「仏に逢うては仏を殺せ」/課題図書で読書感想会
私が主催しておりますオンラインの塾。空の塾で課題図書を決めた読書会をやっております。読書会の課題図書を決めるのは、私ではなく、参加者の皆さんなので、普段読まない本を手に取るきっかけになり、刺激的。
課題図書で読書感想会(第2回)「仏に逢うては仏を殺せ」
「仏に逢うては仏を殺せ」という刺激的なタイトル。
【書名について】
「仏に逢うては仏を殺せ」
中国臨済宗の開祖・臨済義玄(? - 867)の言葉である。仏とは仏道を学ぶ者にとっての理想、到達点であるはずだ。そんな相手をも「殺せ」とは物騒な話だが、要は、自分にとっていちばん大切なものにも執着するな、ということだ。
吉福伸逸は、この言葉のとおりに生きたと思う。肩書を持たず、権威を離れ、せっかく産み落としたトランスパーソナルという赤子をたらいの水ごと流すようなことを平気でした。ものごとの本質にしか興味を示さず、今日打ち立てたセオリーを次の日には捨てた。あるときワークショップで前日と逆のことをいいはじめ、主催者の向後善之が困って「昨日と違いますよ」と指摘したことがある。吉福はまじまじと相手の顔を見て、
「向後さん、昨日のぼくと今日のぼくが同じだと思うかい?」。
ジョークなのか、本気なのか? “嘘つき”といいたくなるのもわかる。だが、いまこの瞬間、目の前にいる相手に100パーセント向き合うことが、吉福にとってのすべてだった。(あとがきより)
著者は稲葉小太郎さん。元マガジンハウス編集者。1993年に吉福伸逸のワークショップに参加し岡山の吉福の実家にてロングインタビュー。フリーの編集者となって以降も関心をもちつづけ、多岐にわたる関係者にインタビューして本書をまとめあげています。
この本は、吉福伸逸さんの伝記。個人的には絶対に手に取らない本です。課題図書だから、無理無理に読む。この本を読み終える間に、15冊以上、他の本を読了してしまったくらい。全く響かない。苦笑。
みーさんと同じだ。
つまりは今の私には必要のない本なんだなと感じつつ、全体を読んでいないと読書会が面白くなくなるなと頑張って読み進めて読了。
本ってその人自身のreflectionなんですよね。なので、そのときどきによって受ける印象も違うし、経験によっても受ける印象が違う。ですので、私にとっては、この本より読書会での感想のほうが面白い。
下記リンクは空の塾のメンバーしか読めないと思いますが、利便性のために貼っておきます。
さて、著者、美崎栄一郎としての感想です。
リスペクトをしている人のことを書いているので、良い感じにまとまっているのは当然なのですが、おそらく吉福さん自身がつかみどころのない人だったんだろうなと言うことを感じます。で、それを正直にまとめているので、とっても掴みづらい本になっています。
吉福さん自身が本人も元編集者なので、文章を書いているはずですが、あまり吉福さん自身の文章は使わずに、他人が吉福さんについて話したインタビューを中心に構成されています。
多角的に迫りたかったんだろうなと著者の稲葉小太郎さん。実は私もある人の自叙伝を執筆したことがあるわけですが、多角的にしようと本人だけではなく周囲の人のインタビューをかなりしました。
で、エピソードを再編集して、どんなストーリーにするのかによって、読みやすくも読みにくくもなるのを実感していたので、執筆時を思い出しました。
タイトルが、「仏に逢うては仏を殺せ」なので、その方向に沿っての吉福さんの人生を再構成しているんだろうな。ちなみに、逆境のビジネス略歴では、逆境という方向に沿っての展開で組み立てました。
すべてが終わった後にまとめるという仕事は、人生の選択の歴史を辿るようで面白かったのですが、実際に私自身がやってみると、その人に乗り移って人生を追体験することで、脱稿して、どっと疲れが出たことを思い出し、稲葉小太郎さんも吉福さんの人生を追体験していくことでかなり疲れたんじゃないかなぁ。
もしかして、私が読み進めることができなかったのも、そのあたりを懸念していたのかもしれないなぁ。
このnoteを書いて思考がちょっと整理されました。