O脚を直すには内転筋を鍛えるだけでは足りない
O脚になっているということは、脚が開いてしまっているわけだから、閉じる筋肉である内転筋を鍛えることに異論はない。しかし、より効果的にO脚を改善するには腸腰筋を鍛えることが重要である。という話をしようと思う。
硬くなっている股関節の筋をほぐす
鍛える話の前に、硬くなっているほうの筋肉の柔軟性を取り戻すところから始めたい。
ちなみに、O脚には股関節が内旋している内股O脚と、股関節が外旋しているがに股O脚がある。当然、内股O脚の爪先は内側を、がに股O脚の爪先は外側を向いている。
それぞれの股関節のストレッチについては、連載記事を持たせて頂いている「OTONASALONE」というWEBメディアのなかで書いたので、そちらを参考にしていただきたい。記事はこちら。
実は上記の記事を書くとき、当初のタイトル案は「O脚にもX脚にも効く!骨盤のゆがみを直すストレッチ」のような感じだった。内股O脚とX脚はいずれも股関節が内旋しているので、股関節内旋に働く中殿筋をストレッチするとよい。上記記事内に中殿筋のストレッチ方法を書いているので参考にしていただきたい。
しかし、その記事でX脚については言及するのをやめたのである。
O脚の反対であるX脚は骨盤が前傾している
というのも、X脚の見本となる画像を撮影するために、自分でX脚の姿勢になってみたとき、あることに気づいたからである。
X脚になろうとすると、どうにもお尻が突き出てしまう。
X脚は股関節内旋・内転・屈曲だ。そう、屈曲する。X脚は骨盤が前傾するのだ。
X脚といえば脚が閉じてしまっていることばかりに気を取られるが、脚を閉じるということは、骨盤が前傾するのである。
脚を閉じる筋である内転筋群は、短内転筋、長内転筋、大内転筋、恥骨筋の4つの筋から成るが、このうち恥骨筋には股関節内転のほかに屈曲の機能もある。また、長内転筋も屈曲の補助の役目を負っている。
つまり、X脚で内転筋が短縮していれば股関節は屈曲しているのであり、連動して腸腰筋も収縮を余儀なくされる。
さて、「OTONASALONE」は40~50代の女性向けの媒体である。40代以降で股関節屈曲、つまり骨盤が前傾している人というのは、後傾している人に比べて圧倒的に少ない。
そのうえ、私の記事はデスクワークによる体の不具合に特化している。デスクワークをしていれば骨盤はむしろ後傾する。どんなに骨盤を立てて良い姿勢で座っていたって、8時間以上も座ったまま労働していれば、後ろに倒れるものである。
そういうわけで、骨盤前傾のX脚については触れないことにした。(そもそも、O脚の人はX脚に興味ないし、その逆もまた然りで、一つの記事の中に二つの悩みを書くこと自体ナンセンスだったかもしれないが)
O脚は股関節が伸展している→屈曲の筋肉を鍛える
X脚が骨盤が前傾しているなら、その逆であるO脚は骨盤が後傾している。(O脚は股関節が伸展しているということを説明するのに、X脚から説明するという回りくどいやり方になってしまった)
さて、脚が開いてしまうのは脚を閉じる力が弱いからなので、内転筋を鍛えよう、という話に戻ろう。
ここで、一つの疑問が。そもそもO脚の脚は開いているのだろうか。いや、見るからに開いているのだけれど、股関節が外転しているのか、ということである。
O脚の脚が開いているのは、股関節伸展のまま立つためには同時に内旋するか外旋するかしないと安定しないので、そのために多少の外転も生じているだけなのではないだろうか。
つまり、後ろ体重を安定させるには、脚を内に捻るか外に捻るかして重心のストッパーの役割をしないことには立てない、というだけ、なのではないかと。
だから、O脚は股関節内転の筋が弱いからO脚になっているのではない。
股関節が伸展しているからO脚になるのだ。
よって、鍛えるべきは股関節屈曲の筋である腸腰筋である。
とはいえ、いつも股関節外転で立っていれば内転筋は弱まっていくだろうし、なによりO脚の人の歩き方は内転筋が使えていないせいで親指が使えていない。体を痛めやすいし、いかにも体幹が弱そうなフラフラヨタヨタした歩き方をする。
そういうわけで、内転筋と腸腰筋、セットで鍛えよう。