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病院で、あの婆ちゃんに話しかけられた話 230624
いつもの病院。
う〜ん、最近受付の方がよく変わる。
この病院で受診し始めてもう3年になるのだが、こんなことはなかったぞ。
なんでだろう。コロナ収束と何か関係があるのか?
いや、思いたくないが人間関係かもしれない!?
えーっ、めちゃいい人多かったのに。
あるのか?
あるだろう。
どんな職場もあるもんな。
病院ならばきっとある。
などと、暇人が考えるようなことを考え、座って待っていた。
と、そこへ受診に来られたひとりのお婆ちゃん、受付にやって来るなり「すぐ来んと思ってたタクシーがすぐ来てね、早うに着いたから、ちょっと買い物しに行くわ。時間来たら電話して」と言う。
単にわがまま。
受付の方が、
「はい、わかりました。携帯番号教えてください」
と言う。
すると婆ちゃん「ちょっと待ってよ」とゴソゴソ。。携帯番号覚えてないらしく必死にカバンの中を探す。ゴソゴソしだして3分後、なにやらメモか手帳らしき物を取り出し、「ハイこれよ」と見せると、、、
「あの、、、これは自宅の電話番号だと思いますので、携帯を教えてください」と言われてた。
今度は、ゴソゴソ携帯で操作するのだが、やはり自分の番号はわからないようだ。自宅には誰も居ないし、 受付の方が手伝おうにも折りたたみの携帯の使い方がわからない。
事務作業遅らせてるから、もう待とうよ。
……。
その様子を見てて、あ〜、きっといつか俺もあんなふうになるのかなぁ、と思っていたら、、、
以前に会った90歳の婆ちゃんが入って来られた。杖を片手に隣に座られる。
……!
そしてまた突然話しかけられる。
「土砂降りじゃぁ、傘持って来んかったんじゃ。。。じゃがの、近くの人が傘入れてくれての、ここまで連れて来てくれたんじゃ。。梅雨はの、、、傘がいるの」
婆ちゃん? 婆ちゃんはこんなに曇ってて今にも雨の降り出しそうな日なのに、傘を持ってきてなかったのか? 足が悪いので横断歩道を1回で渡れないのに?
と思っていたら、、
話は続く。
「この辺は昔、アパートばかりじゃった。今はマンションばっかりになったがの。。マンションには風呂が付いとるが、その頃のアパートにゃ風呂は付いとらんでよかったんじゃ。。。4畳半と6畳と台所じゃ。風呂は付いとりゃせん。。。
わしもそのアパート住んどるんじゃが、便利なんで風呂はいらんのじゃ。。すぐ目の前にの、大きい風呂屋があっての。。立派なおっきい風呂屋じゃった。すぐ目の前よ、10分くらいじゃった。。
つぶれたがの」
つぶれた? へぇ、そうなんか! 昔は風呂屋があったんやね。。でも婆ちゃん? ほな今、風呂どうしてんの? どっか遠くへ入りに行ってんのか? と考えてたら、、
続きがあった。
「ここの診察が昼過ぎに終わったらの、介護の車がここへ来るんじゃ。それで風呂入るわけじゃ。やから風呂はいらん。。昔はのこの辺はアパートばっかりやったんじゃ。今はマンションばっかりになったがの」
なるほど、介護の風呂に入るんやね。安心したよ。
しばらく話は繰り返され、昔話も加わってきた。
要点を説明すると、、、婆ちゃんの実家は少し離れた郊外にあり、戦後に何百坪の畑を売って街に出てきたようだ。そして伝手を頼りこの辺で喫茶店を経営してたわけだ。
婆ちゃんえらいよ。利用できるものは上手く使ってる。えらいえらい。年取ったら、やりくり上手がいいよね。
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そんなこと話してるうちに私の検査の呼び出しかある。
「ほな」と言うと、「頑張れ!」と言われた。
いや、ただエコー受けるだけなんだよ婆ちゃん。
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婆ちゃんの声は相変わらず大きく、マスクはしていない。でも、それを気にする人はい居ない。いや、居たかもしれないな。内科ではないが。
婆ちゃんのように杖突いてでも、ちゃんと歩き、声も大きく出して話しているなら多少の病気やコロナをも打ち破るだろう。
婆ちゃんの足は悪いかもしれないが元気に生きていけそうだ。生命力ありそうな人だ。婆ちゃんの父さんは100歳越えて表彰されたそうだ。
……。
さて、私の検査、診察も終わり会計を済ますと、順番待ちの婆ちゃんはまだドア付近の同じイスに座っている。
帰り際、軽く会釈すると婆ちゃんはにこやかに挨拶してくれた。
横を通ってドアを開け、出ようとすると、、、
婆ちゃんの話が始まった!
「この辺は昔、アパートばかりじゃったがの、風呂はなかったんじゃ…。……」
すごいな婆ちゃん、体力ありそうやな!
さっきからもう1時間喋りっぱなしやね。
えらいえらい。
「ほな👋」
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