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アメリカ駐在員のお金事情

はじめに

アメリカでの駐在員生活は一見華やかに見えますが、その裏側には多くの経済的な課題と調整が存在します。本記事では、転職を通して駐在員から現地社員になった私の経験からアメリカ駐在員として働く際の「お金事情」を掘り下げていきます。

福利厚生と可処分所得のバランス

多くの企業では、駐在員向けの福利厚生が手厚く整えられています。それは社命で海外での就業を課している雇用主として、駐在員の安全を担保する責務を負っているからだと考えます。
周りの駐在仲間に聞いても特にアメリカでは高額な医療費リスクに備えた医療保険や、安全性を重視した住居手当などが含まれるケースが多いようです。ただ、これらの手厚い補償がある一方で、その反面として可処分所得が意外と少ないと感じる駐在員も多いようです。可処分所得だけでいうと、同じ役割を担っている現地社員と大きく水を空けられているケースがほとんどでしょう。
実際、私の前職でもバカらしくなるくらいの乖離があり、いっそ現地社員に転籍したいと思うくらいでした(結果転職することとなりましたが)。

生活費の地域差

私は西海岸に住んでいました違い、アメリカは地域ごとに生活費が大きく異なります。
CA州やNY州は家賃や食費などの物価が高く、生活費がかさむ一方、日本人コミュニティや娯楽が多いというメリットがあります。それとは反対に物価の低い州では 生活費は抑えられるものの、日本人補習校や娯楽が少なく、子育て環境としては難しい部分もあります。

ただ赴任地は基本的には選ぶことはできないでしょうから、そこはどうしようもない部分がありますので、むしろ赴任地を考えみて家族を帯同するかどうかを決めるのが良いと思います。

子供関連の出費

帯同子女がいる駐在員家庭にとって、子供関連の出費は家計への大きな負担です。
・プリスクール(幼稚園): 月額1000ドルを超えることも珍しくない。
・習い事: ピアノやスポーツなども高額。
・ガソリン代: 送り迎えで多く消費。
・学校からの寄付依頼: 公立校であっても頻繁にある。それなりに高額。
・日本人補習校: 費用だけでなく送り迎えも必要で時間的コストもかかる。
・高校まで義務教育だが、永住権を持たない駐在員子女の大学の学費は高額。

これらの出費を考えると、家族構成が家計に与える影響は非常に大きいと言えます。
ただ、子供を帯同した私の経験からいうと海外での家族との時間は一生の財産になると思いますし、これだけの経験を日本でさせようと思うともっとお金がかかっただろうとも思います。

私の前職は赴任期間が不明確でしたが、ちゃんと計画性を持って海外赴任させる企業であれば、子供の年齢から人生計画もたてやすいのではないでしょうか。

為替リスクと給与

円建てで給与が支払われている場合、円安が進むと実質的な給与が減少します。私もそれでここ数年痛い目に遭いました。日本とは比較にならない急激なインフレの中、不可抗力の円安で大幅給与減という往復ビンタ状態です。モチベーションを保つことが難しかったことを記憶しています。

一方で、駐在期間が長くドル建て資産を蓄えている人にとっては、円安はむしろ恩恵となる場合もあります。

アメリカの銀行口座や証券口座を利用してドル建て資産を持つことは、円安時のリスクヘッジとして有効だと感じます。

投資環境の活用

アメリカは日本に比べて投資がしやすい環境が整っていると感じます。証券口座を開設することで多様な投資商品にアクセスでき、WiseやRevolutといった送金サービスを利用すれば、日本との資金移動も安価に行えます。

一昔前だと駐在時に家を購入して、帰任時に売却益を得るという景気の良い話も聞きましたが、現在の物価差ではアメリカで家を購入できる駐在員はごくごく少数でしょう。

いずれにせよ、これから駐在する人にとって投資は資産形成というか生活防衛に欠かせない手段であり、事前に金融知識を身につけておくことが重要です。

物価上昇と生活レベルの現実

色々聞いてみると駐在手当を含めて、給与が日本での1.5~2倍程度になるケースが一般的のようですが、アメリカの物価は日本の2倍近くにも感じられます。そのため、生活レベル改善するとは限りません。等級や帯同家族の有無によってはほとんど変わらないか、むしろ苦しくなったと感じることもあるでしょう。

特に日本の昇給スピードでは、アメリカのインフレに追いつけない現実があります。
基本的に現地社員はインフレ水準と同等くらいには昇給があります。でなければ実質減給となり継続雇用が難しくなるからです。
しかし日本の給与(人事)制度は全くそのような仕組みではありません。

最後に

アメリカ駐在員としての生活は、経済的なメリットとデメリットが混在しています。高額な生活費や為替リスク、子育てコストが課題となる一方で、投資環境やドル建て資産の構築といったチャンスもあります。

給与だけで資産形成が難しい時代だからこそ、計画的なお金の管理と投資が重要です。赴任前に十分な準備をし、現地での生活を最大限に活かすための努力を惜しまないことが、充実した駐在生活の鍵となるでしょう。

また家族との思い出作りや子供の英語/日本語教育など、赴任中にしっかりお金をかけておくべき部分の見極めも重要だと思います。

#お金について考える

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