これでいいのだ
前回の投稿から約一ヶ月ほど経っただろうか。
結局症状が改善されないまま、ぼくは会社に行けなくなってしまった。
本当は今日もロケだったんだけど。怖くて行けなくなってしまった。
記事を書いている今この瞬間も、自分抜きで撮影が進んでいると考えると
疎外感と「自分がいなくても成り立つのだ」という安心感が付き纏う。
両親も初めのうちは「ただ生活リズムが不規則で疲れているだけだから」とぼくを宥めていた。ただ、あまりにも原因不明の体調不良が続くものだから、流石におかしいと感じたのだろう。ぼくの話をきちんと聞いてくれるようになった。
◎これまでぼくがしてきたこと
テレビ番組の制作現場が厳しいことは、世間的にも知れていると思う。
朝早くて夜遅いのはもちろん、満足に食事が摂れないことも多々ある。
ぼくがいる会社は人数が10人以下なので、一人につきものすごい量の業務を掛け持ちしなければならない。ぼくがやっているのは以下のもの。
・バラエティ番組制作(撮影 / 編集 / ロケハン / 雑務)
・国の事業の映像制作×2本
・会社のインスタグラム運営
・企画書の作成
あれ、意外と少ないじゃないかと思うかもしれない。しかし、一つ一つ紐解くと実はすごい業務量なのだ。番組制作にしても、撮影も編集も全て一貫してやらなければならず、撮影して次の日から編集を始めて、その次の週には納品、とか。それをやりながら他の仕事も回したり、とか。
何気に時間を食うのは、ロケハンと雑務だ。番組で必要な写真パネルを印刷したり、フリップやカンペを作ったり、ロケ内容やレクリエーションを考えたり…正直ぼくみたいな無能な人間には酷だった。
まあこれが現実だし、小さい映像制作会社の運命なんだとつくづく感じる。
◎何が原因で会社が怖くなったか?
以下に書き記すのが、ぼくの恐怖の原因になった物事である。
・「大学で映像を勉強してきたのだから、このくらいわかるだろう」と全く見聞きしたことのない業界のルールを教えてもらえない。
・番組なんか作ったことがないのに、大学を出たのだからできるはずと責められ、「もっとできると思った、がっかりした」などと言われる。
・わからないと言うと「一回やったんだから覚えてるでしょ」と言われる。
・仕事が出来ないと、以前会社に居た仕事のできない女の子と比べられ、「あの子みたいになったらダメ」などと言われる。
・以前会社に居た仕事のできない女の子の悪口を、永遠に聞かされる。
・一度も教えてもらったことのない業務を、さもわかっているだろうという体で話をされ、わからないと言うとめちゃめちゃに怒られる。
・先輩を中心リーダーにネタ出しした時、ぼくの案が先輩に採用された。
いざロケハンに向かう際に社長から「今から行くところが面白くなかったら君の責任」と言われる。
・ロケハンで食堂にお邪魔し昼食を摂った際、体調がすぐれないので胃に優しそうな麺類を頼んだところ、同行した先輩二人とメニューがダダ被り。
社長に「何のためのロケハン?そう言う時はいろんなメニューが見たいから、気を利かせて違うものを頼むのがマナー」と言われる。
(ちなみにその5分ほど前に体調が悪いことは伝えた。)
・社長に「痩せているディレクターは頼りないから、もっと太りなさい」と体型に関して言われる。
そして何よりも、ぼくにとって一番怖かったことがある。
今年の4月1日に、会社が【登録有形文化財】の建物に引っ越したのだけど、その時実はテレビの取材を受けた。『歴史的な建物に引っ越したすごい会社とその会社期待の新入社員』みたいな名目で。
引っ越しも全く段取りとか指示もなく、バタバタ計画性のないまま進めたし取材が来るのがわかったのもギリギリ。そして新人に拒否権は無い。
ショックで、頭が真っ白で。その頃から何だか本格的に狂い始めたと思う。
◎今後どうしていきたいか、どう生きたいか
正直なところ、今のぼくは、完全に休学前の"精神ボロ雑巾時代"と同じだ。
(日常生活は何となく送れているけど、仕事とか映像のことになると病んでしまうあの感じだ。)日常生活も少し難しい時もあるけどね…。
今週はとりあえず、一週間だけお休みの期間をいただくことにして、一旦は会社や仕事から自分を切り離してゆっくり過ごしている。
というか、自分よりも両親の方がすごくぼくのことを心配してくれていて、ぼくの代わりに会社の人に掛け合ってくれているのが何だか申し訳ない。
ほんとうは、ぼくがきちんとお話しないといけないし。でも怖くて。
今週のどこかで、父親が社長に直接会って話をしてくれるらしい。その時に「映像制作の現場からは少し離れて、別の業務をさせてもらえないか」相談してくれるみたい。映像を作るために入社したのに、入ってみたらやっぱり向いてないから変えてくれ、なんて馬鹿げたお願いだろうけど。限界だし。
雑務でもいいし、インスタの運営だけとか。とにかく負荷を減らさないと戻れる見込みがない気がするから。もしまだチャンスがあるならだけど…。
それでももし、「ディレクターやれないなら辞めてほしい」と言われたら、また別の就職先を探さないといけない。その時はその時だけどね。
母親が言った。
「あなたはそのままでいい。仕事は確かに嫌なことばかりだけど、あなたが自分の気持ちを抑え込んで、一人で悩みを抱え込んで苦しみながら働く必要はないよ。これでいいんよ。」
そう、きっと「これでいいのだ」
これまでの人生、自分に嘘をつき続けて、すごくしんどかった。
これからは、もっと自分に素直でいてあげなくちゃ。
ほんとうの自分の人生を生きるために。
死ぬまで、生きてやる。
これでいいのだ。