「スタイルが定まらない = 不安定」そんなことはない
まずはこちらのXポストをご覧ください。
こちらはとあるLUMIXユーザーの方が投稿されたものですが、実際に閲覧されていた「LUMIXの失敗」と言うページを拝見いたしました。
今回はこちらの記事を拝見しての感想と、それを踏まえた私見を述べていく事にします。
拝見しての感想
実際「LUMIXの失敗」を拝見したところ、毒が強いと言うのか、ただ文句を言いたいだけの様にしか見えず、初めての人にはとっつきにくい内容と言える。そのせいもあってか、若干中身がスカスカなのかなと言う印象を受けた。
機器やメーカーに対して文句を出すのなら、こちらの記事の様に書けば受けは良かっただろう。
私見
どのメーカーであっても初めての機種となれば「スタイルが定まらない」のは当たり前である。各メーカーがこぞって展示会などで参考出品を出し、そこからスタイルやターゲット等を探っていくのだ。(所謂「トライ&エラー」)
自動車のコンセプトカーも同様で、ここから新たな車種を生み出すきっかけを作る事に繋がる。
先ほど紹介した記事内に「スタイルが不安定」の文言があった。そのこともあってか「LUMIXと言えば何のカメラか?」と言うのが形成されなかったのではの内容となっていた。
そもそも、パナソニックのLUMIXシリーズはコンパクトデジタルカメラの展開が中心だったと言う事もあり、一眼カメラへの参入は2006年と遅めである。最初はオリンパス(現:OMデジタルソリューションズ)が開発したフォーサーズマウントを採用した機種(DMC-L1)として登場。
その後2008年にマイクロフォーサーズ機として「DMC-G1」が登場している。
DMC-G1登場時に女優の樋口可南子さんを中心に結成された「女流一眼隊」が話題となった。これはG1発表当時、初めてのマイクロフォーサーズ機かつボディが小型であることを売りに、これまで一眼レフなどの一眼カメラに見向きもしなかった女性へターゲットを向けた商品である事が伺える。私から見たら「小さくてもがっしりしたボディなのに何故女性をターゲットに?」と思ったくらいである。
2009年にはファインダーなしのGFシリーズが登場、一眼カメラのがっしりボディからコンパクトデジタルカメラの様なフラットタイプのボディに変わった。GFシリーズ登場後はGF10までこのシリーズを女性客向けに焦点を当てる事となった。既にこの時点でスタイルは確立していたのだ。
現在のLUMIXのラインナップはフルサイズのSシリーズ、マイクロフォーサーズのGシリーズの2シリーズから成り立つが、いずれもマウントは自社開発のものではない。それを失敗と言っているのだが、自分から見れば失敗でも何でもないと思う。
パナソニックはご存じの通り、テレビなどの映像機器やエアコン・冷蔵庫などの白物家電、更には長持ちする乾電池「エボルタ」などがメイン製品であり、カメラはビデオカメラ以外作っていなかった。2006年にDMC-L1が登場した時、レンズマウントはオリンパスが提唱したフォーサーズとなっていたのも、「自社ではマウント開発出来る方がいなかったから」と言うのが1つの仮説として挙げられる。また、2018年のフルサイズ機参戦時も他社マウント(ライカLマウント)となったのも同様の理由が挙げられる。
自分で出来ない場合は「人のまねをして覚える」と言うのがある。そこから新たな知見を得て自前の方法として習得していく。パナソニックが一眼参入時から他社マウントになっているのも、そこから新たな技術を取り入れるための策なのではないだろうか。
あとは協業の関係についても、パナソニックは協業したから失敗しているのは大間違い。以下は他社の例で説明する。
キヤノンであればデジタルカメラ創成期の1995年にプロ仕様のデジタル一眼レフ(EOS DCS1・DCS3)が登場しているが、デジタル機器においてコダックとの協業を行っていた。
ニコンにおいては1996年に富士フイルムと共同開発したE2N(「FUJIX」のロゴがある)や、1999年にはコダックとの共同でF5をベースとしたデジタル一眼レフ機が登場している。
