”よく見ると、何かが違う” 京成3100形3157編成
2019年度から導入を続けている京成成田スカイアクセス線の「アクセス特急」用車両である3100形。
今回は2023年度に導入された3157編成について取り上げてみよう。
3100形とは
3100形は、2019年度から京成成田スカイアクセス線の一般特急「アクセス特急」用に製造された車両であり、既存の3000形ベースにフルモデルチェンジを図っている。
帯の色は京成では採用されることがなかったオレンジ色(※)であり、これは京成成田スカイアクセス線用の車両であることが示されており、京成本線などで使用される赤・青の帯の車両と誤乗を防止する役目を持つ。
制御装置は京成としては初採用のSiC素子(ハイブリッドSiC素子)のVVVFインバータを搭載。
3100形の導入により、これまでアクセス特急メインで使用されていた3050形(3000形3050番台)は青色から3100形に準じたオレンジ色の帯に変更され、増備されていくにつれて3000形同様の赤・青の帯に変更された。
3050番台を赤・青の帯に変更された目的は、3400形老朽置き換えのためとされている。
何かが違う3157編成
京成3100形の2023年度増備車として登場したのは、この3157編成。
外見は3100形そのものではあるが、よく見ると何かが違う事にお気づきだろうか。
比較のため、3156編成までの同車両を。
そう、先頭車両の屋根上にあるものが無くなったのだ。
では、先頭車両の屋根上を横から見てみよう。
こちらは3151~3156までの先頭車両の屋根上。
成田空港方の先頭から、棒→四角→棒→四角の順に並んでいる。
そして3157編成の屋根上。
載っているのは棒状のみで、四角のものが無くなってしまったのだ。
何故無くなってしまったのか。
3157編成は時代の流れに合わせていた
3156編成まではあった四角のもの、何故3157編成で無くなってしまったのか?
先頭車両の屋根上にある四角と棒状のもの、こちらは列車無線アンテナと言い、鉄道を安全運行する上では非常に大事な「列車無線」を受信するアンテナである。
各鉄道会社の指令と列車間のやり取りは「列車無線」と呼ばれる無線放送で行われ、例えば運行路線で人身事故などのトラブルが発生した場合、鉄道会社の指令がいち早く運行している列車にトラブルがあったことを知らせ、運転見合わせを行うなど重大事故に繋がらないようにするためや、車内でのトラブルなどを指令に知らせる事において使われている。
京成電鉄をはじめ、北総鉄道・東京都交通局(浅草線)・京浜急行電鉄・新京成電鉄ではデジタル方式の無線導入に向けた取り組みが行われており、このほど2023年5月に完全移行された。
(下記記事は京成・北総・新京成のみ取り上げています)
デジタル方式を利用する前はIR(誘導)無線方式を使用しており、下図の黄色で示した四角の枠のようなアンテナがIR無線アンテナである。
こちらのアンテナと架線柱に張っていたアンテナ線、線路の間に引いてあったアンテナ線を用いて列車無線の受信を行っていた。
今回増備された3157編成は、デジタル無線完全移行後に導入された車両であるため、棒状のアンテナのみで走行出来るようになったのだ。ちなみに棒状のアンテナはデジタル無線用のアンテナであり、IR無線アンテナに対しこちらはSR(空間波)無線アンテナとなる。
今後の動き
京成3100形はこの編成のみで増備を終了するとの事で、今後は3200形(仮称)が本線にて導入される見込みである。この車両もデジタル無線完全移行後の車両となるのでSRアンテナのみの搭載となるだろう。
最後に
今回は「”よく見ると、何かが違う” 京成3100形3157編成」についてお届けして来ました。
先頭車両の屋根上がシンプルになってしまった点が、まさに時代の流れに沿ってこうなったと言えます。大半の車両がデジタル無線のアンテナを取り付けていますが、今後新造される車両においては四角の枠アンテナ(IRアンテナ)が初めから無くなった状態での導入が予想されます。そのうち四角の枠アンテナは過去の遺産となることも間違いはないでしょう。
今回はここまで。最後までご覧いただきありがとうございました。
※京成ではかつて「ファイアーオレンジ」色を利用していた実績はあるが、こちらは赤に近いオレンジであり、本当のオレンジ色を用いたのは3100形が初。