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【レビュー】Panasonic LUMIX G9 PRO II

2025/2/23更新:記事内の文章を一部修正しました。

1月に入れたばかりのマイクロフォーサーズのフラグシップモデル、「LUMIX G9 PRO II」が導入から1カ月が経ちましたので、ここまで使用して来た感想を含めレビューしていきます!

紹介については下記リンクからどうぞ。


1:見た目

LUMIX G9 PRO IIの見た目はマイクロフォーサーズマウントのカメラとしては「大型」と言う印象を受けるだろう。これはボディがライカLマウントのフルサイズ機「LUMIX S5 II」と同じためである。

ちなみに1つ前の「G9 PRO」はマイクロフォーサーズ機としては唯一、一眼レフ機に使用されている軍艦部の液晶画面があった関係でIIと全く異なったボディとなっていた。

フラグシップモデルはいわゆる「上級機」に当たるカメラとなり、キヤノンで言えばEOS R1・EOS R5 Mark II、ニコンで言えばZ9、ソニーで言えばα1・α9 II、OMデジタルソリューションズで言えばOM-1 Mark IIが該当する。
上級機ともなるとカメラ自体の重さも増加しEOS R1では1.115kg、Z9では1.34kgとなるが、当機種は658gとなりソニーα9 IIと20g軽い程度となる(α9 IIは678g)。ちなみにOM-1 Mark IIは599gで最も軽い。(※1)

見た目から重そうな感じもするが、持ってみた感じは「ボディが大きい割に軽め」と思った。「マイクロフォーサーズ」の小型イメージセンサーが大型ボディであっても軽量化に貢献していると言えるだろう。

LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-35mm F2.8 ASPH. POWER O.I.S.を取り付け


2:撮影性能

G9 PRO IIはマイクロフォーサーズ機としては一番画素数が大きく、2521万画素となっている。全てRAWからの現像となるが通常のスナップと動体の2つに分けてご紹介。

通常のスナップ撮影

東京ミッドタウン日比谷のイルミネーション
レンズ:LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-35mm F2.8 ASPH. POWER O.I.S.
(Kenko製ソフトフィルター使用)
焦点距離:33mm{35mm判換算:66mm相当} SS:1/80 絞り値:F2.8 ISO感度:800
東京ミッドタウン日比谷のイルミネーション
レンズ:LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-35mm F2.8 ASPH. POWER O.I.S.
(Kenko製ソフトフィルター使用)
焦点距離:21mm{35mm判換算:42mm相当} SS:1/60 絞り値:F2.8 ISO感度:500


動体撮影

LUMIXのオートフォーカスは、従来はコントラストAFをベースとした「空間認識AF」が用いられて来たが、G9 PRO IIからは像面位相差AFが採用され動体撮影も容易に。鉄道や飛行機の動体認識(トラッキング)も可能になったようなので、こちらも合わせて確認。

ロコンジェット北海道
レンズ:LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 II POWER O.I.S.(電子シャッター使用)
焦点距離:171mm{35mm判換算:342mm相当} SS:1/400 絞り値:F9 ISO感度:100
ITAエアウェイズ「Born To Be Sustainable」
レンズ:LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 II POWER O.I.S.(飛行機優先AF使用)
焦点距離:150mm{35mm判換算:300mm相当} SS:1/400 絞り値:F11 ISO感度:100
露出補正:-0.3
京成スカイライナー
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II(電子シャッター、鉄道優先AF使用)
焦点距離:80mm{35mm判換算:160mm相当} SS:1/400 絞り値:F5.5 ISO感度:125

鉄道・飛行機のトラッキングについては、鉄道であればまだ手前に来る前の時点で既にオートフォーカスが働き車両を追従してくれるが、飛行機でも同じく手前に来る前の時点で追従を開始してくれた。飛行機の機体や鉄道車両がある程度近づくとトラッキングをしてくれると言ったところだろうか。
電子シャッターに関して頭を悩ませて来るのは「ローリングシャッター歪み」だが、G9 PRO IIは結構抑えられている。ソニーα9 IIIで実装されているようなグローバルシャッターと比較すると負けてしまうが、マイクロフォーサーズ機としては健闘している機材と言えよう。


手ブレ補正の効き具合

G9 PRO IIをはじめとしたLUMIXシリーズのミラーレス一眼は、一部機種を除いてレンズ・ボディの手ブレ補正を協調させる「Dual I.S.(デュアル・アイエス)」を搭載。(※2)
手持ちによるスローシャッターは大丈夫なのか確認してみた。

