【スウェーデン語】『ムーミン谷の十一月』でスナフキンが歩いた場所とは?「ödemark」再考
以前、『ムーミン谷の十一月』で、新旧訳が異なっている箇所について書きました。スナフキンがムーミン谷を後にし、「ödemark」を歩きますが、ödemarkは新訳では「荒れ地」旧訳では「ジャングル」になっています。
ödemarkを辞書で引くと、「人間の存在や活動の痕跡がない土地」とあり、Google翻訳でも「荒れ地」と出たので、荒れ地なのかな、と思っていましたが、安易な判断でした。Google翻訳は非常に便利ですが100%正しくはありません。
この点については、投稿してすぐ、大阪大学の當野能之先生がくださったコメントで気づけたことでした。
「森が続くのか?」という疑問は、重要なポイントでした。
そしてその後、私が長年スウェーデン語を教わっているKarl Arne Jonsson先生がコメントをくださいました。「ジャングル」はもちろん違うけど、「荒れ地」も違うのではないか、と。
手つかずの森…!!!
たしかに、スウェーデン語の辞書には「人間の存在や活動の痕跡がない土地」とは書いていますが、荒れ地とはひとことも書いていないのです。
もう一度辞書を引き、挿絵や地図を見たものの理解が追いつかない私への追加コメントもくださいました。
Jonsson先生がコメント1で引用している箇所の後ろのほう、Det allra sista huset…がとても大事です。
Ödemarkを分解してÖde+markと考えると
→誰もいない(住んでいない)+場所
→その場所はどんな場所?
→テキストに森と書かれているので、森とわかる
→スナフキンが歩いたのは、「手つかずの森」!!!
『ムーミン谷の十一月』の巻頭の地図を見ると、奥の方には木が描かれており、手前には木は描かれていません。4章の冒頭では、「スナフキンは南へ南へと旅をつづけていきました」とあり、巻頭の地図で「この先ジャングル(ここから荒れ地)」と書かれているより下には木が書かれていないことも、Ödemarkが荒れ地ではないかと考えてしまった理由でした。とはいえ、フィリフヨンカの家の挿絵には木々が描かれていて地図上には木が示されていないので、地図に木がないから木がない、というのも安易な判断でした。
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