富士フイルムにおいては、先ほどのニコンと共同開発したE2N(富士フイルムはDS-505A{FUJIX名義})に加え、ニコンのカメラそのものに少し手を加えて自社ブランドにした「FinePix Proシリーズ」も登場している。
S1からS5まで製品化されたが、いずれもニコン製の一眼レフ機そのもの(OEM)で、違いはイメージセンサーが自社の「スーパーCCDハニカム」(S3はSRII、S5はSR Pro)を採用している点である。(ただしS1~S3のみフィルムカメラがベース)
これらは現在、自社開発の製品で全て賄っているが、このような例がある事を考えると協業したから失敗したのは間違いと言える。
富士フイルムでさえ、一眼カメラ参戦時はニコンのFマウントを利用した製品を販売していたものの、そこから現在販売中の自社開発マウントのカメラ(Xマウント)への誕生へ繋げた。更にはデジタルカメラでは殆ど例がない中判センサーを用いたGマウントも登場している。
パナソニックは現在もライカとの協業関係を続けているが、他社の例を考えれば、協業があったからこそ自社開発へ繋げて行く(行った)と考えればよろしいだろう。
もう一つ突っ込むポイントとしては、「トップメーカーに対する執着・嫉妬心」。断言してよろしいでしょうか。
こう言う思いってどの企業でもあるんですよ。
執着や嫉妬心は表向きマイナスの様にも見えるが、使い方を変えればプラスに繋がることを理解していなかったかも知れない。
お互い競争関係にあるからこそ良いものが作れる訳なので、これを「執着」や「嫉妬心」などマイナスの言葉を用いて失敗とするのは間違い。カメラメーカーも各自良い製品を出して来ているが、実際に製品の良し悪しを判断するのは我々利用者の方である。何故その点を出さずして「トップメーカーに対する執着・嫉妬心」と出してしまったのか理解に苦しむ。
以上が私見となる。
「スタイルが定まらない」から新たな知見を生み出せる
どの製品においても「スタイルが定まらない」のは当然であり、スタイルを確立させるためには色々な方法を探り、正解を導き出すしかない。
現在のLUMIXのラインナップはフルサイズのSシリーズ、マイクロフォーサーズのGシリーズの2シリーズから成り立っているが、それぞれの製品には撮影目的や利用者など購買層を絞っている。
LUMIXシリーズを例にすると、
LUMIX S5II、S5IIX・・・静止画、動画両方の利用者向け
LUMIX S9・・・静止画利用者でかつカジュアルに使いたい方向け
LUMIX GH7、GH6、GH5II・・・動画利用者向け
LUMIX G9 PRO II・・・静止画利用者かつ上級者向け
LUMIX G100D・・・Vlog利用者向け
とこのようになるが、実際は企業が狙っている購買目的と別の用途で使われる事が殆どである。
例えば、G100Dの1つ前に登場したG100はVlog利用者向けに売り出したカメラであったが、実際は静止画撮影用途で購入する割合が多かった。
そこで、パナソニックはマイナーチェンジ版のG100D登場に合わせて、静止画撮影利用者向けに45-150mmの望遠レンズを加えたダブルズームキットが登場した。
G100がもしVlog利用者に受けていたら、ダブルズームキットは当然なかっただろうし、「ストリートフォト一眼」を銘打つGXシリーズに何かしら登場していた可能性があったかも知れない。この時点で「スタイルが定まらない」のは確定であるが、新たな知見を生み出して別の用途にも訴求することが可能となる。
製品においてスタイルが決まってしまえばそれまでであるが、スタイルが定まらないからこそ別の面白さが生み出せる。これは製品だけでなく仕事や学業も同じであり、スタイルを決めるのは人それぞれである。
最後に
今回は「「スタイルが定まらない = 不安定」そんなことはない」についてお届けしました。
「スタイルが定まらない」からこそ不安定ではなく、面白さや興味を増してくれる1つの方法と言う事が理解出来たかと思います。
夏休みの「自由研究」なんかもスタイルが定まらない宿題の1つですね。皆さんも柔軟な考えで物事を進めてください。
今回はここまで。最後までお読みいただきありがとうございました。
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