レンズ:LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-35mm F2.8 ASPH. POWER O.I.S.
焦点距離:19mm{35mm判換算:28mm相当} SS:2" 絞り値:F4 ISO感度:100

こちらは吾妻橋から東京スカイツリーの特別ライティング(バレンタイン)を撮影したもの。シャッタースピードは2秒である。

中央部分のアップ

中央付近を切り出してみたところ、ブレはほとんどなくきれいに撮影出来ている。2秒程度では手持ちでも許容出来る範囲と言っても良い。OM-5のレビューでも述べたが、シャッタースピードが伸びるほど手ブレ補正の効果は薄れてくるので「Dual I.S.」であっても過信は禁物だ。
G9 PRO IIはボディのみでも中央でシャッタースピード最大8段分の手ブレ補正機構を搭載しているので、手ブレ補正機構なしのレンズでも手ブレを気にすることなく撮影が出来る。(OMDS製でも問題ありませんでした)


3:動画

LUMIXのミラーレス一眼と言えば「動画機能」が優れた機種と言っても良いだろう。動画性能はGH7をはじめとしたGHシリーズが優位に立つが、このG9 PRO IIも動画性能が優れている。
今回は4Kで試験撮影した時の模様を取り上げるので是非ご覧いただきたい。
(PCやブラウザのスペックによって4Kでご覧いただけない場合があります)


4:その他

G9 PRO IIはGH6やS5II(S5IIX)から採用された外部SSDの記録に対応しており、動画はもとより静止画の記録にも対応出来る。これは4K以外にも5.7KのApple ProRes(アップルプロレズ)記録など高品質な映像の収録をする方、または長時間録画向けに用意しているものと言える。
ただ、本体が高温になると動画記録が止まってしまうので、Apple ProRes記録を行うのであれば冷却ファンが搭載されているGH6・GH7・S5II辺りをおすすめしたい。


5:これから試してみたい機能

導入して1カ月ながらまだ試していない機能があるが、それはこの2つ。

  • ハイレゾショット

  • リアルタイムLUT

ハイレゾショットについてはこちらの記事で説明しているので省略するが、もう1つ試してみたい機能として「リアルタイムLUT」がある。
LUTは「ルックアップテーブル(Look Up Table)」の事であるが、このLUT自体にあらかじめ用意された色の情報が含まれており、動画編集においてLOG撮影したデータへ色を付ける際に用いられる。
この「リアルタイムLUT」を用いると、色のデータが写真や動画に反映されて自分なりの写真・動画表現が出来るようだ。つまりPCやスマートフォンを用いる作業をカメラだけで完結させることが出来ると言うもの。

詳細はこちらを参考にして欲しい。(リンク先の機種はLUMIX S5 IIです)


5:最後に

今回はLUMIX G9 PRO IIのレビューをお届けしたが、当機種はLUMIXのミラーレス一眼としては大きな進化を遂げたと言っても良い。
これまでもLUMIXのミラーレス一眼を利用して来たが、フルサイズ機含めAF方式が空間認識AFを頑なに使って来たと言う事もあり、OMデジタルソリューションズの様な像面位相差AFはいつ採用されるのか?と気になっていた。2023年にフルサイズ機のS5がII型になったことでパナソニックが既存の概念を打ち破るかの様に像面位相差AFを採用。それに続きG9 PROもII型になったタイミングで像面位相差AFを採用して来たので、パナソニック製のミラーレス一眼にとっては大きな進歩と言っても良い。

フルサイズ機のS5 IIをベースとしている関係でマイクロフォーサーズ機としては大型のボディではあるものの、意外と軽めなG9 PRO II。OM-5の様な小型機種から比べると持ち運びは大変かも知れないが、鉄道や飛行機などの動体撮影や動画撮影でも大いに役立てられそうだ。


※1:SDカードやバッテリーを含めた重さ

※2:「Dual I.S.」自体は2015年のGX8(レンズ2軸・ボディ4軸)で初めて採用され、その後の2016年に発売されたG8でレンズ2軸とボディ5軸補正に強化された「Dual I.S.2」に進化した。なお、G8が発売される前に登場したGX7 Mark IIや2018年発売のGX7 Mark IIIはボディが5軸補正に変更されているものの、こちらは無印の「Dual I.S.」だった。
G9 PRO IIはレンズ2軸とボディ5軸補正の「Dual I.S.2」を搭載している。

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