドッティル(Akudóttir)」と付けるそうです(ドッティルdóttirは娘の意、息子だったらsonが付く)。
このように現在のヨーロッパに多く見られる西洋式の姓名と異なるのは、ヨーロッパに姓が普及するより以前にアイスランドに先祖が来島した為なのだとか。
他にも政府によって定められた、もしくは認められた名前でないと子供につけてはいけないという決まりもあるそうですね。)
・・・実はまだ名前について言及していない人がいるかと思いますが、その人についてはまた後ほど書く事にします・・・。
ヴァナディースの事を差す「姫巫女」とヴォルヴァの事を差す「巫女」には違いがあり、姫巫女はヴァナディース=フレイヤの紫電の力を持つ者、巫女は神からのお告げを受けそれを人々に伝える者として書いています(この物語上での設定です)。
姫巫女も巫女もそれぞれ一世代に一人だけで、ヴァナディースの家系がその血筋をずっと受け継いでいます。
(以前にも一回「育ちの良さ」みたいな表現を使った事がありますが、正直自分はこの表現があまり好きではありません。
それは育ちに(他者が個人に対して判断出来るような)良いも悪いも無いと思うからなのですが、あくまでも表現の一つとして使わせていただいております。)
「黄金の林檎」は「青春の林檎」や「イズンの林檎」とも呼ばれ、北欧神話に出てくるアース神族に永遠の若さを約束する林檎の事です。
イズンとは北欧神話に出てくる絶世の美女の事で、このイズンが常若の黄金の林檎の木を管理しているので、その名で呼ばれているのだそうです。
(常若の林檎といえば、アイルランド伝承に出てくる常若の国であるティルナノーグ(ついでにケルト神話に出てくるアヴァロン)の特産物である林檎もありましたね。
北欧諸国とアイルランドは比較的近い場所にあるので、何かしらの関係があるのかもしれません。)
本日も、ご愛読いただき誠にありがとうございます (^_^)ゞ