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映画『軍中楽園』



今日は夜勤明け。
朝のひんやりした空気の中
うつらうつらとしながら家路に着く。
重い頭を首ひとつで支えながら
たん、たんと階段を登る。
ガチャリと鍵を開ける。
扉の奥でおいで、と
ベットが優しく迎えてくれる。
その場で着ている服を脱ぎ
下着で布団の中へもぐる。
ひんやりしたシーツが私の体温で
緩やかに暖まっていくのを
素肌に感じながら
夢の中へ落ちて行った。


目が覚めたのは15時頃
カーテンを開けると
雨が降っていた。
薄暗い光が部屋の中に
のそのそと入ってくる。
ぼんやりした頭で床を探る。
拾い上げたケースをパキッと開ける。
さらりと薄いディスクを1枚
パソコンに飲み込ませて突如始まる
私ひとりの映画祭。


私の勘が最も冴える場所は昔かTSUTAYAだ。
いや、TSUTAYAで勘を鍛えたと言った方が正しいのかも。
勘というか、感。
DVDを借りる時はいつも、感。
スパッと私の中にが入ってきて、心臓あたりがきゅっとなるあの感じ。
今回借りた『軍中楽園』はまさに、強い”感”が走った。
薄暗い写真の上で、好色な目つきで私を見つめてくるピンク色の『軍中楽園』という文字。
ケースの裏を見る事無く、DVDを抜き取った。


男と女は、難しい。
友情よりも固く結ばれる時もあるのに、
本気なほど、大人になってしまうほど強くは握れなくて、その結果を運命と呼ぶしかない時もある。
愛ってなんだろう、と思った。

女は男に消耗されるしかない時代や場所があって、だけどそれでも、女を花の様に扱う男がいて。
エロは男と女の理性を超えた、素直で素朴な激しい舞台。
お腹が空けばご飯を食べるし、眠たくなれば眠る様に、満たされなければセックスをする。どれもイコールで繋がれるべきものなのに、セックスには建前や約束が沢山あって、それらがどれも明確では無い。

時代を超え、食欲と睡眠欲がより満たされる為に、と世界は数々の変化を遂げた。
しかしエロの自由化は進む気配がない。
むしろ男からすれば不自由になっていくばかりだ。
だけどきっと、自由にならない所もまた、エロいというかな。
どこかで自由になりすぎない事を私たちは願っているのかな。

映画の中
「義を守ることも難しい」
という言葉が、頭から離れない。
守ろうと思えば守れること。だけどそれが難しい。自由になりたい、自由にできない。もどかしい。そのもどかしさすらも、エロ要素の中のひとつなのかな。


『軍中楽園』は私にとって、初めての台湾映画だったが、最も好きな映画の1つとなった
イーサン・ルアンの表情とても繊細で、唇の動きひとつでそのシーンがパッと変わる様な気がした。
彼の変化(成長?)していく姿も面白い。
この映画に出会えてよかった。

また来週もTSUTAYAへ行こう。

“感”を研ぎ澄ませに。新しい映画と出逢うために。


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