部下の方が優秀? では、管理者としてどう価値を発揮するか
実務において、私が管理するチームでは、部下の方が私よりも優れた能力を持つことが少なくありません。そうであれば、私は何によって価値を発揮すべきなのか、とふと考えることがあります。
結論として、私は「替えが利かない管理の領域」に力を注ぐべきだという答えに至りました。実務における専門家は、意外にも代わりが効くものです。例えば、広告運用のような専門分野は一見難しそうに見えますが、実はそれほど難解なものではありません。こうした場面で必要となる調整や工夫には基本的な本質があります。そして、その本質と技術を覚えれば、誰にでも任せられる仕事となるのです。
しかし、管理の領域はもう少し高次元のものです。ここでいう「管理」とは、例えば数字を読み解くための仕組みを整えることを指します。数字が見えないと、具体的な手段や判断の精度が落ちてしまいます。どのような数字を収集すべきか、またそれを定期的に集めるための仕組みをどう作るか、といったことが重要になります。
実務におけるマーケティングの仕事は、先に述べたように、他の人に任せることができますが、経営において肝要な指針は、管理者自身がしっかりと把握しておくべきです。人が作った「メガネ」(他人の視点)で物事を見るのは心地よくありません。全体の地図を描くとともに、自分の視点も育て、独自の「メガネ」を自分で作り出す必要があります。
むしろ、管理者が数字を読み解けなければ、どのようにして仕事を進めるのか、というくらいそれは重要なことです。現状を正確に把握し、何がどのように進んでいるのかを知ることが、管理者の責務であり、真の価値発揮の場であると言えるでしょう。