#宿命の泡沫紋章 外伝Ⅶ【第1部】
さて、長々と書いてきております外伝群も半ばを過ぎた頃。
今回の外伝も結構長めなので、二部構成にて投稿したいと思います。
今回のお話は、アイルランドの中でも屈指の名所である「妖精の塚」という名でも呼ばれていたというニューグレンジを舞台モデルにしたお話です。
ニューグレンジは今からおよそ五千年前より存在していたという古代遺跡である、その歴史はエジプトのピラミッドよりもまだ前の時代から続くものと言われているそうです。
アイルランドにケルト文化が上陸する遥か以前より存在しているので、アイルランド独自の歴史と文化の中に生きていた人々が作り上げたものではないかと推測されているとの事。
アイルランド伝承の中では英雄クーホリンが作ったものとされていたり、ダーナ神族が暮らしていた場所と言われたりしています。
(出入り付近にある渦巻き模様のついた大岩というのは、実際にニューグレンジに存在しているものです。
冬至の日に最奥の石室に光が差し込むという話も、実際に存在する現象ですね。
あと物語中でも言及されているようにアイルランドは地盤がとても安定しているそうなので、地震などはあまり起こらないそうです。)
この物語の中では「創造主」と「神様」をほとんど同じような意味合いの言葉として使用していますが、一応「世界を創った存在」と「世界を支配している存在」みたいな区別は考えているつもりです。
なので創造主はあくまでも世界を創造した存在であって、自身が創ったものであっても一度その手を離れた自然などに起こる現象を全て知り、そこに手を出すことが出来るかといったら疑問が残るところです(個人的な意見です)。
それに神様という言葉もかなり曖昧であり、世界各地の伝承や伝説、神話や物語、宗教的なものから所謂「神」的存在(笑)まで様々なものを指すものなので、ハッキリとした定義が無いようにも感じられます(これも個人的な意見です)。
それでも人が何かを願ったり何かに願ったり、その内容は様々でもそれらの行為自体は人間が存在し続ける限り絶えることは無いのだろうなぁと思ったり。
炎属性の人がアルコールがあまり得意でない事はどこかに書いたような気もしますが、ハリスさんもその例にもれずアルコールには強くありません。
それでもかなりの洋梨好きなので、時期でなくとも飲めるようにとミッシェルさんに洋梨酒を作ってくれるように頼んでいるとの事。
ところでアイルランドの洋梨酒というと、以前ラジオでご紹介した「マグナーズ ペアー」というシードルを思い出しますね。
このシードルは結構ドライな風味ですが、サッパリとしていてとても美味しいのでオススメです。
(ただアイルランドでは洋梨は年中市場などで手に入るという話も聞きましたので、もしかしたら輸入品が多いのかもしれません。
一応、洋梨の季節は11月頃らしいのですが、その辺りはあまり詳しい情報を調べきれませんでした;)
エリキシル家は基本的に巫女(ブリギッド)になる女性が継ぐ事になっているので、ミッシェルさんの方が名字を変えています。
逆にエリキシル家の男性は、女性側に名字を変える事も少なくありません(前回の外伝に出ていたアスベルさんもその例)。
ただし明確な決まりがあるわけではないので、ほぼ自由なんだと思います。
天使の分け前(天使の取り分とも)という言葉はミッシェルさんが説明してくれている通り、ワインやウイスキーやブランデーを熟成させている時にアルコール分や水分が抜けた差分の事を言います。
この言葉を知って面白い表現だなと思ったのが、今回の物語を書く一つのキッカケになったのではなかったかと思います。
再三書いておりますが、あくまでも傾向として属性ごとに得意なことや苦手なことがあります(つまり全員に当てはまるわけではない)。
地属性は光翼で飛ぶのが苦手な人が多く、少なくとも必要ないのに進んで飛ぼうとする人はあまりいないようです。
そして地属性が使う力は大きく分けて「植物系」と「鉱物系」に分けられるので、ミッシェルさんとサンさんが話しているのはこの辺りの事ですね。
更に怪力については正編第Ⅴ章第45説でメリッサが言っていたように、使える人も使えない人もいます。
ただ物にかかる重力をある程度調整出来るという意味合いもあるので、ミッフルさんも重い机を一人で片手で運んだりしているようです(なかなか壮観w)。
(まぁ、純粋に力が強いという人もいるようですが。)
さて、途中で唐突に謎の挿話が入っておりますが、この挿話に出てくる青年達が何者なのかは第2部にて解明されますのでしばらくお待ちくださいませ。
今回も、ご愛読いただき誠にありがとうございました m(_ _)m